少子高齢化の現状を数字で確かめる|人口・出生率・将来推計の最新値

少子高齢化の現状を数字で確かめる|人口・出生率・将来推計の最新値

現在地は、二つの数字でだいたい言い表せる

日本の人口構造を手短に説明しなければならないとき、覚えておくと役に立つ数字がある。ひとつは29.4、もうひとつは1.14だ。前者は総人口に占める65歳以上の割合、いわゆる高齢化率で、2025年10月1日現在の値である。令和8年版の高齢社会白書によれば、このとき総人口は1億2,322万人、65歳以上は3,622万人だった。高齢化率は過去最高を更新している。後者は合計特殊出生率で、ひとりの女性が生涯に産む子どもの数の指標にあたる。厚生労働省の人口動態統計によると、2025年の値は1.14、こちらも過去最低である。前の年から0.01ポイント下がった。総務省統計局の人口推計では、2025年10月1日の総人口は前年同月から59万人、率にして0.48パーセント減っている。減った幅を人口の多い市に置き換えると、中核市がひとつ消える規模が毎年続いている計算になる。出ていく側の数字と入ってくる側の数字が、どちらも記録を更新し続けているというのが現在地だ。

出典:内閣府「令和8年版高齢社会白書」、総務省統計局「人口推計(2025年10月1日現在)」。

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高齢者という区分の、中身が入れ替わった

高齢化率だけを追っていると見落とすのが、3,622万人の内訳である。65歳から74歳までの前期高齢者は1,495万人で総人口の12.1パーセント、75歳以上の後期高齢者は2,127万人で17.3パーセントだった。後期のほうが前期より600万人以上多い。この逆転が起きたことのほうが、率が0.1ポイント動いたことよりも実務に効く。医療や介護の必要度は年齢が上がるほど高まるため、同じ高齢化率でも構成が後ろに寄れば、サービスの需要はより強く押し上げられる。働き方も違う。70歳前後までは就業を続ける人が珍しくなくなった一方、80歳を超えると通院や買い物といった日常の移動そのものに支援が要る場面が増える。統計を読むときに「高齢者」とひとくくりにせず、少なくとも前期と後期を分けて眺める習慣をつけると、地域で何が足りていないのかを言い当てやすくなる。

区分 人数 総人口に占める割合
65〜74歳 1,495万人 12.1パーセント
75歳以上 2,127万人 17.3パーセント
65歳以上の合計 3,622万人 29.4パーセント
総人口 1億2,322万人 100パーセント

いずれも2025年10月1日現在。出典は令和8年版高齢社会白書。

生まれる人の数は、どこまで減ったか

入口側の数字はさらに動きが速い。2025年に国内で生まれた日本人の子どもは67万1,236人で、統計が始まった1899年以来の最少を10年続けて更新した。70万人を割り込んだのが直前の年だったことを思えば、下げ止まる気配は見えていない。ここで注意したいのは、出生率と出生数が別の動きをしうるという点だ。出生率は産む年代の女性の人数で割った比率なので、その年代の人口が減っていれば、率が横ばいでも数は落ちる。いま起きているのは率と数が同時に下がる局面で、しかも親になる世代の人数自体がすでに細っている。ただし、すべての指標が下を向いているわけではない。婚姻件数は48万9,119組で、前年より0.8パーセント増え、2年続けて増加した。婚姻の動きは1年から数年の遅れをともなって出生数に表れるため、この増加が今後どう効くかは注視する価値がある。地域差も無視できない。都道府県別の合計特殊出生率は沖縄県の1.52が最も高く、低いほうは東京都の0.96、次いで北海道と宮城県の1.00だった。

