サークルの飲み会|法律が罰する相手と会費と後片づけの段取り

幹事を任された日に、決める順番がある

三十人の予定を合わせて店を押さえ、会費を集めて席を割る。幹事の仕事は作業量だけなら一日で終わる類のものですが、終わったあとに残る疲れはそこから来ていません。何かあったら自分の責任になるという感覚が、準備の間ずっと背中にあるからです。

その不安は、順番を決めておくと小さくなります。先に押さえるのは日程と店ではなく、参加者の中に二十歳未満が何人いるかです。ここが決まらないと、店の選び方も飲み物の頼み方も会費の立て方も決まりません。学年で推測せず、本人に生年月日ベースで確かめるのが唯一の方法です。四月生まれと三月生まれでは、同じ二年生でも扱いが変わります。

次に会費です。飲む人と飲まない人を同額にすると、飲まない側が黙って離れていきます。二十歳未満が混じる席では、同額にすること自体が飲酒を促す圧力として働いてしまいます。金額の設計は、人間関係の設計を兼ねています。

罰則は、思っている相手に向いていない

二十歳未満の飲酒を禁じている法律は、大正十一年にできた二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律です。片仮名の古い文体のまま現役で、条文はわずか四条しかありません。読んでみると、罰則の向き先が一般の想像とずれていることに気づきます。

立場 条文 定めている内容 罰則
二十歳未満の本人 第一条第一項 酒類を飲用することを得ず この法律に罰則の規定はない
親権者・親権者に代わり監督する者 第一条第二項 飲酒を知ったときは制止すべし 第三条第二項により科料
業態として酒類を売る営業者 第一条第三項 飲用に供すると知って販売・供与することを得ず 第三条第一項により五十万円以下の罰金
同じ営業者 第一条第四項 年齢の確認その他必要な措置を講ずるものとす 罰則ではなく義務の形
従業者が業務に関して違反した店 第四条 行為者を罰するほか法人または人にも科す 第三条第一項と同じ罰金

表のとおり、五十万円以下の罰金が向いているのは酒を商売として売る側です。科料が向くのは親権者とその代わりに監督する立場の人です。サークルの先輩が後輩に酒を注いだ場面を直接名指しして罰する条文は、この四条の中に置かれていません。

だからといって自由になるわけではない、というのがここの要点です。二十歳未満に酒を出す席を作れば、注文を受けた店が罰金の対象になり、第四条の規定でその法人まで巻き込まれます。自分が罰せられないかどうかではなく、誰を巻き込む行為なのかで考える必要があります。大学の公認を受けている団体なら、処分の判断は法律とは別の基準で下されます。公認という立場がどこで効いてくるかは公認サークルと非公認の違いに整理があります。

飲ませない席は、意思ではなく段取りで作る

「無理に飲ませない」と口で申し合わせても、二時間たって場が緩んだときには誰も覚えていません。効くのは、その場の判断に頼らない仕掛けです。

まず店の選び方で、飲み放題の一律プランしかない店を避けます。プランを人数分まとめて頼む形式は、注がれる前提の席を自動的に作ってしまいます。ソフトドリンクのコースを別に用意できる店なら、申し込みの段階で人数を分けて伝えられます。

席とグラスも分けます。二十歳未満の参加者をまとめて座らせる方法は本人が居心地を悪くしがちなので、グラスの色や形を変えてもらうほうが実務的です。遠くから見て中身が分かる状態になっていれば、酔った人が善意で注ぐ事故が起きません。

最後に、乾杯の前に一度声に出しておきます。注ぎ合いをしないこと、飲めない人に理由を聞かないこと、帰りたい人は途中で帰ってよいこと。この三つを最初に言った席は、後から言い出す席よりはるかに静かに収まります。新歓の場での線の引き方はサークル新歓の回に詳しく触れています。

目分量をやめて、グラム数で話す

「何杯まで」という数え方は、度数の違いを無視してしまいます。厚生労働省が令和六年二月に公表した健康に配慮した飲酒に関するガイドラインは、杯数ではなく純アルコール量という共通の単位を使うことを勧めています。

