住む場所が変わる回数は、22歳だけ突き抜けている
進学と就職で住所が変わるのは人生の前半に偏っている。その偏り方は、感覚ではなく率で出ている。総務省の住民基本台帳人口移動報告 2024年(令和6年)結果は、年齢各歳別の都道府県間移動率を公表している。2024年に最も高いのは22歳の14.72%で、次に24歳の10.51%、25歳の9.60%、23歳の9.46%、26歳の8.78%が続く。
同じ年の都道府県間移動率は全体で2.04%、前年より0.01ポイント下がっている。22歳の14.72%は、この全体値の7倍を超える。前年と比べて移動率が最も上がった年齢も22歳で、0.28ポイントの上昇だった。次が58歳の0.12ポイントなので、上がり幅でも22歳だけが離れている。
ここから読めるのは、Z世代にとって県をまたぐ移動が「いつでもできること」ではないという点である。大学の卒業と就職が重なる1年に山があり、その前後でなだらかに下がっていく。移住を考える時期を逃すという言い方は正確ではないが、同じ移動が22歳と32歳では起こりにくさの桁が違う。
| 年齢 | 都道府県間移動率(2024年) | 全体2.04%との比 |
|---|---|---|
| 22歳 | 14.72% | 約7.2倍 |
| 24歳 | 10.51% | 約5.2倍 |
| 25歳 | 9.60% | 約4.7倍 |
| 23歳 | 9.46% | 約4.6倍 |
| 26歳 | 8.78% | 約4.3倍 |
総量は減っているのに、東京圏の超過は広がった
移動が多い年齢がわかっても、どちらへ動いているかは別の話である。2024年の都道府県間移動者数は252万3249人で、前年より0.8%減った。市区町村間の移動者数も520万7746人で1.1%の減少である。人が動く総量としては縮んでいる。
ところが向きを見ると逆になる。東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)は13万5843人の転入超過で、前年より9328人広がった。日本人移動者だけに限っても11万9337人の転入超過で、29年連続である。都道府県別では東京都が7万9285人で最も多く、拡大幅も約1万1000人で最大だった。転入超過になったのは7都府県にとどまる。
つまり、動く人は減ったのに行き先はより集まった。22歳に山があることと合わせると、Z世代の移住先選びは「全体が東京へ向かう流れの中で、どこで降りるか」という形になる。世代全体の流れについてはZ世代と地方で道府県ごとの偏りを扱っている。なお前年からの反転もあり、山梨県は転出超過から転入超過へ、滋賀県は転入超過から転出超過へ変わった。
支援金が見ているのは、今いる場所ではなく過去10年
地方へ動くときに使える制度のうち、金額が大きいのは内閣府の地方創生移住支援事業による移住支援金である。ただし、この制度の要件でつまずく人は、金額ではなく経歴の部分で引っかかる。
移住元の要件は三段になっている。移住する直前の10年間で通算5年以上、東京23区に住んでいたか、東京圏(条件不利地域を除く)に住みながら東京23区へ通勤していたこと。さらに直近1年以上は、23区在住か23区への通勤が続いていること。雇用されて通勤していた場合は、その期間に雇用保険の被保険者だったことが条件になる。
裏を返せば、大学を出てそのまま地方で働き始めた人は、この支援金の対象から外れる。東京で5年働いてから動く人のための設計だからである。22歳の移動率が飛び抜けて高いのに、その22歳の移動自体には支援金が付かない。制度と実際の移動のずれは、ここにある。金額の内訳は移住支援金とはでも整理している。
通学していた期間を、年数の計算に足せる一文がある
前の節の要件には、学生に関わる例外が付いている。東京圏に住みながら東京23区内の大学等へ通学し、卒業後に23区内の企業等へ就職した場合、その通学していた期間を移住元の期間に加算できる。つまり、23区の大学に4年通い、23区の会社に1年勤めた時点で、通算5年以上という条件を満たす余地が出てくる。
金額は都道府県が決めるが、上限は世帯で100万円以内、単身で60万円以内である。18歳未満の世帯員を連れて移住する場合は、1人につき最大100万円が加算される。移住先は東京圏以外の道府県か、東京圏の中の条件不利地域で、どちらも移住支援事業を実施している自治体に限られる。条件不利地域には東京都の11市町村、埼玉県の15市町村、千葉県の23市町村、神奈川県の6市町村が含まれる。
