京都大学の地域創生プロジェクト|学生が入れる窓口はどこか

名前が並んでいるのは大学の広報ではなく府の採択一覧

京都大学が地域創生にどう関わっているかを調べようとすると、大学の公式サイトよりも先に京都府のページに行き当たる。府が実施する「大学・学生とともにのばす京都プロジェクト共同事業」の採択一覧である。令和6年度の一覧には52件が並び、そのうち6件が京都大学の事業だった。23の大学と短期大学部が名を連ねるなかで最も多い。次が龍谷大学の5件、福知山公立大学と大谷大学と京都産業大学が各4件である。

前年度の様子も残っている。令和5年度の「学生とともにのばす京都プロジェクト共同事業」では採択が31件で、京都大学は単独4件と山口大学との共同1件を合わせて5件。1年で全体の採択件数が31件から52件へ増え、京都大学の件数も1件増えた。令和6年度の採択事業一覧と令和5年度の一覧を並べて見ると、どの大学がどの地域と組んでいるかが年度単位で追える。大学名で検索するより、この一覧を起点にしたほうが早い。

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6件はそれぞれ別の地域課題に紐づいている

採択された6件は、同じ大学の事業でありながら扱う分野が重なっていない。府が付けている「府政課題分野」の区分で見ると、環境が2件、観光(交流)が2件、子育てと地域振興(南丹)が各1件である。学部や研究室の括りではなく、府が抱えている課題の側から枠が切られているため、関心のある分野から入口を探すことができる。

事業名 府政課題分野 扱っているもの
お箸からはじめる食堂の脱プラスティック 環境 大学食堂の箸を竹製に替え全学へ広げる
ビジターセンター×京大×未来知プロジェクト 観光(交流) 京都丹波高原国定公園の保全と活用、シカの捕獲実証
京都の都市近郊型里山の新しい活用のあり方 観光(交流)、過疎地域・農山村 里山団体と大学生が継続して協力する体制づくり
農山漁村と都市の多世代共創による「子育て」の魅力発見プロジェクト 子育て 学生が農山村の生活文化を体験し魅力を言語化
地域裨益型の営農型太陽光発電の実装モデル構築 環境 農地と発電を両立させる事業モデルの社会実装
都の食文化を支える京都丹波地域の地域農業の維持と発展 地域振興(南丹) 京丹波町の農業法人の活動を調査分析
令和6年度「大学・学生とともにのばす京都プロジェクト共同事業」採択事業(京都大学分)より作成

一覧には事業概要のほかに前年度ぶんの事業実績も載っている。たとえば脱プラスティックの事業では、北部食堂に600膳の竹箸を導入し、週1回の簡易検査と月1回の業者検査で衛生面を確かめ、使い心地と環境意識についてアンケートを取ったと書かれている。どの程度の規模で何を測ったのかまで公開されているので、参加する前に活動の密度を推し量ることができる。国定公園の事業では、自然科学と人文社会学の両面の研究成果データベースを更新し、野生動物のデータを集めてビジターセンターのパネル展示に使ったと記録されている。里山の事業では、府内で活動する里山団体への聞き取りと資源調査を学生が担った。どの事業も、現地に出て人から話を聞き、集めたものを形にするという手順を共有している。

学生が直接応募する枠ではない

ここで注意したいのは、この補助金の申請者が学生でも研究室でもないという点である。府の募集ページには、補助対象者は「大学等の設置者」で、国立大学法人、公立大学法人、学校法人、地方公共団体に限ると書かれている。つまり窓口は大学という法人であり、学生は「学生が参画する府政課題の解決に資する取組」という要件の側に位置づけられている。

金額の枠も決まっている。補助率は対象経費の10分の10以内で、上限は子育ての分野が80万円、それ以外の分野は60万円。千円未満は切り捨てられる。令和6年度は事前相談が3月25日から4月17日まで、本申請が3月25日から4月26日までという日程で、事前相談を済ませてからでないと本申請ができない仕組みだった。年度が始まる直前に動く制度なので、春休みのあいだに教員と相談しておかないと、その年度は入れない。単位の扱いを含めた仕組みの違いは大学の地域連携PBLの記事で整理している。

