忘れ物より先に、持ち込めるかどうかが問題になる
出発前夜に思い出すのは、たいてい充電器と常備薬である。ところがここ数年で、何を持つかより、持って入れるかどうかのほうが先に効く場面が増えた。空港の保安検査で止められる物と、宿に置いてあるはずだった物の両方で、決まりが動いている。
国土交通省は、空港に持っていく手荷物を機内に持ち込む物と預ける物に分け、航空法で輸送を禁じている危険物のうち、一定の制限の下で運べる物がある、という形で案内している。制限がある品目のページには問い合わせの多い代表例がまとめられ、刃物類のように保安上の理由で持ち込めない物も示されている。
以下では、最も変更が大きかったモバイルバッテリー、液体物の扱い、宿のアメニティ、そして泊数から逆算する考え方の順に確かめていく。
モバイルバッテリーは2026年4月24日から2個まで
国土交通省が旅客向けに出しているモバイルバッテリーの持込みについては、守ってほしい点を七つ挙げている。預入手荷物に入れることは禁止で必ず機内に持ち込むこと、ワット時定格量が160Whを超えるものは持ち込めないこと、端子に絶縁テープを貼るかケースに入れてショートを防ぐこと、座席上の収納棚ではなく座席ポケットなど手元に置くこと。ここまでは以前からの決まりである。
新しく加わったのが令和8年4月24日からの個数制限で、機内に持ち込めるモバイルバッテリーは1人2個までとなった。あわせて、機内の電源からバッテリーへ充電すること、バッテリーから他の電子機器へ充電することも禁じられている。電子機器の充電は機内備え付けの電源を使う。これらのうち複数の項目については、違反すると航空法により罰則が科される可能性があるとされている。
| 持ち込むモバイルバッテリー | 本体の個数 | 予備電池(100Wh以下) | 予備電池(100Wh超〜160Wh以下) |
|---|---|---|---|
| 100Wh以下を2個 | 2個まで | 個数制限なし | 2個まで |
| 100Wh超〜160Wh以下を2個 | 2個まで | 個数制限なし | 持込み不可 |
| 100Wh以下と100Wh超を各1個 | 2個まで | 個数制限なし | 1個まで |
手持ちの製品が何Whかは本体の表示から計算できる。資料では、定格容量がmAhで書かれている場合はmAh×定格電圧(V)÷1,000で求めるとされ、27,000mAhで3.7Vなら99.9Whという例が示されている。2万mAh台の大容量品でも100Whの線の内側に収まることが多い。
ショート対策は複数のバッテリーをまとめて持つ人ほど効いてくる。資料では、端子に絶縁テープを貼る、ケースや収納袋に入れる、複数のバッテリーや金属品を同じ袋に入れない、という三つが並んでいる。鍵や小銭と一緒にポーチへ放り込む持ち方が、ちょうど避けるべき形にあたる。発煙や発火の事例が国内外で起きたことが、一連の見直しの出発点になっている。
液体と刃物は、国内線と国際線で扱いが分かれる
液体物については、国土交通省が国際線の航空機客室内への液体物持込制限という専用のページを設け、制限の概要、対象となる液体物のリスト、よくある質問、ポスターやリーフレットまで公開している。化粧品や飲料のように形が容器に依存するものが対象で、保安検査の現場で判断が行われる。
国内線にも危険物の制限はあるが、液体物の扱いは国際線とは別の整理になっている。同じ荷物でも、乗る便によって通る通らないが変わるということである。土産に酒や調味料を買う予定があるなら、帰りの便がどちらかを先に確かめておくほうが早い。
さらに航空会社が独自に厳しい条件を設けることもある。国土交通省の案内にも、各航空会社の指示に従うよう明記されている。主要各社の問い合わせ先をまとめた資料も同じページから開けるので、判断に迷う物は電話で聞いてしまうのが確実である。空港に持ってきてしまった場合は係員に申し出る。
判断に迷ったときの入口も用意されている。国土交通省のページからは、ヘアアイロンやヒートブラシの扱いをまとめた資料、取扱いが複雑な電動車椅子の預け方、危険物の代表例を示したポスターなどが開ける。政府広報オンラインの記事と、モバイルバッテリーのルールを説明した動画も案内されている。荷造りの前に目を通しておけば、検査の列で慌てずに済む。
宿の歯ブラシは、置いてあるとは限らなくなった
荷造りを軽くしてきた人ほど影響を受けるのが、宿のアメニティである。環境省の特定プラスチック使用製品の使用の合理化のページによると、無償で提供される主にプラスチック製の12製品が政令で指定されており、このうち宿泊業が対象となるのはヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシの5品目である。
禁止されたわけではない。事業者に求められているのは削減目標を立てて取り組むことで、有償での提供、使うかどうかの意思確認、繰り返し使える製品への切り替えといった工夫が例として挙げられている。前年度の提供量が5トン以上の多量提供事業者については、取組が著しく不十分な場合に勧告や公表、命令の対象になりうる。
先行事例として紹介されているのが、客室には置かず、必要な人がフロントやアメニティコーナーで受け取る方式である。宿の構えがこの方向に動いている以上、歯ブラシとかみそりは持参を既定にしておくと迷いが減る。宿選びの観点はひとり旅ホテルの選び方でも扱っている。
泊まるか日帰りかで、荷物の中身は入れ替わる
荷物の量は日数から決まる。観光庁の旅行・観光消費動向調査の2025年年間値(確報)では、日本人の国内延べ旅行者数5億5,313万人のうち、宿泊旅行が2億9,997万人、日帰り旅行が2億5,316万人だった。国内旅行のおよそ半分は泊まらない旅である。
日帰りなら着替えや洗面具より、充電手段と天候への備えのほうが効く。半面、1泊でも挟むなら歯ブラシ類と常備薬、充電器が加わり、保安検査を通る荷物の条件も効いてくる。日帰りの組み立て方はひとり旅日帰りの完全ガイドに具体例がある。旅先の地域とどう関わるかまで考えたい人は、FLASPOが紹介している地域との接点も参考になる。
同じ調査では、1人1回当たりの支出が宿泊旅行で72,412円、日帰り旅行で20,000円となっている。この金額には交通費や飲食費、買物代も含まれる。持ち物を増やして現地での買い足しを減らすか、身軽に出て足りない物を買うかは、この差の中でどちらを選ぶかという話でもある。連泊する場合は、洗濯できる環境があるかどうかで衣類の量が変わる。
よくある質問
モバイルバッテリーをスーツケースに入れて預けてよいか。預入手荷物に入れることは禁止されている。必ず機内に持ち込み、座席ポケットなど手元で保管する。収納棚に上げるのも避けるよう求められている。
何個まで持てるのか。本体は160Wh以下のものを1人2個までである。電子機器から取り外した予備のリチウムイオン電池は、100Wh以下なら個数の制限がなく、100Whを超え160Wh以下のものは本体の構成によって2個まで、1個まで、または持込み不可と変わる。
宿のアメニティは本当に無くなるのか。法律が禁じているのではなく、使用量を減らす取組が求められている。置き方が変わった宿が増えているという話であり、フロントで受け取れることも多い。心配なら予約時に確認しておく。
機内でスマートフォンを充電してよいか。機内備え付けの電源を使う分には案内のとおりだが、モバイルバッテリーから他の機器へ充電することは控えるよう求められている。バッテリー自体への充電も禁止である。長時間の便では、乗る前に充電を済ませておくほうが確実になる。
アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。
FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。
賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。
