若者の社会参加と学生団体|10代20代が活動を続けられる環境

入りたい気持ちがないのではなく、入り方が見えていない

新歓の時期に「何かやりたいんですけど、何をやればいいか分からなくて」と言う一年生は毎年いる。意欲が足りないという説明はこの場面に合わない。やりたい方向が本人の中で言葉になっておらず、団体の側も何をする場所なのかを短く言えていないだけである。入口の説明が足りないところで、意欲の有無を論じると話が噛み合わなくなる。

この段差は全国の調査にも出ている。こども家庭庁「こども・若者総合調査(令和7年度)」の15歳から39歳を対象とした調査(回答8,012人)は、社会に関わる意欲と、実際に居場所として数えられている場所を別々に聞いている。二つを並べると、学生団体が引き受けられる余地がどこにあるかが見えてくる。

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社会のために役立ちたいと答えた人は8割半に達している

同調査は「社会のために役立つことをしたいと思いますか」と尋ねている。「そう思う」が35.7%、「どちらかといえば、そう思う」が49.4%で、合わせて85.0%が肯定している。否定は合わせて14.8%にとどまる。男女の差も小さく、男性84.1%、女性85.9%である。

年齢で区切ると傾向が出る。15歳から19歳が87.9%で最も高く、20歳から24歳が85.7%、25歳から29歳が85.2%、30歳から34歳が82.6%と下がり、35歳から39歳で84.3%に戻る。高校生と大学生の年代がいちばん高い位置にいる。団体の側から見れば、勧誘で意欲を掘り起こす必要はほとんどなく、受け皿のほうを用意する話になる。参加率そのものの推移は若者のボランティア参加率はなぜ下がったのかで扱っている。

居場所として数えられている場所に、団体が入っていない

同じ調査は、六つの場所について「今のあなたにとって居場所になっていますか」と聞いている。肯定した割合は家庭が86.9%、自分の部屋が84.2%で、どちらも8割を超える。一方で学校は46.5%、職場は44.3%にとどまり、否定の回答もそれぞれ41.7%、39.4%ある。

場所 居場所だと思う(計) 思わない(計)
家庭(実家や親族の家を含む) 86.9% 10.8%
自分の部屋 84.2% 5.4%
インターネット空間 59.8% 30.3%
地域(図書館・公民館・公園など) 50.1% 34.8%
学校(卒業した学校を含む) 46.5% 41.7%
職場(過去の職場を含む) 44.3% 39.4%

注目したいのは、設問に並んでいる六つに課外の団体や地域のサークルが単独では入っていないことである。学校が半分を割り、インターネット空間が59.8%で学校を上回る並びになっている。家と画面の間に、半日いても居心地が悪くない場所が不足している。学生団体が置けるのはまさにその位置で、活動の成果より先に、来ても浮かない時間があるかどうかが続くかどうかを決める。

地域を居場所と答えた割合は50.1%で、学校や職場より高い。図書館や公民館や公園といった、誰のものでもない場所が半分の人に数えられている。学生団体の活動がこの種の場所と重なることは多く、公民館の一室を借りて週に一度集まる形は、調査の並びに照らすと悪い選択ではない。否定が34.8%ある点も合わせて読むと、場所そのものより、そこで誰と何をするかで評価が割れていると考えられる。

役に立ちたい気持ちと、自分への評価の低さが同じ人に同居する

自己認識を聞いた設問では、「周りの人(友人や家族など)の役に立ちたいと思う」があてはまる計で91.3%に達する。ところが「自分自身に満足している」は56.6%にとどまり、「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」は63.6%である。「自分は役に立たないと強く感じる」にあてはまると答えた人も29.5%いる。

この並びは運営の設計に直結する。役に立ちたい気持ちは9割を超えているのに、結果が読めない仕事に自分から手を挙げられる人は6割台にとどまる。つまり「やりたい人は手を挙げて」という募り方は、いちばん来てほしい層を取りこぼす。初回から役割の範囲と終わりを決めて渡したほうが動きやすい。一回で終わる当日の受付や、写真の整理のように成否が見えやすい仕事から入れていくと、三割が抱えている「役に立たない」という感覚に触れずに済む。

ほかの項目も併せて見ると像がはっきりする。「自分には自分らしさというものがあると思う」はあてはまる計で86.3%、「努力すれば希望する職業につくことができる」は72.1%で、自分の輪郭や将来の見通しは比較的保たれている。落ち込むのは現在の自分への評価と、先の読めない状況に踏み出す力のところである。渡す仕事の難しさを下げるのではなく、見通しを添えて渡すのが効く。

一年で入れ替わる前提で、記録と役職を分けておく

学生の団体には在学期間という終わりが最初から入っている。四年で全員が抜けるので、属人的に動かすほど引き継ぎで失われる。法人の仕組みを借りると、人と記録を分けて置く発想が取り出せる。特定非営利活動促進法は、設立の認証の基準として10人以上の社員を有することを置き(第12条第1項第4号)、毎年の事業報告書等を5年間備え置くことを求めている(第28条第1項)。人数と年数の両方に幅を持たせる作りである。

任意団体に移すなら、代表と会計以外に記録を預かる役を一つ置くところから始めるとよい。議事と名簿と収支を年度別に残しておけば、次の代が同じ議論を一から始めずに済む。団体の形そのものを決める段は学生団体の作り方、若い担い手がどれだけ代表を務めているかという分布はNPOと若者にまとめてある。学生の活動と企業の接点づくりはFLASPOでも扱っている。

よくある質問

「人が集まらないのは活動内容が地味だからか」。調査の数字を見る限り、意欲の側は8割半ある。足りないのは内容の派手さより、入ったあと何を任されるのかの見通しである。初回に渡す役割を一つ決めてから募集文を書くと反応が変わる。

「オンライン中心の活動でも居場所になるのか」。インターネット空間を居場所と答えた割合は59.8%で、学校や職場を上回っている。場所の形式が問題なのではない。否定も30.3%あるので、対面と画面のどちらかに寄せきらない設計が無難である。

「学年が上がると参加が減るのを止められないか」。社会貢献への意欲は15歳から19歳の87.9%から30歳から34歳の82.6%へ、年代が上がるほど緩やかに下がる。就職活動や研究で時間が削られる時期と重なるので、幹部を降りた人が月に一度だけ関わる枠を残しておくほうが現実的である。

「高校生を受け入れるときに気をつけることは」。15歳から19歳は意欲がいちばん高い層だが、保護者の了解と活動時間の扱いが必要になる。活動の範囲と連絡の取り方を文書にして渡すと、後から齟齬が出にくい。

「どんな数字を見て運営を直せばよいか」。来た人の数より、二回目に来た人の割合を数えるのが早い。役に立ちたい気持ちは十分あるので、一度来た人が戻らない理由は役割の渡し方にあることが多い。

「卒業生に関わってもらうのは有効か」。学校を居場所と答えた割合は、卒業した学校を含めても46.5%にとどまる。母校という縁だけで戻ってくる人は半分以下だと見ておくほうが安全で、具体的な役割を指定して頼むほうが実際には動いてもらえる。

「人数が少ないうちは役職を置かなくてよいか」。置いたほうがよい。人数が少ない時期ほど役割が代表に集まり、その代表が抜けた年に活動が止まる。記録を預かる役は、作業量が少なくても名前を付けて渡しておくと機能する。


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