Z世代と地方|43道府県すべてが20代前半を東京圏へ送っている

東京圏の流入は、20代前半だけでほぼ説明がつく

「若者が地方から出ていく」という言い方は、年齢を特定せずに使われることが多い。総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告の2025年結果を開くと、その曖昧さが一気に消える。日本人移動者で見た東京圏の転入超過は112,738人、うち20〜24歳が80,443人を占めていた。

割り算をすると71パーセントである。次に多いのが25〜29歳の23,546人、その次が15〜19歳の21,469人。この三つを足すと125,458人になり、東京圏全体の転入超過を上回ってしまう。上回るのは、ほかの年齢層では東京圏から出ていく人のほうが多いからだ。つまり東京圏は、20代前半を中心に若い人を集め、それ以外の世代を送り出すことで、全体として12万人弱の超過になっている。

外国人を含めた東京圏全体では、転入超過は123,534人で、前年に比べ12,309人縮小した。日本人だけで見ると112,738人の転入超過で、前年に比べて6,599人の縮小、これで30年連続の転入超過となる。30年という長さと、2年続きの縮小が同時に起きている。この二つは矛盾していない。流れの向きは変わっていないが、勢いだけがわずかに落ちた、という状態である。

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43道府県すべてが、20代前半を東京圏に送っている

同じ報告には、20〜24歳の東京圏への転入超過を道府県別に並べた図が載っている。結論は一行で書かれていた。東京圏を構成する4都県を除いた43道府県のすべてが、この年齢で東京圏に対して転入超過になっている。

例外がないという点が重い。大学が多い県も少ない県も、太平洋側も日本海側も、人口が増えている市を抱える県も、一人の例外もなく20代前半を送り出している。大阪府も含まれる。地方と都市という対立で語られがちな現象が、実際には関西も含めた全国から東京圏への一方向の流れとして現れている。

この構造は、地域側の努力が足りないという話に短絡させにくい。43という数字は、個々の自治体の施策の差ではなく、進学と就職の仕組みそのものがこの流れを作っていることを示している。大学の定員、新卒採用の本社集中、初任給の水準、そして「とりあえず東京に出てから考える」という選択が広く共有されていること。そのどれも、ひとつの県の取り組みでは動かしきれない。関連する就職側の事情は地方就職の現状を扱った記事に整理がある。

それでも、30道府県では流入が細っている

例外がないという話のすぐ後に、変化の兆しも書かれている。20〜24歳の東京圏への転入超過を前年と比べると、拡大したのは13府県、縮小したのは30道府県だった。縮小幅が大きいのは北海道の339人、新潟県の329人、大阪府の290人である。拡大した側では栃木県の151人が挙げられている。

年齢階級全体で見ても、前年より転入超過が最も縮んだのは20〜24歳で2,690人の縮小だった。続いて30〜34歳が1,599人、25〜29歳が1,155人である。つまり縮小は若い層で最も強く出ている。縮んでいる地域が3分の2を超えていることと、そもそも例外がないことは、同じ資料の中に併記されている事実だ。どちらか一方だけを取り出すと、地域の動きを読み損なう。

注意しておきたいのは、縮小が「若者が地元に残るようになった」ことを直接示すわけではない点である。転入超過の縮小は、出ていく人が減ったか、戻ってくる人が増えたか、あるいはその年齢の人口そのものが減ったか、どれでも起こりうる。この報告は移動の集計なので、理由までは書かれていない。地域の施策の効果を測りたいなら、この数字を入口にして、地元の就職率や進学先の分布と突き合わせる必要がある。

年齢ごとに、向きがはっきり分かれている

東京圏に入る年齢と出る年齢を、同じ表に置いてみる。

年齢階級 東京圏の転入超過数(2025年・日本人移動者)
15〜19歳 21,469人の転入超過
20〜24歳 80,443人の転入超過
25〜29歳 23,546人の転入超過
55〜59歳 3,051人の転出超過
60〜64歳 4,562人の転出超過
65〜69歳 2,900人の転出超過
東京圏計 112,738人の転入超過
総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」より作成

報告は、10〜29歳の各年齢階級が、年齢別の集計を始めた2010年以降16年連続で転入超過だったと記している。反対に0〜4歳と55〜74歳の各階級は、同じ16年間ずっと転出超過である。入るのは10代後半から20代、出るのは小さな子どもと50代後半以降という形が、16年間一度も崩れていない。

この対称性は、個人の人生の順番とそのまま重なる。進学と就職で入り、子育てや定年で出る。60代前半の転出超過が4,562人で最も大きいことの背景は、シニアの移住先選びを扱った記事で詳しく見ている。若い世代の選択を考えるとき、出る側の年齢層が何を基準に動いているかを知っておくと、自分の20年後を想像しやすくなる。

戻る動きは、どこに数字として現れているか

一方向の流れだけを見ていると、地方で働く選択が例外のように思えてくる。別の資料を一つ重ねておきたい。総務省が公表した令和7年度の地域おこし協力隊は8,196人で、年齢構成は20〜29歳が33.6パーセント、30〜39歳が30.1パーセントだった。二つを合わせると63.7パーセントになる。

8,196人は、80,443人という東京圏への流入に比べれば小さい。ただし性質が違う。移動報告が数えているのは住民票の移動で、進学や転勤も含まれる。協力隊の数字は、地域で働くことを自分で選んで手続きを踏んだ人の数である。意思のある移動がどのくらいの規模で、どの年代に起きているかを見るには、こちらの方が向いている。

そして、この二つの数字は対立していない。20代前半で東京圏に出た人が、20代後半や30代で地域に移る経路は現に存在する。協力隊の年齢構成で30代が3割を占めているのは、その経路の太さを示している。だとすれば、学生の段階で決めるべきは「出るか残るか」ではなく、戻る選択肢を自分が持てる状態にしておくことだろう。地域に知り合いがいるか、関わった実績があるか、その土地で何が足りないかを知っているか。FLASPOのように学生と地域をつなぐ取り組みを使って短い関わりを重ねておくと、数年後に選択肢として機能する。43道府県すべてが若者を送り出しているという事実は変えられないが、その後の進路は一つに決まっていない。

よくある質問

移動のデータを読むときに、よくつまずく点を挙げておく。

「東京圏にはどの県が入るのか」。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の4都県である。神奈川や埼玉への転居は東京圏の内側の移動として扱われ、転入超過には算入されない。

「2025年に動いた人は全国でどのくらいいるのか」。市区町村間の移動者数は519万548人で、前年に比べ0.3パーセントの減少だった。都道府県をまたいだ移動は251万5,731人である。年齢別では20〜24歳の都道府県間移動が585,495人で最も多く、25〜29歳が533,880人と続く。

「名古屋圏や大阪圏はどうなっているのか」。日本人移動者では、大阪圏が3年連続の転入超過、名古屋圏は13年連続の転出超過である。三大都市圏が同じ向きに動いているわけではない。

「この数字はいつ更新されるのか」。年間の結果は翌年の初めに公表され、市区町村別の結果はその後に出る。2025年の年間結果は2026年に公表されており、詳細は統計局の結果報告で確認できる。進路を考える時期と公表の時期がずれるため、最新かどうかを公表日で確かめる習慣を持っておきたい。


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