住宅とライフプラン|返済期間33.9年と返済負担率18.4%から逆算する

住宅とライフプラン|返済期間33.9年と返済負担率18.4%から逆算する

家を買うかどうかの判断は、物件の値段より返し終わる年齢で決まる場面が多い。35年のローンを組めば、完済するのは契約した年齢に35を足した年だ。そこに教育費や車の買い替え、親の介護が重なるかどうかで、同じ金額の借入でも意味が変わる。国土交通省は毎年、住宅を取得した世帯の年齢・年収・返済期間・返済負担率を調べて公表している。その実額を使って、住まいと人生の予定表がどこで交わるのかを後ろから計算してみる。

返し終わる年齢を先に出す

国土交通省の令和6年度住宅市場動向調査によると、住宅取得のための借入金の返済期間は、注文住宅の建築資金で33.9年、土地購入資金で35.6年。分譲戸建住宅が30.9年、分譲集合住宅が28.2年、既存(中古)戸建住宅が25.5年、既存集合住宅が27.7年、リフォーム資金が12.3年だった。新築の戸建は30年を超え、中古は30年に届かない。

ここに取得時の年齢を重ねる。注文住宅の新築世帯の平均年齢は42.1歳、分譲戸建住宅は38.8歳、分譲集合住宅は44.1歳、既存集合住宅は45.7歳である。注文住宅の新築で土地も買う場合、42.1歳に35.6年を足すと単純計算で77歳台になる。分譲戸建は38.8歳に30.9年で69歳台、既存戸建は44.8歳に25.5年で70歳台だ。いずれも公的年金の受給が始まる年齢を越えて返済が続く計算になる。繰上げ返済や退職金での一括返済を前提にしている世帯も多いはずだが、調査が示す契約上の期間はこの長さである。完済予定の年齢を紙に書き出すことが、ライフプランを住宅から考える出発点になる。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

年収のどれだけを返済に回しているか

同じ調査では、住宅ローンがある世帯の年間返済額と、世帯年収に占める返済負担率も集計されている。年間返済額が最も高いのは注文住宅の取得世帯で144.8万円、最も低いのはリフォーム住宅で73.7万円。返済負担率も注文住宅が最も高く18.4%、最も低いリフォーム住宅が12.7%だった。注文住宅の取得世帯の平均世帯年収は全国で907万円、三大都市圏で1042万円なので、年収900万円台で月12万円前後を返している姿になる。

注意したいのは、この18.4%が「組める上限」ではなく「実際に組まれた平均」である点だ。金融機関の審査で通る比率はこれより高い場合があるが、実際に取得した世帯の平均はこの水準に収まっている。住宅ローン減税の適用を受ける、または受ける予定の世帯は注文住宅で91.4%、分譲戸建で82.0%、分譲集合で84.1%、既存戸建で57.5%、既存集合で58.5%。中古では4割が適用を受けていないので、減税を織り込んだ返済計画を立てる場合、物件の区分によって前提が変わる。民間金融機関から借りた世帯の金利タイプは変動金利型が85.9%と大半を占めており、返済額が将来変わりうる前提で計画を組む必要がある世帯が多数派だ。

手元資金をどれだけ入れているか

借入とセットで見るべきは自己資金である。購入資金のうち手持ち資金で払う割合は、土地を購入した注文住宅の新築世帯で32.2%、建て替え世帯で57.1%。分譲戸建住宅が27.3%、分譲集合住宅が44.7%、既存(中古)戸建住宅が36.6%、既存集合住宅が43.8%、リフォーム住宅が85.5%となっている。

住宅の種類 平均購入資金 自己資金比率 返済期間
注文住宅(土地を購入した新築) 6188万円 32.2% 33.9年(建築)/35.6年(土地)
分譲戸建住宅 4591万円 27.3% 30.9年
分譲集合住宅 4679万円 44.7% 28.2年
既存(中古)戸建住宅 2917万円 36.6% 25.5年
既存(中古)集合住宅 2919万円 43.8% 27.7年

表を縦に見ると、金額が大きい区分ほど自己資金比率が低いという関係が出る。分譲戸建の27.3%は、4591万円のうち3335万円を借りて1256万円を手元から出した形だ。対して分譲集合住宅は4679万円のうち2091万円を自己資金で用意している。中央値で見ると分譲戸建が4100万円、分譲集合が4500万円なので、平均が特殊な高額物件に引っ張られているわけでもない。頭金をいくら用意できるかは、物件の種類の選び方そのものを左右する。

