集落の無人化予測は12.6%だけ当たった|78,485集落と外から関わる人の位置

5年ぶりの調査で見えた78,485集落の現在地

自分が関わっている地域の集落は10年後も残っているのか。この問いに行政側の数字で答えられるようになったのは、2025年8月8日に国土交通省と総務省が合同で公表した「過疎地域等における集落の状況に関する現況把握調査」の結果が出てからである。対象は令和6年4月1日時点で条件不利地域にあたる1,085市町村で、同年10月3日から12月24日まで調査票を配って集めた。前回の令和元年度調査から5年が空いている。

公表された集落数は78,485集落、そこに住む集落人口は1,432.9万人で、1集落あたりの平均人口は184.9人だった。ここでいう条件不利地域は、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法に基づく過疎地域に加え、山村振興法の振興山村、離島振興法の離島振興対策実施地域、半島振興法の半島振興対策実施地域、豪雪地帯対策特別措置法の特別豪雪地帯を持つ市町村まで含む。いわゆる過疎地域だけを切り出した数字ではない点を先に押さえておきたい。

最も動いたのは年齢構成である。住民の半数以上が65歳以上である集落の割合は40.2%で、前回調査の29.2%から10ポイント以上増えた。同じ5年間で全国総人口に占める65歳以上の割合は28.4%から29.3%へ0.9ポイントしか動いていない。全国の高齢化がゆるやかに進むあいだに、条件不利地域の集落では10ポイントを超える変化が起きていたことになる。

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694集落が減った内訳は無人化だけではない

減った集落をひとまとめに「消えた」と書くと、起きていることを取り違える。前回調査と比較できる1,038市町村に限ると、集落数は76,015集落から75,321集落へと694集落減り、5年間の減少率は0.9%だった。一方で集落人口は1,447.8万人から1,339.7万人へ7.5%減り、1集落あたりの平均人口は194.8人から180.2人へ14.6人下がっている。集落の数より、中にいる人の数が8倍以上の速さで減っている。

694という数字の内訳は三つに分かれる。無人化した集落が296集落で0.4%、集落再編によって減った集落が617集落で0.8%、新たに誕生した集落が219集落で0.3%である。再編は合併や統合で行政区の単位が組み替わった結果であり、住民がいなくなったことを意味しない。無人化と再編を区別せずに「694集落が消滅した」と読むと、実際に無人化した数の2倍を超える規模を見てしまう。

新しく生まれた集落が219ある点も見落としやすい。条件不利地域の中でも、住宅の立地や行政区の分割によって単位が増える場所はある。減る一方の地図ではなく、組み替わりながら縮んでいる地図だと捉えるほうが実態に近い。

10年以内に無人化すると予測された499集落の5年後

前回の令和元年度調査では、市町村が「10年以内に無人化する可能性がある」と答えた集落が499あった。今回の調査でその499集落を追うと、5年のあいだに実際に無人化したのは63集落で12.6%にとどまり、現存する集落は423集落で84.8%にあたる。市町村の担当者が最も危ないと見ていた集落の8割以上が、予測から5年経っても残っていた。

ただし、これを「心配しすぎだった」と読むのは早い。今後の動向予測の分布そのものが悪くなっている。「当面存続」と答えられた集落の割合は前回の86.3%から73.8%へ12.5ポイント下がった。その一方で「いずれ無人化」は4.1%から4.2%、「10年以内に無人化」は0.7%から0.6%とほぼ横ばいである。無人化の見通しが立つ集落は増えていないのに、存続を言い切れる集落が大きく減った。

減った12.5ポイントは、無人化とも存続とも判断できない帯に移ったことになる。期限を切った予測は外れるが、判断を保留される範囲は広がる。外からの関わりが検討の対象になるのは、まさにこの保留された集落が増えた帯である。消えると決まった集落ではなく、決めきれない集落のほうが数として大きい。

無人化が危惧される集落では何が先に抜けるか

調査は、いずれ無人化すると予測された集落と10年以内に無人化すると予測された集落をまとめて「無人化が危惧される集落」と呼び、12の生活サービス機能の立地状況を当面存続するとみられる集落と比べている。すべてのサービスで立地割合が低かったが、差の大きさは一様ではなかった。

生活サービス 無人化が危惧される集落 当面存続するとみられる集落 差
商店・スーパー 3.6% 22.9% 19.3ポイント
飲食店・喫茶店 5.8% 20.9% 15.1ポイント
ATM 2.5% 12.0% 9.5ポイント
病院・診療所 1.7% 9.4% 7.7ポイント

