都道府県別の魅力|泊まる・住むで順位はどう入れ替わるか | FLASPO MAGAZINE

都道府県別の魅力|泊まる・住むで順位はどう入れ替わるか

どの県が魅力的か、という問いには測り方がいくつもある。民間の調査が出す順位は毎年話題になるが、国の統計を開くと別の並びが現れる。泊まった人の数、外国から来た人の割合、部屋の埋まり具合、住む先として選ばれた数。四つの物差しを当てると、同じ47の顔ぶれが毎回違う順番に並ぶ。その入れ替わり方に、それぞれの県の性格が出る。

泊まった人の数で並べると、上位は5つに絞られる

観光庁の宿泊旅行統計調査は、宿泊施設に泊まった延べ人数を都道府県ごとに集計している。2025年の確定値では全国で6億6,111万人泊となり、前年比0.3パーセント増、2019年比では10.9パーセント増だった。内訳は日本人が4億8,118万人泊、外国人が1億7,992万人泊である。

都道府県別の上位5つは、東京都、大阪府、北海道、沖縄県、京都府の順になる。ここに外国人の割合と、部屋の埋まり具合を表す客室稼働率を並べると、性格の違いが見えてくる。

都道府県 延べ宿泊者数 外国人の割合 客室稼働率 2019年比
東京都 1億790万610人泊 55.7% 76.3% +36.6%
大阪府 5,877万2,820人泊 41.7% 78.6% +23.9%
北海道 4,650万3,620人泊 28.6% 61.2% +25.7%
沖縄県 3,386万2,060人泊 27.2% 60.3% +3.0%
京都府 3,315万7,290人泊 55.2% 66.8% +7.8%
全国 6億6,111万人泊 27.2% 61.6% +10.9%

外国人の割合を見ると、同じ上位でも中身が違う

全国平均の外国人比率は27.2パーセントである。表の右から二つめの列を見ると、東京都の55.7パーセントと京都府の55.2パーセントが飛び抜けて高い。泊まっている人の半分以上が海外から来ている計算になる。

一方で沖縄県は27.2パーセントと全国平均とぴたりと重なり、北海道も28.6パーセントで平均に近い。名前の知られ方でいえば海外にも通った両地域だが、実際に泊まっているのは今も国内客が7割を超える。

この差は、集客の安定度に直結する。海外客の比率が高い地域は、為替や航空便の増減、相手国の景気に売上が左右されやすい。逆に国内客が厚い地域は振れ幅が小さいかわりに、日本人の旅行需要そのものが縮めば一緒に縮む。2025年の日本人延べ宿泊者数は前年比2.7パーセント減だった。

部屋の埋まり具合で見ると、順位はまた入れ替わる

客室稼働率は、宿泊者数とは違う面を映す。全国平均は61.6パーセントで、前年から2.0ポイント上がった。都道府県別で最も高いのは大阪府の78.6パーセントで、延べ宿泊者数では東京都に次ぐ2位でありながら、埋まり具合では全国の首位に立っている。

次いで東京都が76.3パーセント、福岡県が72.1パーセントと続く。宿泊者数で3位の北海道は61.2パーセントで全国10位、4位の沖縄県は60.3パーセントで13位にとどまる。広い土地に宿が散っている地域ほど、総数が多くても稼働率は上がりにくい。

最も低いのは長野県の39.0パーセントだった。これは人が来ていないという意味にはならない。長野県の延べ宿泊者数は1,904万8,010人泊で全国でも上位に入る。季節と地域に需要が偏る構造が、年間平均を押し下げている。

住む先として選ばれているのは、7都府県だけ

訪れる魅力と、住む魅力は別物である。総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果によると、2025年に都道府県をまたいで移動した人は251万5,731人だった。このうち転入が転出を上回った、つまり転入超過となったのは7都府県にとどまる。

最も多いのは東京都の6万5,219人で、前年から最も数字を伸ばしたのは神奈川県の1,089人だった。滋賀県は前年の転出超過から転入超過に転じ、山梨県は逆に転入超過から転出超過に変わっている。宿泊者数で上位に入る北海道や沖縄県、京都府は、この7つには入っていない。