住宅以外の支出と重なる時期

返済期間の長さが問題になるのは、ほかの支出と時期が重なるからだ。住宅市場動向調査では子育て世帯の割合も出ており、分譲戸建住宅の取得世帯で65.2%、注文住宅で51.0%、既存(中古)戸建住宅で50.4%、分譲集合住宅で45.7%、既存集合住宅で33.9%、民間賃貸住宅で17.6%となっている。新築の戸建を買う世帯の3分の2が子育て中で、取得時の平均年齢は38.8歳。子どもが大学に入る時期と返済の中盤が重なる設計になりやすい。

維持費も積み上がる。国土交通省のマンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和6年6月改定)は、長期修繕計画366事例から計画期間全体の平均額の目安を示している。20階未満で建築延床面積5000平方メートル未満なら1平方メートル当たり月335円、5000から1万平方メートル未満で252円、1万から2万平方メートル未満で271円、2万平方メートル以上で255円、20階以上は338円。70平方メートルの住戸で月335円なら2万3450円で、管理費や固定資産税とは別に毎月出ていく。一次取得者の平均年齢は分譲集合住宅で40.5歳なので、積立額が上がる築20年の時期は60歳前後、収入が変わる年齢にぶつかる。

逆算の手順をどう組むか

以上の数字から、手順は4段で組める。第一に完済したい年齢を決める。65歳で終えたいなら、40歳での取得なら返済期間は25年で、調査の平均である33.9年より9年短い。第二に、その期間で返せる総額を返済負担率から出す。注文住宅の平均18.4%を上限の目安に置き、年収の18%を25年分と考える。第三に、自己資金をいくら入れられるか決める。分譲集合住宅の平均44.7%に近づけるほど借入は軽くなる。第四に、修繕積立金と固定資産税を毎月の支出として加える。

この順で計算すると、買える物件の価格帯が先に決まり、そこから探す地域が絞られる。逆に物件を見てから資金を考える順序だと、返済期間を伸ばして月額を下げる方向に寄りやすい。二次取得者の平均年齢が注文住宅で60.2歳、分譲集合住宅で57.9歳という数字は、一度買った家に住み続けるとは限らないことも示している。住む場所を固定しない働き方を考えている人なら、FLASPOのような地域をまたぐ活動と両立するかを先に確かめたほうがよい。費用の積み上げ方は二地域居住の費用を積み上げる、収入側からの逆算は大学生の節約とライフプランでも扱っている。

よくある質問

35年ローンは長すぎるのか。調査では注文住宅の土地購入資金の返済期間が平均35.6年で、新築の戸建では標準的な長さである。問題は長さそのものではなく、完済予定の年齢が収入のある期間を越えるかどうかだ。取得時の平均年齢42.1歳に35.6年を足すと77歳台になる計算で、その差をどう埋めるかを決めておく必要がある。

頭金はいくら用意するのが普通か。自己資金比率の平均は分譲戸建住宅で27.3%、分譲集合住宅で44.7%、既存集合住宅で43.8%。マンションのほうが手元資金を厚く入れる傾向が出ている。金額では分譲戸建が1256万円、分譲集合が2091万円が平均値だ。

中古を選ぶと計画は楽になるか。既存(中古)戸建住宅の平均購入資金は2917万円、既存集合住宅は2919万円で、新築の分譲より1700万円前後低い。返済期間も25.5年と27.7年で短い。ただし住宅ローン減税の適用は57.5%と58.5%にとどまり、修繕の時期も早く来る。総額は下がるが前提条件は変わる。

変動金利と固定金利はどちらが多いか。民間金融機関から借入がある世帯で、変動金利型が85.9%と最も多い。金利が上がれば返済額も動くため、返済負担率18.4%という平均値は将来にわたって固定された数字ではない。

賃貸を続ける前提のライフプランは成り立つか。民間賃貸住宅に入居した世帯の平均世帯年収は486万円で、住み替え前の平均家賃は月7万3510円だった。年額88万2120円は年収の18.2%にあたり、注文住宅の返済負担率18.4%とほぼ同じ比率である。違いは完済という終わりがない点と、住まいが資産として残らない点で、どちらを重く見るかで判断が分かれる。


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。