スポーツコミッション207団体|職員平均5.6人という担い手の薄さ

年に数回、試合のために通う人をどう数えるか

好きなチームのホームゲームに年に数回出かける。大学の部で毎年同じ町に合宿へ行く。マラソン大会に出るために前泊する。こうした移動は観光とも移住とも呼びにくいが、同じ地域に繰り返し足を運ぶという点では、確かに関わりである。

国土交通省が令和7年6月27日に公表した地域との関わりについてのアンケートは、この種の関わりを持つ人を全国で約2,263万人と推計した。18歳以上の2割強にあたる。うち訪問を伴う層は約1,884万人で、類型別では趣味・消費型が最も多い。訪問日数は年に2日から7日が約49パーセント、8日以上が約31パーセント、1日以下が約20パーセントという分布だった。有効回答は118,963人である。

年に数日という頻度は、スポーツの観戦や大会参加の回数とよく重なる。では、その人たちを受け止める側は、地域にどう用意されているのか。スポーツ庁の資料に、はっきりした答えがある。

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地域スポーツコミッションという受け皿

受け皿にあたる組織の名前は「地域スポーツコミッション」である。スポーツ庁の資料日本全国に拡大中!地域スポーツコミッションによれば、令和6年10月の段階で全国に207団体が確認されている。2016年度の56団体から、8年でおよそ4倍になった。

組織の形には特徴がある。自治体の一部署ではなく、地方公共団体に体育協会や総合型地域スポーツクラブなどのスポーツ団体が加わり、さらに観光協会、商工団体、大学、観光産業、スポーツ産業といった民間が一体となる。資料はこれを「異業種間にヨコ串を刺す」組織と説明している。構成員の列に大学が入っているのは、学生から見て重要な点である。

担う仕事も幅がある。スポーツと観光を組み合わせたスポーツツーリズム、域外から参加者を呼び込む地域スポーツ大会やイベントの開催、国内外の大規模大会の誘致、プロチームや大学の合宿やキャンプの誘致、住民向けの地域スポーツクラブの運営、健康増進や地域交流のイベント。外から人を呼ぶ仕事と、住んでいる人に向けた仕事の両方が同じ組織に載っている。

つまり、年に数日しか訪れない人と、毎週通う住民を、同じ窓口が扱っている。関係人口の受け皿としては珍しい構造で、だからこそ訪問者の側からも中に入りやすい。

数の目標は達成され、論点は質へ移った

207という数字は、政策の目標を超えた結果である。第2期スポーツ基本計画は令和3年度末までに設置数を170へ拡大することを掲げていた。スポーツ庁は平成27年度から支援事業を続けており、同庁の調査で令和6年10月に207団体が確認されたことから、数の目標はすでに越えている。

そこで第3期スポーツ基本計画では、力点が設置数から質へ移った。資料は、経営の安定性を高める活動と、担い手となる人材の育成・確保に取り組むと書いている。増やす段階から、増えたものを回す段階に入ったという整理である。

予算の資料にも同じ転換が出ている。スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業の令和7年度予算案は136,971千円で、前年度の188,726千円から減っている。中身は、多角的な事業展開を支える経営多角化支援事業が0.7億円、研修や人材確保を支える担い手育成等サポート事業が0.6億円という二本立てだ。前者では過年度に採択実績のない自治体を優先的に支援するとされている。配る金額を広げるのではなく、まだ届いていない地域と人の確保に寄せた形である。

職員は平均5.6人。4人以下が3分の2を占める

質が論点になった理由は、同じ予算資料に添えられた数字を見ると分かる。令和3年度の「地域スポーツコミッションの組織体制及び活動概況に関する調査」による担当職員数の分布は次のとおりで、平均は5.6人だった。

担当職員数 割合
0人 3.9%
1〜2人 30.2%
3〜4人 32.6%
5〜9人 20.9%
10〜19人 6.2%
20〜29人 3.1%
30人以上 3.1%