算出式は単純です。摂取量をミリリットルで取り、アルコール濃度を度数を百で割った数で掛け、さらにアルコールの比重である〇・八を掛ける。ガイドラインはビール五百ミリリットルで度数五パーセントの場合を例に挙げ、二十グラムという答えを示しています。

ガイドラインが示す目安 純アルコール量 ビール五パーセント換算
生活習慣病のリスクを高める量(男性・一日当たり) 四十グラム以上 五百ミリリットル缶で二本
生活習慣病のリスクを高める量(女性・一日当たり) 二十グラム以上 五百ミリリットル缶で一本
一時多量飲酒(一回の飲酒機会) 六十グラム以上 五百ミリリットル缶で三本

右端の列を見ると、距離感が変わるはずです。飲み会でよく出る「とりあえず三本」という量が、ガイドラインの言う一時多量飲酒の水準にそのまま重なります。幹事が注文の総量を把握しておけば、場に出回る量を事前に抑えられます。

強要と急変に、先に手当てをしておく

同じガイドラインは、避けるべき行動として他人への飲酒の強要等を挙げ、無理な飲酒を勧めることを避けるべきだとしています。飲酒を契機とした暴力や暴言、ハラスメントにつながらないよう配慮しなければならないとも書かれています。罰則の条文ではありませんが、国が文書で線を引いている以上、知らなかったという説明は通りません。

急変への備えは、知識よりも役割分担です。寝てしまった人を放置しない、一人で帰らせない、誰が付き添うかをその場で指名する。この三つを最初から誰かの担当にしておきます。意識がはっきりしない、揺すっても反応が薄い、吐いたものを自分で処理できないといった状態は、様子を見る段階ではありません。救急に連絡する判断を、酔っていない人が持っている体制にしておく必要があります。

酔っていない人を必ず一人は残す、という運用が土台になります。幹事自身が飲んでしまうと、判断する人が席からいなくなります。負担が一人に寄らないよう、交替で素面の担当を回す形にしている団体もあります。運営の負荷をどう分散するかという発想はサークル運営のコツと同じ筋です。学生生活の設計そのものを見直したいときはFLASPOも覗いてみてください。

よくある質問

二十歳未満の後輩に酒を注いだ先輩は、法律上どうなりますか。

大正十一年の法律の第三条が罰金を定めている相手は、業態として酒類を売る営業者です。科料の対象は親権者とその代わりに監督する立場の人になります。先輩個人をこの二つの枠で名指しする条文はありません。ただし酒を出した店が罰金の対象になり、大学の規則による処分や、何か起きたときの民事上の責任は別に残ります。

本人が自分から飲みたいと言った場合はどうですか。

第一条第一項が二十歳未満の飲用そのものを禁じているため、本人の希望は根拠になりません。厚生労働省のガイドラインも、二十歳未満に飲酒させることを含めて法律違反に当たる場合として挙げています。希望を断る理由は十分にそろっています。

飲み放題プランしかない店を予約してしまいました。

予約の変更が間に合うなら、ソフトドリンクのみの料金を分けられるか店に確認してください。間に合わない場合は、二十歳未満の参加者の分だけ個別注文に切り替えられるかを当日の入店時に相談します。会費も同額では集めず、差額を返す前提で立てておくのが筋です。

会費を飲む人と飲まない人で分けると、気を使わせませんか。

分けないほうが気を使わせます。同額だと、飲まない人は払った分を取り戻せないまま座っていることになり、次から来なくなります。案内の文面に二種類の金額を最初から並べておけば、どちらを選ぶかという話で済み、理由を説明させる場面が生まれません。

一次会のあと、有志で二次会に行く場合の責任はどうなりますか。

団体の行事としての区切りを、その場で言葉にしておくことが大切です。公式の会はここで終わると宣言し、二十歳未満の参加者には帰路を確かめてから解散します。曖昧なまま流れると、個人の集まりなのか団体の活動なのかが後から判断できず、大学への説明も難しくなります。


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。