順位の前に、全体の額を押さえておく
どの自治体が何位かという話は、全体の規模を知らないままだと受け取りを誤りやすい。総務省が令和8年7月31日に公表したふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)によれば、令和7年度の受入額は1兆3,314億円、受入件数は5,963万件だった。前年度の1兆2,727億円から4.6%伸び、件数は5,878万件から1.4%の増加である。
額の伸びが件数の伸びを上回ったということは、1件あたりの寄附額が上がったことを意味する。計算すると令和7年度は約2万2,300円で、前年度の約2万1,700円から600円ほど上がった。件数の増え方は鈍くなっているので、全体が伸びた分の大半は一人あたりの寄附額が増えたことで説明がつく。
もう一つ、同じ資料には寄附する側の人数も載っている。令和8年度課税で住民税の控除を受けたのは1,151万人、控除額は9,524億円である。前年度の1,081万人から70万人増えた。寄附が集中する自治体の名前を追う前に、1,151万人が1兆3,314億円を動かしているという縮尺を頭に入れておきたい。
令和7年度の受入額上位10団体
市区町村別の受入額で並べると、上位は次のようになる。1件あたりの寄附額は、受入額を件数で割って算出した。
| 順位 | 団体 | 受入額 | 受入件数 | 1件あたり |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 大阪府泉佐野市 | 230.4億円 | 1,351,688件 | 約17,000円 |
| 2 | 北海道白糠町 | 223.3億円 | 1,276,246件 | 約17,500円 |
| 3 | 宮崎県都城市 | 216.5億円 | 1,058,404件 | 約20,500円 |
| 4 | 北海道別海町 | 211.6億円 | 1,337,531件 | 約15,800円 |
| 5 | 愛知県名古屋市 | 174.5億円 | 351,726件 | 約49,600円 |
| 6 | 宮崎県宮崎市 | 143.1億円 | 723,801件 | 約19,800円 |
| 7 | 宮城県気仙沼市 | 134.8億円 | 868,166件 | 約15,500円 |
| 8 | 京都府京都市 | 132.6億円 | 339,533件 | 約39,000円 |
| 9 | 北海道紋別市 | 124.7億円 | 593,559件 | 約21,000円 |
| 10 | 北海道根室市 | 122.6億円 | 552,650件 | 約22,200円 |
11位から20位には静岡県焼津市、山梨県甲府市、山梨県富士吉田市、静岡県富士市、福井県敦賀市、山梨県山梨市、茨城県守谷市、千葉県銚子市、岩手県花巻市、新潟県南魚沼市が並ぶ。20位の南魚沼市でも69.0億円で、一つの町や市が集める額としては相当な規模である。北海道の町村が上位に複数入っているのが、この表の見た目の特徴になっている。
件数で積む自治体と、単価で積む自治体
表の右端の列を縦に見ると、同じ順位帯でも性格が違うことが分かる。泉佐野市は135万件を約1万7,000円で積み上げて1位になった。これに対して5位の名古屋市は35万件で174.5億円に届いており、1件あたりは約4万9,600円になる。件数は泉佐野市の4分の1ほどだが、一人あたりの額が3倍近い。
単価の高さがもっと際立つのは、上位20位のなかでは山梨県甲府市と新潟県南魚沼市である。甲府市は18万件で102.0億円、1件あたり約5万6,300円。南魚沼市は12.6万件で69.0億円、約5万4,600円になる。宝飾品や酒といった高額の返礼品を扱う自治体は、件数が少なくても額が積み上がる。
逆に1件あたりが1万5,000円を下回る自治体もある。千葉県銚子市は約1万2,700円、静岡県焼津市は約1万4,900円で、どちらも魚介の定期便や小分けの品で件数を稼ぐ型だ。寄附する側から見れば、単価の低い自治体は控除上限が小さい人でも手を出しやすい。どの返礼品がどの価格帯に置かれているかはふるさと納税の返礼品人気ランキング2026|選び方5つの基準で確かめられる。
都道府県の単位で見ると北海道が抜けている
