スポーツボランティアは何をするのか|5つの役割と参加率データで見る現実

マラソン大会の給水所で紙コップを並べている人、少年サッカーの試合で笛を吹いている人、体育館の鍵を開けて用具を運び出している人。この三者はどれもスポーツボランティアと呼ばれるが、拘束される時間も必要な知識もまるで違う。同じ名前でくくられているせいで、イベント当日だけ手伝うつもりで申し込んだら毎週の練習に来てほしいと言われた、という食い違いが起きる。まずは役割の地図を持っておきたい。

競技場の外側で動いている人の内訳

スポーツ庁の世論調査は、スポーツに関するボランティアの中身を六つの選択肢で尋ねている。参加した人の回答を多い順に並べると、大会やイベントの運営と世話、運動やスポーツの指導、クラブや団体の運営と世話、自分や子どもが所属する団体での補助、施設の管理の手伝い、審判という並びになる。整理すると、大きくは五つの役割に落ち着く。

一つ目は大会運営で、受付、誘導、計測、給水、記録の集計といった当日の作業を指す。二つ目は指導で、技術を教える立場に立つため競技経験が前提になりやすい。三つ目は団体の運営で、会計、連絡、会場の予約といった事務が年間を通して続く。四つ目は施設の管理で、用具の出し入れや清掃、点検が含まれる。五つ目は審判で、ここは資格が明確に求められる領域である。手を挙げる前に、自分が引き受けるのがこのどれなのかを主催者に確かめておくと、後の行き違いがほとんど消える。

活動の内容 令和4年度 令和3年度
大会・イベントの運営や世話 24.3% 23.4%
運動・スポーツの指導 24.2% 25.4%
スポーツクラブ・団体の運営や世話 22.4% 23.6%
所属する団体やクラブでの補助的な活動 21.8% 25.9%
スポーツ施設の管理の手伝い 17.1% 14.6%
スポーツの審判 15.0% 17.1%

数値はスポーツ庁「令和4年度スポーツの実施状況等に関する世論調査の概要について」による。ボランティアを行ったと答えた3,955人に内容を複数回答で聞いたもので、調査全体の母数は40,000人である。

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参加率は1割に届かないまま動かない

この分野の規模は、思っているより小さい。同じ調査でスポーツに関するボランティアを行ったと答えた人は9.9%で、内訳は日常的・定期的に行ったが4.1%、イベントや大会で不定期に行ったが5.8%だった。前年度の令和3年度は合わせて8.2%だったので1.7ポイント増えた形だが、令和元年度の11.0%には戻っていない。続く令和5年度も、呼び方を「ささえる活動」に変えたうえで9.9%と前年度と同じ水準だった。

ここ数年は9%台から11%の幅を行き来しているだけで、増える気配も消える気配もない。学生にとって意味があるのは、この値が低いこと自体ではなく、低いまま需要が減っていない点である。大会の数は変わらないのに支える人が増えないので、一度入り込むと次の回からは名前で呼ばれて声がかかる。入り口は狭く見えて、入ってからの定着余地は広い。若者のボランティア参加率はなぜ下がったのかでは世代ごとの動きを扱っているので、全体傾向と合わせて読むと自分の位置がつかめる。

母数の40,000人に対してボランティア経験者が3,955人という比率も、裏を返せば使える情報になる。全体の1割を切る規模なので、同じ大会に二回入れば運営側の顔ぶれを覚えられる程度の母集団しかない。匿名の作業者として埋もれるのではなく、二回目から名前で役割を任される世界だと見ておけば、初回の振る舞いの意味も変わってくる。

日常型と大会型は別の活動として考える

同じ資料には、見逃されやすい交差集計が載っている。週1日以上スポーツをしている層では日常的に行ったが5.6%、不定期が7.4%で合わせて13.0%に達するが、スポーツをしていない層では1.2%と2.0%で合わせて3.2%にとどまる。自分が体を動かしている人ほど、支える側にも回っているという関係がはっきり出ている。