受け取った後の縛りも要件の一部である。転入後1年以内に申請し、申請後5年以上その市町村に住む意思があることが前提で、申請から5年以内に転出した場合や虚偽の申請をした場合は返還の対象になる。就業の側も、道府県のマッチングサイト経由での就業、移住前の仕事をテレワークで続ける形、市町村独自の要件を満たして地域の担い手になる形、起業支援金の交付決定を受ける形の4つから選ぶ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額の上限 | 世帯100万円以内/単身60万円以内(都道府県が設定) |
| 子どもの加算 | 18歳未満の世帯員1人につき最大100万円 |
| 移住元の年数 | 直前10年で通算5年以上、直近1年以上は23区在住か通勤 |
| 学生の特例 | 23区の大学等への通学期間を移住元の期間に加算できる |
| 申請の期限 | 転入後1年以内 |
| 返還の条件 | 申請から5年以内の転出、虚偽の申請 |
窓口への相談は、はじめて年7万件を超えた
制度の条件を満たすかどうかの前に、相談先の数も動いている。公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構の2025年の移住相談件数の集計によると、面談・電話・メール・見学・セミナー参加を合わせた相談は73,003件だった。2024年の61,720件に対して18.3%増で、5年続けて過去最高となり、はじめて7万件台に乗っている。
相談会やセミナーの開催数も658回あった。窓口相談の希望地は2年連続で群馬県が1位、2位は栃木県である。セミナー参加者では3年連続で群馬県が1位、2位は長野県だった。東京圏に近く、通勤を残したまま住居費を下げられる県に相談が集まっている形になる。
22歳で動けなかった場合に残る道筋は、二つに分かれる。ひとつは東京圏の条件不利地域のように、支援の対象に入りながら通勤圏を手放さずに済む場所を選ぶこと。もうひとつは、住所を移さずに関わりを作っておき、年数の条件が満たされてから動くことである。後者の進め方はFLASPOでも地域との関わり方として紹介している。
よくある質問
22歳を過ぎると移住しにくくなるのですか
率としては下がるが、止まるわけではない。2024年の都道府県間移動率は24歳10.51%、25歳9.60%、26歳8.78%で、全体の2.04%を大きく上回っている。20代後半までは平均の4倍前後の水準が続く。
東京23区に住んでいなかった学生は支援金の対象外ですか
住んでいた場所だけで決まるわけではない。東京圏に住みながら23区の大学等へ通学し、23区内の企業等に就職した場合は、その通学期間を移住元の年数に加算できる。東京圏のうち条件不利地域に住んでいた期間は除かれるため、該当するかは移住先の市町村に確認するのが早い。
支援金を受け取った後に引っ越したらどうなりますか
申請から5年以内に移住先の市町村から転出した場合は、返還の対象になる。虚偽の申請も同じである。申請の時点で5年以上住む意思があることが前提になっているため、任期が決まった仕事で動く場合は期間の見通しを先に確かめておきたい。
東京圏の転入超過には外国人も入っていますか
13万5843人は外国人を含む数字である。日本人移動者だけに限ると11万9337人で、前年より4535人の拡大となり、29年連続の転入超過だった。ほかの大都市圏は向きが違い、同じ日本人移動者で名古屋圏は1万1517人の転出超過で12年連続、大阪圏は3474人の転入超過で2年連続である。地方へ動く流れを見るときは、この3圏の差を分けて読む必要がある。
年齢別の移動率はどこで確かめられますか
総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告の結果ページに、年ごとの「結果の概要」が置かれている。年齢各歳別の都道府県間移動率は移動率の概要にまとまっており、都道府県別の転入超過数や3大都市圏の推移も同じ結果ページから追える。
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