市区町村を都道府県でまとめ直すと、順位の顔ぶれが変わる。令和7年度の受入額は北海道が1,887億円で、件数は916万件に達した。2位は宮崎県の625億円、3位は福岡県の602億円、4位は静岡県の584億円、5位は山梨県の514億円である。北海道は2位の3倍を超えており、都道府県の単位では競争になっていない。
北海道の強さは、一つの大きな自治体が引っ張っているのではなく、白糠町や別海町、紋別市、根室市のように額の大きい市町村が道内に分散していることで生まれている。海産物と乳製品、肉という寄附の集まりやすい品目が広い範囲に産地として並ぶため、合計が積み上がる。
年度による振れ幅の大きさも見ておきたい。兵庫県は令和6年度の582億円から令和7年度は354億円へ、39.2%減っている。都道府県の規模でも、単年の大口の寄附が入るかどうかで数字は大きく動く。1年分のランキングは順位表ではなく、その年度の記録として読むのが正しい。
順位が高い自治体ほど地域に残る額が多いとは限らない
受入額の順位をそのまま地域への貢献度として読むと、途中の費用を見落とすことになる。同じ調査では、全団体が募集に要した費用は6,382億円で、受入額に占める割合は47.9%とされている。前年度の46.4%から1.5ポイント上がった。残る自治体の財源は6,932億円、全体の52.1%である。
内訳は返礼品の調達が26.5%、送付が5.7%、事務が13.6%、決済が1.5%、広報が0.7%となっている。返礼品は地方税法で寄附額の3割以内、経費の総額は総務省告示で5割以内と決められており、47.9%という数字はこの上限に近いところまで来ている。寄附額が1万円なら、自治体の手元に残るのは5,200円ほどという計算になる。
もう一つ、寄附の入り口はほぼポータルサイトに集約されている。令和7年度は受入額の97.2%、1兆2,947億円がポータル経由で、前年度の94.5%から2.7ポイント上がった。運営事業者への支払総額は2,433億円で、受入額に対して18.8%にあたる。この構造も含めた課題はふるさと納税のデメリット|損をしやすい人と自治体に残る課題で扱っている。
使い道の側では、寄附の使途を選べる自治体が1,749団体、98.2%に達した。具体的な事業まで選べる自治体は586団体で32.9%、そのうち目標額を定めるクラウドファンディング型を実施したのは516団体、1,547事業で333億円を集めている。順位の高さより、自分の寄附がどの事業に紐づくかで選ぶほうが納得は得やすい。寄附が地域の産業にどう作用するかは特産品と地方創生|ふるさと納税1兆3,314億円が地域に残すものが詳しい。地域の取り組みを知る手がかりはFLASPOでも紹介している。
よくある質問
ランキングはいつ発表されますか。総務省の現況調査は毎年7月末に公表される。令和8年7月31日の公表分が令和7年度、つまり令和7年4月から令和8年3月までの実績にあたる。ポータルサイトが出す人気ランキングとは集計の対象も時期も違うので、混ぜて読まないほうがよい。
1位の自治体に寄附するのが得ですか。受入額の順位は集めた総額の大きさで、返礼品の還元率とは別の指標である。上位の自治体は品数が多く在庫も安定しやすい一方、人気の品は早い時期に品切れになる。得かどうかは控除上限と欲しい品で決まる。
順位が下がった自治体は不人気になったのですか。そうとは言い切れない。単年の大口寄附や災害時の支援寄附が入った翌年は、額が反動で下がる。兵庫県のように都道府県の単位でも4割近く動くので、複数年度を並べて傾向を見る必要がある。
自分の住む自治体の数字はどこで見られますか。現況調査には全団体の受入額と件数が掲載されている。あわせて自治体の公表資料も確認したい。受入実績と活用状況の両方を公表している団体は1,521団体、全指定団体の85.4%にのぼる。
控除を受けた人は何人いますか。令和8年度課税で住民税の控除を受けたのは1,151万人である。ワンストップ特例の利用は令和7年度で2,201万件、件数全体の約37%にあたる。申告の手続きを省ける仕組みが普及したことも、件数が増えた背景にある。
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