この開きは意欲の差というより、募集情報が流れてくる経路の差だと考えたほうが実態に近い。競技をしていれば所属先から声が回ってくるが、していなければ自力で探しにいくしかない。だから競技経験がない人は、日常型をいきなり狙わずに大会型から入るほうが現実的である。大会型は一日から数日で完結し、業務が細かく割られていて、前提知識も当日の説明で足りるよう設計されている。逆に、すでに部やサークルで競技をしているなら、日常型の指導や団体運営に回ったほうが積み上がりは早い。

申し込みから当日までに起きること

募集の出どころは四つに整理できる。自治体のスポーツ推進部署、競技団体や連盟、大会ごとの実行委員会、そして大学のボランティアセンターである。規模の大きい大会は半年前に募集を締め切ることがあり、告知から締切までが二週間しかない例もある。狙う大会が決まっているなら、前年の開催時期から逆算して募集ページを見に行くのが確実だ。

申し込んだあとは、説明会、役割の割り当て、当日の集合という順に進む。ここで押さえておきたいのは、集合と解散の時刻、交通費と昼食の扱い、服装と持ち物、そして雨天時の判断である。給水や誘導は屋外で立ち続ける作業なので、拘束が想定より二時間伸びることは珍しくない。説明会を欠席すると当日の配置が決まらない運用もあるため、日程は申し込み前に確かめておきたい。学生団体として複数人で入る場合の段取りも、FLASPOが各地で手がけている企画と同じ順序で動く。

日程を押さえるときは、拘束の総量を時間で見積もっておくと判断を誤らない。説明会に二時間、前日の設営に三時間、当日が朝六時集合で夕方解散となれば、実質は三日分の予定が埋まる。試験期間や他の予定と重ねて壊すのはここなので、募集要項の所要時間の記載だけでなく、前日準備と事後の片付けが含まれるかを聞いておきたい。

ケガと保険をどこまで見ておくか

屋外で長時間動く活動には、転倒、熱中症、用具による打撲といった事故が付いてくる。最初に確かめるべきは、主催者が加入している保険の対象に自分が含まれているかという一点である。多くの大会は社会福祉協議会のボランティア活動保険か、行事ごとの傷害保険を用意しているが、事前に名簿へ登録された人だけが対象というつくりになっていることがある。当日飛び込みで手伝うと、その枠から外れてしまう。

あわせて、自分が負担する保険料の有無と、第三者にケガをさせた場合の賠償が含まれるかも聞いておきたい。誘導や用具の受け渡しは、自分が傷つくより相手にぶつかる可能性のある作業である。安全の考え方は分野をまたいで共通しており、受付の仕組みから整理した災害ボランティアはどう動くのかや、分野ごとの特徴をまとめたボランティアの種類を11分類で整理と並べて見ると、確認すべき項目の形が見えてくる。

よくある質問

競技経験がなくても参加できるか。大会運営、施設の管理、受付や誘導は経験を問わない。指導と審判は資格や経験が前提になるため、そこを目指すなら競技団体の講習から入ることになる。

報酬は出るのか。原則として無償で、交通費や弁当が実費で支給される形が多い。金銭が発生する場合は労働者性の判断が絡むため、謝礼の名目と金額は募集要項の記載を見ておきたい。

一回だけの参加でも歓迎されるか。不定期の参加者が5.8%を占めている通り、単発を前提にした枠は普通に用意されている。むしろ大会型は人数を揃えること自体が主催者の課題なので、一日だけでも戦力として数えられる。

就職活動で話せる材料になるか。使えるかどうかは、役割を自分の言葉で説明できるかで決まる。給水所に立ったという事実ではなく、何人の通過を何分で捌く設計だったのか、配置をどう直したのかまで言えると、課題設定と改善の話になる。活動内容の上位三つがいずれも運営や世話であることを踏まえれば、組織を回した経験として整理しやすい領域だと分かる。

高校生でも応募できるか。大会型は年齢の下限を16歳や18歳に置いている例があり、未成年は保護者の同意書を求められる。審判や指導は資格の受講年齢に縛られるため、まずは運営補助から入るのが通りやすい。

募集はどこで見つけるのが早いか。大学のボランティアセンターが最短で、次が自治体のスポーツ関連部署である。競技団体のサイトは更新が不定期なので、関心のある連盟を数件に絞って定期的に見に行くほうが取りこぼしが少ない。


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