ESの基本構成|履歴書の一欄が設問に分かれる仕組みから読む | FLASPO MAGAZINE

ESの基本構成|履歴書の一欄が設問に分かれる仕組みから読む

設問の数が増えても、埋める中身は三つの方向に収まる

志望先を二社並べただけで、設問の文面はもう食い違っている。片方は「学生時代に力を入れたこと」を四百字で聞き、もう片方は「あなたを形づくった経験」を六百字で求める。設問が無限にあるように見えるのは、問い方の違いを中身の違いとして受け取ってしまうからである。

手がかりは応募書類のもう一方にある。厚生労働省が参考として示した履歴書の様式例は、氏名や生年月日や現住所といった事実の欄、学歴・職歴の欄、免許・資格の欄、そして「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」という一つの自由記述欄、最後に本人希望記入欄という並びでできている。自由に書く部分は、この様式例では一つの箱にまとめられている。

ESは、その一つの箱を複数の設問に割り、それぞれに字数を指定した書類だと見ると構造がつかめる。志望の動機は志望理由の設問になり、好きな学科は研究内容や力を入れた科目の設問に化け、アピールポイントは自己PRや学生時代の取り組みの設問に分かれる。欄が五つ並んでいても六つ並んでいても、用意する材料は志望の理由、自分の持ち味、学問上の関心という三つの方向に落ち着く。

履歴書様式例の欄 ESでの現れ方 用意しておく材料
氏名・生年月日・現住所・連絡先 基本情報の入力欄 誤記のない表記と届く連絡先
学歴・職歴 学歴欄。研究室やゼミ名を添える形もある 在籍期間と組織の正式名称
免許・資格 資格欄。取得年月まで書かせることが多い 取得年月と級や点数
志望の動機 志望理由を問う設問 事業の中身と自分の接点
特技・好きな学科 研究内容や力を入れた科目を問う設問 題目と取り組んだ期間
アピールポイント 自己PRと学生時代の取り組みの設問 自分が動かした内容と相手の反応
本人希望記入欄 勤務地や職種の希望欄 譲れない条件と譲れる条件

この対応を一度作っておくと、新しい設問を見たときの仕事が「どの箱から取り出すか」に変わる。白紙から考え直す回数が減り、一社あたりの時間が短くなる。

一つの設問の内側は、五つの部品に割れる

四百字の空欄を前にして最初の一行が決まらないのは、欄の大きさに見合う部品を手元に持っていないためである。設問一つの中身は、結論、状況、行動、結果、接続の五つに分けられる。結論は設問への答えを一文で示す部分、状況はその答えを支える場面、行動は自分が動かした内容、結果は相手や数字に表れた変化、接続は志望先や入社後とのつながりを指す。

並べる順序は結論から始める。文化審議会が建議した公用文作成の考え方は、文書の構成について、結論は早めに示して続けて理由や詳細を説明すること、そして分量の限度を決めておくことを指針に挙げている。一日に何十通も目を通す読み手が相手の書類では、この順序の効きが大きい。

字数が変わっても部品の種類は増やさず、入れる個数で調整する。二百字なら結論と行動と結果の三つ、四百字なら状況を足して四つ、六百字を超えるなら接続まで入れて具体例を一つ添える。削る順序を先に決めておけば、同じ経験を字数の違う欄へ流し込めるようになる。

指定字数 入れる部品 先に落とすもの
100〜200字 結論・行動・結果 場面の説明をすべて外す
300〜400字 結論・状況・行動・結果 志望先とのつながりの一行
600〜800字 五つすべてと具体例一つ 形容の言葉と前置きの一文

落とす対象を間違えると文章だけが薄くなる。最初に外すのは場面の説明と形容の言葉で、行動と結果は最後まで残す。欄が小さいときほど、動詞の並んだ部分が生き残るように削る。

応募の段で並ぶ書類は、ESだけではない

構成を考えるとき、ESを単独の紙として扱うと噛み合わない場面が出る。内閣府の委託調査は2025年7月10日から8月11日にかけて62の大学を通じて行われ、大学4年生と大学院2年生から4,415件の回答を得ている。この報告書によると、面接や試験を受けるにあたって履修履歴(成績証明書など)を提出した状況は、「多くの企業で提出した」が28.2%、「ある程度の企業で提出した」が30.8%、「提出した企業もあったが、少なかった」が23.9%、「提出した企業はなかった」が17.2%だった。