4人以下を足すと66.7パーセントになる。資料は「約6割が4人以下」と記しており、担当が1人か2人という団体が3割を占める。平均の5.6人という値は、30人以上を抱える3.1パーセントの団体に引き上げられたものだと読める。足し算は本記事で行った。

事業の偏りもここに結びつく。資料は、合宿や大会の誘致と実施を行っている団体が半数以上あるとした上で、それ以外の取組へ広げられていないと指摘している。誘致は年に数回の繁忙で回せるが、住民向けの事業やスポーツツーリズムの企画は年間を通した手間がかかる。2人の担当で両方を抱えるのは難しい。

名指しで学生が書かれている場所がある

人手が足りない側の資料に、補う手立てが列挙されている。担い手育成等サポート事業は、人材確保に向けたマッチングをモデル的に実証するとして、三つの例を挙げる。地域おこし協力隊マッチング支援、副業・兼業人材マッチング支援、そして大学生インターンシッププログラムである。国の予算資料に、大学生が担い手の供給源として明記されている。

実際に入る余地がどこにあるかは、仕事の性質から絞れる。大会の誘致そのものは行政と競技団体の交渉になるが、参加者を呼ぶための発信、当日の運営、終わった後の記録と検証は切り出せる。先に触れたとおり構成員には大学が入っており、ゼミや部の単位で関わる経路もある。

内閣官房の令和7年度の関係人口調査では、自治体が対象としている層のうち、年に数回訪れて観光や体験を楽しむ交流・観光層が1,100団体、副業やボランティアで担い手として動く高関与層は379団体だった。訪れる人は広く想定されているのに、担い手として動く人を想定している団体は3分の1である。スポーツコミッションの職員数と、この差は同じことを別の角度から言っている。地域と若者の接点づくりはFLASPOが各地で取り組んでいるテーマで、人手が薄い現場ほど提案が届く余地は残っている。

関わり方の型を先に押さえたい場合は関係人口の事例を関わり方別に読む、運営を手伝う側の実際はスポーツボランティアは何をするのか、滞在しながら関わる枠組みは学生が地域に滞在して働くにはが参考になる。

よくある質問

地域スポーツコミッションはどこにあるか調べられますか。スポーツ庁の資料に都道府県別の一覧が載っており、北海道ゴルフ観光協会や福岡県スポーツコミッション、鳥取県アウトドアスポーツ協議会のように、名称から対象の競技や地域が読み取れるものが並びます。207団体の全名称が同じ1枚に収められているので、志望地域があるならそこから探すのが早いです。

観戦に行くだけでも関係人口に入りますか。入ります。国土交通省の調査は訪問系を趣味・消費型、参加・交流型、直接寄与型に分け、最も多いのは趣味・消費型でした。観戦や買い物を目的にした訪問はこの類型にあたり、年に1日以下という頻度の人も約20パーセント含まれています。

スポーツコミッションに学生が関わる制度はありますか。スポーツ庁の令和7年度予算案に、担い手確保のマッチングの例として大学生インターンシッププログラムが挙げられています。制度名が固まった全国一律の仕組みではなく、モデル的な実証という位置づけなので、受け入れの有無は団体ごとに確かめる必要があります。

設置数はこれからも増えるのでしょうか。資料からは読み取れません。第2期計画の170という目標は超えており、第3期計画の力点は経営の安定と人材の育成・確保に移っています。令和7年度予算案が前年度を下回っていることもあわせると、数を伸ばす段階ではないと見るのが自然です。

合宿の誘致以外にどんな取組がありますか。資料が挙げるのは、スポーツツーリズム、域外から参加者を呼ぶ地域スポーツ大会やイベント、国内外の大規模大会の誘致、住民向けの地域スポーツクラブ運営、健康増進や地域交流のイベントです。ただし半数以上の団体は誘致と実施に業務が寄っており、残りの領域は手付かずのところが多く残っています。


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