ライフプランの作り方|5つの手順と、公的統計で数字を置くコツ

ライフプランの作り方|5つの手順と、公的統計で数字を置くコツ

将来のお金の計画が続かないのは、やる気の問題ではなく手順の問題である場合が多い。将来の支出を思い浮かべた段階で金額がわからず、そこで止まってしまう。この詰まりは、自分で想像せずに公的な統計の実額を置いてしまえば抜けられる。手を動かす順番を五つに分け、それぞれどの調査から数字を持ってくるかまで決めておけば、1枚の表は半日で形になる。

手順1 いまの収支を1枚にそろえる

出発点は将来ではなく現在である。直近1年の収入と支出を、年単位の合計で書き出す。月ごとに細かく追う必要はなく、手取りの年額と、1年で実際に出ていった額、差額としての貯蓄額の三つがそろえば足りる。通帳の年始と年末の残高差を使えば、家計簿がなくても貯蓄額は出せる。

自分の数字が多いのか少ないのか迷うときは、総務省統計局の家計調査(2024年平均)が比較の相手になる。二人以上の世帯の消費支出は1か月あたり300,243円、単身世帯は169,547円だった。二人以上の世帯のうち勤労者世帯では325,137円である。平均より多い費目があればそこが削りどころになり、少ない費目は無理をしている可能性がある。

この段階で金額の精度を上げすぎないことが続けるコツになる。1万円単位で十分で、細かく詰めるのは支出を実際に見直す場面でよい。先に貯める額を決めて自動で分ける形にしておくと、記録そのものの負担も軽くなる。仕組みの作り方は貯金の習慣化にまとめた。

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手順2 これから起きることを年表に並べる

次に、横軸に西暦と自分や家族の年齢、縦軸に出来事を置いた表を作る。結婚、出産、子の進学、車の買い替え、住宅の取得や更新、親の介護、自分の退職といった項目を、起きそうな年に置いていく。金額はまだ書かず、何がいつ来るかだけを埋める。

この年表が効くのは、支出が重なる年が目で見えるからである。子の大学入学と住宅ローンの終盤、親の介護が同じ3年に集まることは珍しくない。年ごとの合計を出すのは手順3以降になるが、重なりの位置を先に知っておくと、貯める時期と使う時期の配分を決めやすい。

年齢の列は家族全員ぶん作っておく。子が18歳になる年、自分が60歳になる年、親が80歳になる年が同じ行に並ぶと、対応できる人手がどれだけあるかまで見える。介護と教育費が重なる時期は、お金より時間の制約が先に来ることが多い。年表は支出の予定表というより、負荷の分布図として使える。

不確実な出来事の扱いに悩む必要はない。起きるかどうかわからない項目は、起きる前提の行と起きない前提の行を2本作り、あとで切り替えられるようにしておけばよい。転職や独立のように収入側が動く出来事も、同じ要領で並べておく。

手順3 大きな支出に統計の実額を置く

年表に金額を入れる段で手が止まるのは、教育費や住宅費の見積もりが思いつかないためである。ここは想像で埋めず、国の調査の値を当てる。文部科学省の子供の学習費調査(令和5年度・訂正後)によると、1年あたりの学習費総額は進路によって次のように開く。

学校種 公立(年額) 私立(年額)
幼稚園 184,646円 347,338円
小学校 366,599円 1,741,516円
中学校 542,450円 1,560,359円
高等学校(全日制) 596,954円 1,179,261円

同じ調査の参考値では、幼稚園3歳から高校3年までの15年間の合計が、すべて公立でおよそ614万円、すべて私立でおよそ1,969万円となる。3倍を超える差が進路の選択だけで生まれる。大学の費用はこの調査の外なので別に積む必要があるが、高校までの枠はこの表で置ける。

住宅も同じように実額を当てる。住宅金融支援機構の2024年度フラット35利用者調査では、所要資金が注文住宅3,936万円、土地付注文住宅5,007万円、建売住宅3,826万円、マンション5,592万円、中古戸建2,573万円、中古マンション3,033万円だった。利用者の平均総返済負担率は23.2%で、1か月の予定返済額を世帯月収で割った値である。借入の判断材料は大学生の節約とライフプランでも触れた逆算の考え方と同じで、返す側から入れる。