出典:厚生労働省「令和7年(2025)人口動態統計月報年計(概数)の概況」。

全国平均の内側に、17ポイント近い開きがある

29.4パーセントという全国の高齢化率は、どこにも存在しない平均値である。令和7年版の高齢社会白書によれば、令和6年時点で最も高いのは秋田県の39.5パーセント、最も低いのは東京都の22.7パーセントだった。差はおよそ17ポイント。秋田県では5人に2人が65歳以上という水準に近づいている一方、東京都はまだ4人に1人に届かない。この開きが生まれる仕組みは単純で、若い世代が進学や就職の時期に移動するからだ。送り出した側は出ていった人数ぶんだけ分母が小さくなり、残った人が歳を重ねるので率が押し上げられる。受け入れた側は分母が増えるので率が抑えられる。ただし東京都の高齢者が少ないという意味ではない。率が低くても人口が多いので、65歳以上の実人数では大都市圏のほうが多い。介護施設の不足や独居高齢者の増加が都市の課題として語られるのは、この絶対数の話である。率で比べるか数で比べるかによって、必要な対策の見え方が変わる。

出典:内閣府「令和7年版高齢社会白書 地域別に見た高齢化」。

2070年の姿から、いまの数字を逆算する

将来の見通しも押さえておきたい。国立社会保障・人口問題研究所が令和5年に公表した日本の将来推計人口では、出生と死亡をそれぞれ中位で見た場合、2020年に1億2,615万人だった総人口は2070年に8,700万人まで減る。およそ3割の減少である。高齢化率は2020年の28.6パーセントから38.7パーセントへ上がり、65歳以上は約3,367万人。2.6人に1人が65歳以上で、およそ4人に1人が75歳以上という構成になる。高齢者ひとりを何人の生産年齢人口が支えるかという比率は、2020年の2.1人から1.3人へ下がる。推計値なので前提が変われば動くが、50年先の人口の骨格は、すでに生まれている世代でほぼ決まっている。だからこの推計は予言というより、いま手を打たなければこうなるという設計図に近い。数字を眺めて終わりにせず、住んでいる自治体の推計と重ねてみると解像度が上がる。地域と関わる入口を探している人には、FLASPOのように現地とつながる窓口を使う手もある。統計で見えた課題を、実際に人が動く話に変えていくところに次の一歩がある。

出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」。あわせて読みたい:日本の人口減少はなぜ起きる?若者世代への影響と対策を徹底解説、地方の人口減少はどのくらい深刻?データ・成功事例・若者の関係、過疎化とは?総務省の定義・原因・問題・成功事例を20代向け解説。

よくある質問

高齢化率は何を分母にした数字ですか。
その時点の総人口である。65歳以上の人口を総人口で割って求める。分母が減れば、高齢者の人数が変わらなくても率は上がる。人口減少が進む地域で高齢化率が急に跳ねるのは、高齢者が増えたからではなく若い世代が出ていったから、という場合が少なくない。

出生率が1.14というのは、どのくらい低い水準ですか。
人口を長期的に維持するには2.07前後が必要とされるので、その半分強にとどまる。ただし出生率は直接の人数ではないため、これだけで将来の人口が半分になると読むのは早い。実際の減り方は、産む年代の人口規模や死亡数、国際移動と合わせて決まる。

白書と人口推計で総人口の数字が少し違うのはなぜですか。
公表の段階が違うためだ。毎月の人口推計は概算値として先に出され、のちに確定値へ置き換わる。白書はその時点で確定している数値を使う。1億2,321万人と1億2,322万人のような1万人単位の差は、この段階の違いによるものと考えてよい。

婚姻件数が増えたのに出生数が減ったのは矛盾しませんか。
矛盾しない。結婚から第一子の出生までには通常いくらかの間隔があり、同じ年の統計に同時に表れるとは限らない。また、婚姻が増えても初婚年齢が上がっていれば、生涯に持つ子どもの数は伸びにくい。単年の増減ではなく、数年の流れで見る必要がある。

統計を自分で確かめたいときは、どこを見ればよいですか。
高齢化の全体像は内閣府の高齢社会白書、月々の人口は総務省統計局の人口推計、出生や婚姻は厚生労働省の人口動態統計、将来の見通しは国立社会保障・人口問題研究所の推計が基本になる。いずれも無料で公開されており、都道府県や市区町村の単位まで下りられるものもある。


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