個人で申し込める窓口は府の別の事業にある

では学生が自分の名前で手を挙げられる場所はないのか。ある。同じ京都府が走らせている学生×地域つながる未来プロジェクトは、学生が個人で申し込み、地域で活動する団体とチームを組む仕組みになっている。大学生、大学院生、専門学校生が対象で、京都府外の学生も参加できる。募集の単位は1団体につき約5人で、令和8年度は11団体が受け入れ先として並んだ。

期間の取り方も学年と噛み合っている。6月に活動を始めて、翌年3月の全体成果報告会で区切るという年度いっぱいの設計で、5月中旬にチームが発表され、5月末のスタートアップ交流会に原則出席する。活動場所までの交通費は府が一部負担し、対象は往復2回分まで、遠方の学生は京都駅を起点に計算される。同じサークルからまとまって入らないよう、1チーム3名以下に分散して個人で申し込む決まりもある。受け皿の探し方そのものは学生が地域プロジェクトを始める順番にまとめた。

二つの入口を使い分ける

整理すると、京都大学を含む大学側の共同事業は教員や法人が申請し、学生はその中で動く。府の学生向けプロジェクトは学生が自分で申し込み、地域団体と組む。前者は研究や授業の延長線上にあり、予算がついた事業として進む。後者は個人の意思で始められるが、活動費の規模は交通費の一部負担にとどまる。どちらが良いという話ではなく、手元にあるもの、つまり指導教員との関係か、自分の時間か、によって選ぶ入口が変わる。

採択一覧をもう一度使うと、受け皿になっている市町村も見えてくる。令和6年度の52件には、京丹波町、綾部市、福知山市、南丹市、京丹後市、宮津市、与謝野町、伊根町、八幡市、南山城村などの名前が出てくる。京都市内のキャンパスから通える範囲ではないところも多い。大学名ではなく地域名で一覧を眺めると、自分が関わりたい土地で誰が活動しているかを先に特定できる。関わり方の型を比べたいときは大学生が地域活性化でできることが参考になる。募集情報を横断して探すならFLASPOも使える。

よくある質問

Q. 京都大学の学生でなければ関われませんか。A. 府の学生向けプロジェクトは京都府外の学生も対象としている。大学側の共同事業は申請者が大学等の設置者なので、在籍している大学が申請しているかどうかで変わる。令和6年度は23の大学と短期大学部が採択を受けているため、京都大学以外にも入口は広い。

Q. 募集はいつ見に行けばよいですか。A. 大学側の共同事業は年度が変わる直前、3月下旬から4月下旬に申請の窓が開く。学生向けプロジェクトは5月中旬にチームが決まる流れなので、春休みのうちに両方のページを確認しておくとよい。いずれも単年度の事業で、年度ごとにテーマと受け入れ先が入れ替わる。

Q. 活動にお金はかかりますか。A. 学生向けプロジェクトでは活動場所までの交通費を府が一部負担する。ただし往復2回分までという上限があり、受け入れ先によっては支給の対象外になる場合もある。現地での食事代などは自己負担になることがあるため、募集要項の記載を確かめておきたい。

Q. 採択された事業の中身はどこまでわかりますか。A. 府の採択一覧には事業名と府政課題分野、事業概要が載り、前年度ぶんには事業実績も添えられている。個別の報告書がPDFで公開されている事業もあるので、参加を検討する段階で目を通しておくと、活動の規模と自分の時間の見合いを判断しやすい。

Q. 教員に相談するとき何から話せばよいですか。A. 府の採択一覧で近い分野の事業を一つ挙げ、そこで学生が担っていた役割を示すのが早い。調査の聞き取り、データの収集、展示や学習会の運営、情報発信といった作業は複数の事業に共通して出てくる。自分がどの作業を引き受けられるかを具体的に言えると、申請の枠に名前を入れてもらいやすくなる。逆に「地域創生に関わりたい」という希望だけでは、どの事業の何に当てはめるかを教員の側が決めることになる。


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