買い物と食事の場が最も早く抜ける。商店やスーパーがある集落は危惧される側で3.6%しかなく、存続側の22.9%と19.3ポイント開いた。病院・診療所の差は7.7ポイントで、医療機関より先に日常の買い物が失われる順番が読み取れる。金融と医療は差が小さいが、それは元から立地割合が低いためで、恵まれているという話ではない。

建物と土地の管理も進む。危惧される集落のうち、空き家の一部または大部分で管理が不十分な集落は64.5%、道路・用排水路・河川等の管理が不十分または荒廃している集落は47.1%にのぼった。移動手段の構成も入れ替わっている。市町村の中心部への主な交通手段の利用割合は、デマンドバス・乗合タクシーが29.6%から35.5%へ5.9ポイント上がり、公営路線バスは32.1%から28.6%へ、民営路線バスは26.0%から21.6%へ下がった。定時定路線の便が退き、予約制の移動が受け皿になっている。

外から関わる人はどの集落に入っているか

サポート人材が活動する集落の割合は、この5年で上がった。集落支援員が活動する集落は19.3%から28.8%へ9.5ポイント増え、地域おこし協力隊等が活動する集落は19.9%から22.0%へ2.1ポイント増えている。その他のサポート人材は1.9%から1.8%でほぼ動かない。集落支援員の伸びが協力隊の4倍以上ある点が、この5年の特徴である。

二つの制度は似て見えるが役割が違う。集落支援員3,270人と派遣職員833人の違いを押さえておくと、どちらが入っている集落なのかで読み方が変わる。協力隊が都市から移り住む人を前提にした制度である一方、集落支援員は地域の事情を知る人も委嘱の対象になるため、集落の数に対して広く配置しやすい。伸び方の差はこの設計の違いから来ている。

注意したいのは、協力隊等が活動する集落が22.0%にとどまる点である。残りの8割近くには制度上の担い手が入っておらず、外から関わる人の入口は制度の外側にもある。受け入れた集落の住民70票が示したことを見ると、受け入れ側の判断は制度の有無だけで決まっていない。過疎885市町村と協力隊8,196人の実際と重ねると、制度の密度が高い地域と集落の密度が高い地域はずれている。学生のうちから入口を探すなら、FLASPOのように関わり方を整理している場で、制度の外の関わりも含めて見ておくとよい。

よくある質問

調査の原典はどこで読めますか

国土交通省と総務省の合同調査で、主な結果は2025年8月8日の報道発表にまとまっている。数値は報道発表資料のPDFから確認でき、報告書と概要は国土政策局の掲載ページに置かれている。

78,485集落と75,321集落はなぜ違うのですか

対象範囲が違う。78,485集落は令和6年4月時点で条件不利地域にある1,085市町村の全体値である。75,321集落は前回調査と比較できる1,038市町村だけを取り出した値で、5年前との増減を見るために使う。前回との比較を語るときは後者、現在の規模を語るときは前者を使うと取り違えが起きない。

「無人化が危惧される集落」はどのくらいありますか

予測の内訳では「いずれ無人化」が4.2%、「10年以内に無人化」が0.6%で、合わせて4.8%がこの区分にあたる。残りのうち73.8%が「当面存続」で、どちらとも答えられなかった部分が前回より広がっている。割合としては小さいが、生活サービスの立地や空き家の管理状況は存続側と大きく開いている。

学生が関わるなら、どの段階の集落を選ぶべきですか

この調査からは、買い物や飲食の場が残っているかどうかが滞在のしやすさを大きく左右すると読める。無人化が危惧される集落では商店・スーパーの立地が3.6%しかないため、短期の滞在でも食料と移動の確保を先に決める必要がある。一方、当面存続とされた集落でも平均人口は180.2人まで下がっており、少人数で回している行事や管理作業に人手が足りない状況は共通している。関わる側の条件に合わせて選ぶほうが続きやすい。

集落支援員と地域おこし協力隊のどちらがいる集落が多いですか

集落支援員が活動する集落のほうが多く、28.8%と22.0%で6.8ポイントの差がある。5年前は19.3%と19.9%でほぼ並んでいたため、差がついたのはこの5年である。委嘱の要件が広い制度のほうが集落の数に届きやすいという結果になっている。


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