求められる時期も分かれている。就職予定の企業から提出を求められたタイミングは、応募時が28.8%、一次面接時が15.9%、二次面接時以降が29.2%、内々定時が3.4%、内々定後が9.2%で、求められなかったという回答は13.6%にとどまる。応募の段で成績がそのまま並ぶ場合が三割近くあることになる。

ここから構成への影響が二つ出る。学業に触れる設問では、成績表と並べて読まれても矛盾しない書き方にしておく。研究や科目の話を書くときは、履修履歴に載る正式な科目名と表記を揃える。提出物どうしが互いの裏づけになる状態を作れば、読み手が確認に使う時間が短くなり、その分だけ中身を読む時間が増える。

十社台に出す前提で、構成を部品として持つ

一社ぶんだけを丁寧に仕上げる作り方では、途中で息が切れる。同じ調査で何社にESを提出したかを見ると、1社から4社が22.6%、5社から9社が23.7%、10社から19社が24.4%、20社から29社が13.6%、30社から39社が8.0%、40社以上が7.8%で、30社以上に出した人が15.7%を占めた。

分布の中央は十社台にある。大学院2年生だけを取り出すと1社から4社が25.5%、5社から9社が24.8%、10社から19社が26.1%とほぼ横並びになり、30社以上は13.0%で学部4年生の16.2%を下回る。過年度の調査と並べると10社から19社と20社から29社の割合が下がっており、数で押す進め方はむしろ退いている。

それでも十社前後に出すなら、設問ごとに書き下ろす方式は現実的ではない。経験一つにつき結論・状況・行動・結果の四行に圧縮した素材を五つか六つ作り、設問に応じて組み替える。流用できるのは素材までで、設問の語に答えを合わせる作業は毎回残る。素材を順番に並べる段取りそのものは、構成の作り方で扱われている型の考え方と重なる。

構成表に作らない欄がある

部品を並べる段で、はじめから外しておく項目がある。厚生労働省は公正な採用選考の基本として、選考は応募者の適性と能力のみを基準に行うものとし、本籍や出生地、家族の職業や収入、住宅の状況、生活環境といった本人に責任のない事項、そして宗教や支持政党、人生観、尊敬する人物、思想、購読新聞や愛読書といった本来自由であるべき事項については把握を避けるよう示している。

これは企業へ向けた指針だが、書く側の設計にも効く。自分から書き込んでも評価の材料として扱えない情報に字数を使えば、その分だけ適性と能力の記述が削られる。信条を伝えたいときは、信条そのものを宣言するのではなく、それに沿って続けた行動と、相手に生じた変化のほうを置く。

構成表の段階で「この欄には行動と結果だけを入れる」と決めてしまえば、推敲のときに迷わない。地域での活動を素材にするなら、FLASPOのような場で引き受けた役割と、やり取りした相手の反応を記録に残しておくと、どの設問にも流し込める形で手元に残る。

よくある質問

設問が一つだけの企業はどう組み立てるか。その場合は字数が千字を超えることが多い。五つの部品を一度ずつ使い、行動と結果だけを二組に増やす。経験を二つ並べて最後に共通点を置く形も収まりがよい。

基本情報の欄は工夫の対象になるか。入力の正確さが見られるだけで、書き方で差がつく余地はない。ただし学部や学科、研究室の表記は履修履歴と合わせておく。略称と正式名称が混ざると、読み手に確認の手間を作ってしまう。

字数の指定がないときは何字書けばよいか。公用文の指針は分量の限度を決めておくことを勧めている。欄の見た目に対して八割から九割が埋まる量を自分で決め、同じ種類の設問では毎回その量に揃えると、仕上がりが安定する。

結論を先に出すと、その先を読む理由がなくなるのではないか。答えを先に置くことと、根拠を省かずに続けることは両立する。結論ファーストの形では、読み手が最初の一文で話の筋をつかめるため、そのあとに出てくる具体が記憶に残りやすくなる。

同じ経験を複数の設問に使ってよいか。一社の中で同じ題材を二つの欄に置くと、読み手には材料の少なさとして映る。素材を五つ以上そろえておく理由はここにある。別の企業に同じ素材を回すことは差し支えない。

成績に自信がない場合、学業の話は避けたほうがよいか。履修履歴は三割近くの企業で応募の段に並ぶため、触れないことが隠すことにはならない。評点そのものより、どの科目で何を調べ、その手順を他の場面にどう持ち込んだかを書くほうが、適性と能力の記述として読まれる。


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