圏域でまとめると、東京圏は12万3,534人の転入超過で、前年より1万2,309人縮んだ。日本人の移動者に限れば11万2,738人の転入超過となり、30年続けて流入が上回っている。名古屋圏は1万2,695人の転出超過、大阪圏は8,742人の転入超過だった。

ただし見方をもう一段変えると、風景はやや違ってくる。国外からの転入を含めた社会増減で数えると、増加したのは23都道府県にのぼる。東京都の12万5,457人、大阪府の5万8,524人、千葉県の4万2,629人が上位で、前年から最も拡大したのは愛知県の9,298人だった。国内だけを見れば人が出ていく県でも、海外からの流入で総数を保っているところがある。

伸びの速さでは、地方のほうが上をいっている

順位そのものより、動いている方向を見たい場合もある。外国人延べ宿泊者数の前年比を圏域で比べると、三大都市圏が5.1パーセント増だったのに対し、それ以外の地方部は19.1パーセント増だった。伸び幅は地方のほうがはるかに大きい。

個別に見ると振れ幅はさらに開く。外国人延べ宿泊者数を2019年と比べたとき、愛媛県は168.6パーセント増、石川県は117.6パーセント増、福岡県は97.6パーセント増、熊本県は88.5パーセント増となっている。もとの数が小さいぶん比率が跳ねやすい点は割り引く必要があるが、方向としては都市部より速い。

反対に、2019年の水準を取り戻せていない県もある。延べ宿泊者数の2019年比では福島県が24.2パーセント減、秋田県が18.0パーセント減、佐賀県が15.9パーセント減だった。全国が10.9パーセント増えている中での減少である。順位表の一行だけでは、この違いは見えない。

県の性格を数字で押さえたうえで、では誰がそこに関わるのかという話になる。外から若い世代を呼び込んで地域と組むFLASPOのような取り組みは、その入口のひとつだ。人の流れの構造を先に知りたいなら東京一極集中とは?若者流出との関係・対策・成功事例を解説、施策の枠組みから追うなら地方創生とは?定義と成功事例5選・若者が関わる3つの方法、産品から県を眺めるなら【47都道府県】特産品一覧|地方別の有名グルメと入手方法を総まとめが参考になる。

よくある質問

魅力度ランキングと国の統計はどちらを見るべきですか。目的によります。印象や知名度を知りたいなら民間調査の順位が手がかりになり、実際に人が動いた量を知りたいなら宿泊旅行統計や人口移動報告のほうが正確です。前者は答えた人の気持ち、後者は起きた事実を数えています。

延べ宿泊者数の1位が東京都なのは人口が多いからですか。それだけではありません。東京都の1億790万610人泊のうち55.7パーセントは外国人で、2019年比では36.6パーセント増えています。国内の出張需要に加えて、海外からの入国の玄関になっている影響が大きく出ています。

客室稼働率が低い県は魅力がないということですか。そうとは限りません。全国最下位の長野県は延べ宿泊者数では1,904万8,010人泊を集めています。稼働率は宿の数と需要の季節差で決まるため、宿が多い地域や特定の季節に集中する地域ほど平均は下がります。

転入超過が7都府県しかないのは深刻な状況ですか。国内の移動だけを見ればその通りですが、国外からの転入を含めた社会増減では23都道府県が増加しています。どちらの数字を使うかで、同じ県が減少にも増加にも見えます。比較する記事を読むときは定義を確かめてください。

自分の県の数字はどこで見られますか。観光庁の宿泊旅行統計調査は都道府県別の集計結果をエクセルで公開しており、総務省統計局の人口移動報告も都道府県別の統計表を出しています。どちらも無料で、報道発表資料には上位と下位が一覧で載っています。

出典

観光庁「宿泊旅行統計調査」(2025年1月〜12月分・年の確定値、2026年7月6日公表)/総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」(令和8年2月3日公表、住民基本台帳人口移動報告)


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