補助金の審査は三層|基礎審査で失格、計画審査で順位が決まる

補助金の審査は三層|基礎審査で失格、計画審査で順位が決まる

中身を読まれる前に落ちる層がある

不採択の通知が届くと、まず疑うのは計画の書き方である。ところが公募要領を開くと、審査は中身を読む段階より手前から始まっている。小規模事業者持続化補助金の一般型通常枠では、審査の観点が基礎審査、計画審査、加点審査の三層に分けて示されており、最初の基礎審査には「要件を満たさない場合には、その提案は失格とします」と書かれている。順位をつける前に、土俵に乗るかどうかだけを見る層が置かれているということである。

基礎審査で問われるのは四点ある。必要な提出資料がすべて提出されていること、補助対象者と補助対象事業、補助率と補助上限額、補助対象経費のそれぞれの要件および記載内容に合致していること、補助事業を遂行するために必要な能力を有すること、そして小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること。添付書類が一枚足りないだけで、計画の出来とは無関係にここで終わる。

審査の進め方も決まっている。有識者等で構成される審査委員会が非公開で行い、判断の材料は提出資料だけである。提案内容に関するヒアリングは実施しないと明記されており、口頭で補う機会はない。結果の内容についての問い合わせにも応じないとされている。書いた紙がそのまま全てになる仕組みだと考えてよい。

層 見るもの 落ち方
基礎審査 資料の充足と要件への合致、遂行能力、主体性 満たさなければ失格
計画審査 経営計画と補助事業計画の四つの観点 総合評価の順位で線が引かれる
加点審査 政策目的に沿う取組かどうか 上積みがないまま順位勝負になる
審査の三層とそれぞれの落ち方。出典:小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)第20回公募要領
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順位を決めているのは四つの問い

基礎審査を通った提案は、計画審査で点数化される。公募要領は、経営計画および補助事業計画について四つの項目に基づいて加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択すると定めている。読み進めると、四項目の問いのほぼすべてに「売上高・売上総利益の増加」という言葉が現れる。評価の軸がここに固定されていることが、文面から読み取れる。

一つ目は自社の経営状況分析の妥当性で、経営状況と自社の製品やサービス、強みと弱みを適切に把握できているかが問われる。二つ目は経営方針・目標と今後のプランの適切性で、強みと弱みを踏まえ、対象とする市場や顧客のニーズを捉えているかを見る。三つ目は補助事業計画の有効性で、効果の目標が客観的事実に基づいて設定されているか、実現可能性が高いか、新たな価値を生み出す商品やサービスを有しているかまで踏み込む。四つ目は積算の透明・適切性で、事業費の計上と積算が正確かつ明確で、真に必要な金額が計上されているかを確かめる。

三つ目の項目には、見落としやすい問いが二つ混ざっている。デジタル技術を有効的に活用する取組が見られるか、そして補助事業で取得した資産を事業終了後も継続して使用し事業展開に役立てることが明確になっているか、である。買って終わりの計画は、この二問で差を付けられる。制度そのものの輪郭は補助金と助成金はどこが違うのかで整理している。

加点は二種類しか選べない

加点審査は、政策的な観点から点を上積みする層である。ここに落とし穴がある。加点は重点政策加点と政策加点からそれぞれ一種類、合計二種類までしか選択できない。しかも公募要領には、二種類以上を選択された場合には加点審査の対象となりませんと書かれている。多く申告すれば有利になるという発想で全部に印を付けると、加点がまるごと消える。

重点政策加点には、賃金引上げ特例に申請する赤字の事業者に対する赤字賃上げ加点、ウクライナ情勢や原油価格、LPガス価格等の高騰や米国による相互関税の影響を受けている事業者に対する事業環境変化加点、避難指示等の対象となった福島県十二市町村に事業実施場所がある事業者などに対する東日本大震災加点、くるみん認定やえるぼし認定を受けている事業者に対する加点、健康経営優良法人の認定を受けている事業者に対する加点が並ぶ。

どれを選ぶかは、手持ちの認定や置かれた事業環境で決まる。認定通知書の写しや営業許可証の写しといった証拠書類の提出が条件になっているものもあり、申請の直前に思い立っても間に合わない。二枠しかないのだから、確実に書類が出せるものを選ぶほうが現実的である。

過去に採択されていると不利になる

同じ補助金で二度目を狙うときに、効いてくる規定がある。公募要領は、より多くの事業者に補助事業を実施してもらうため、過去の補助事業の実施回数等に応じて段階的に減点調整を行うとしている。回を重ねるほど出発点が下がる設計である。

さらに厳しいのが同一事業の扱いで、過去に実施した補助事業と同じ事業であると見受けられる場合には不採択となり、採択後に判明した場合も遡って採択が取り消される。二回目以降の申請では、前回の実施結果を踏まえた計画になっているか、過去と明確に異なる新たな事業かという観点からも審査されると書かれている。前回の申請書を少し直して出す、という手は通らない。

他の制度との併願にも線がある。同一事業者が同一内容で国の他の補助事業や委託事業と併願している場合、不合理な重複および過度な集中を排除するため重複して採択しないとされている。そして採択されても、予算の都合等により希望金額から減額される場合がある。採択は満額の約束ではない。地域での起業に絡む枠組みの違いは地域起業の補助金でも触れている。

採択の通知は、審査の終わりではない

採択者一覧に名前が載ると一区切りに見えるが、手続きはまだ途中である。採択の後は計上したすべての経費について見積書等を提出し、事務局の審査を経て交付決定に至る。ここで内容が通らなければ、補助金申請額から減額されたり全額が対象外になったりすることもあると公募要領は断っている。

最後の関門は事業が終わった後にある。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の第十五条は、実績報告を受けた各省各庁の長が、報告書等の書類の審査と必要に応じて行う現地調査等により、成果が交付決定の内容および条件に適合するかを調査し、適合すると認めたときに交付すべき額を確定して通知すると定めている。つまり審査は入口と出口の二回あり、出口で金額が動く。

そのため記録の保存も義務になる。補助事業に関係する帳簿および証拠書類は、事業終了日の属する年度の終了後五年間、事務局や会計検査院の求めにいつでも応じられるよう保存しなければならない。この期間に実地検査が入る可能性もある。地域の仕事づくりを調べているFLASPOの視点でも、採択の瞬間より入金までの段取りのほうが実務の山場になる。

よくある疑問

審査は何人で見るのか。公募要領では有識者等により構成される審査委員会が行うとされているが、人数や構成員の氏名は公表されていない。非公開で提出資料のみによって判定される。

不採択の理由は教えてもらえるのか。採択審査結果の内容についての問い合わせには応じられないと明記されている。理由を聞いて次回に活かす、という進め方は想定されていない。自分で公募要領の審査の観点に照らし、どの項目の記述が薄かったかを洗い直すほかない。

加点を一つも選べない事業者は不利なのか。加点がなければ上積みはないが、計画審査の総合評価で順位が付く仕組みは変わらない。四つの観点に正面から答えた計画のほうが、無理に選んだ加点より効く場面はある。

次の回はいつ来るのか。中小企業庁は補助金公募情報のページで公募要領の公開と申請受付期間を順次知らせている。第20回の一般型通常枠は、公募要領が2026年5月27日に公開され、申請受付期間は11月5日から12月15日と告知された。

審査の根拠はどこを読めばよいか。制度ごとの観点は各回の公募要領に、国の補助金に共通する手続きは補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律にある。前者が点数の付け方、後者が決定と確定の枠組みを定めている。実際の観点の原文は第20回公募要領で確かめられる。


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