手順4 入ってくるお金の下限を押さえる

支出を並べたら、収入側の底を確かめる。働いている間の収入は変動するが、退職後は公的年金が土台になるため見通しが立てやすい。厚生労働省の令和8年度の年金額改定では、老齢基礎年金の満額が月70,608円、厚生年金は夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額が月237,279円とされている。

この額で生活が成り立つかは、家計調査の実績と並べるとわかる。65歳以上の夫婦のみの無職世帯は、可処分所得が月222,462円に対して消費支出が256,521円で、毎月およそ3万4千円の不足が出ている。65歳以上の単身無職世帯では可処分所得121,469円に対して消費支出149,286円、不足は約2万8千円である。

不足額に退職後の年数を掛ければ、取り崩しに必要な金額の概算が出る。夫婦で月3万4千円の不足が25年続けば1,020万円になる。実際には住居費の有無や医療・介護で振れるため、この計算は幅を持った目安として扱う。年金額の見通しそのものは年金はいくら受け取れる?で確かめられる。

手順5 1年に1回だけ作り直す

ライフプランは作った時点から古くなる。収入も物価も制度も動くため、精度を上げる方向よりも、更新を続ける方向に労力を割いたほうが結果は良くなる。更新は年1回で足り、年末や誕生月のように決まった時期に置いておくと忘れにくい。

見直すのは四か所である。手取りの実績、1年で実際に出た支出、貯蓄の残高、そして年表の中身である。年表は出来事が前後したり消えたりするので、起きた行を消して新しい行を足す。数字を直したあと、重なりの位置が変わっていないかだけ確かめればよい。

途中で計画が崩れても作り直せばよい。崩れた原因が一度きりの出費なら数字を直すだけで済み、毎年続く性質のものなら固定費の構成を変える必要がある。この二つを切り分けるために、更新のときは前年の表を消さずに残しておく。並べて見ると、どこから狂ったかがすぐに分かる。

住む場所を動かすと前提そのものが変わる。地域を移る、二つの地域を行き来する、働き方を変えるといった選択は、住居費と移動費と収入を同時に動かす。FLASPOのように地域をまたいで活動する形を考えているなら、年表の行を増やす前に住居費と移動費の二本を先に積み上げておくと、計画の作り直しが一度で済む。

よくある質問

ライフプランは何年先まで作ればよいですか。退職後の収支が見えるところまで引くのが実用的で、現役の人なら90歳前後までが目安になる。細かく書くのは直近5年ぶんで足り、その先は10年ごとの区切りで大きな支出だけ置けばよい。精度は更新のたびに上がる。

専用のソフトや有料のサービスは必要でしょうか。表計算ソフトか紙で十分に作れる。金融庁が公開しているライフプランシミュレーションのような無料の道具もあり、最初の全体像をつかむには使い勝手がよい。入力する数字をどこから取るかのほうが、道具の選択より結果を左右する。

子どもの教育費は大学まで含めてどう見ますか。高校までは文部科学省の調査で年額が出ているので、進路の想定に合わせて表から当てはめる。大学は授業料と生活費を別に積み、自宅通学か下宿かで分けて置く。奨学金を使う前提にするなら、返還の開始年を年表に書き入れておく。

夫婦でそれぞれ作るべきでしょうか。家計をひとつにしているなら表は1枚でよく、年齢の列だけ二人ぶん持たせる。収入も支出も別に管理している場合は、住居費や教育費のような共同の支出だけを共通の行にして、残りは各自の表に置く形が扱いやすい。

収入が不安定な場合はどう組めばよいですか。年収の平均値ではなく、ここ3年で最も低かった年の手取りを基準に置く。固定費がその額で回るかを確かめてから、上振れした年のぶんを貯蓄や投資に回す形にする。基準を低く取るほど計画は壊れにくくなる。


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