若者の住まいの現在地|賃貸入居の34.6%が30歳未満という内訳

若者の住まいの現在地|賃貸入居の34.6%が30歳未満という内訳

進学や就職で家を出るとき、選べる範囲はたいてい家賃で決まる。どこに住みたいかより、いくらまで出せるかが先に来る。その制約がどのくらいのものなのかは、国の調査を見ると数字で確かめられる。国土交通省は毎年、住み替えをした世帯に世帯主の年齢・年収・家賃を聞いており、総務省は5年ごとに全国の家賃水準を集計している。若い世代がどこに住み、いくら払い、どこで妥協しているのかを、この2つから組み立てる。

20代が住んでいるのはどういう住宅か

国土交通省の令和6年度住宅市場動向調査は、令和5年度中に住み替えなどを行った世帯を住宅の種類別に調べている。民間賃貸住宅に入居した世帯の世帯主の年齢を見ると、30歳未満が34.6%で最も多く、30代が21.7%、40代が19.3%、50代が12.5%、60歳以上が11.3%。平均年齢は38.9歳だった。調査が対象にした住宅のうち、30歳未満が最も多い層になったのは民間賃貸住宅だけである。

一方、買う側の年齢は上にずれる。注文住宅の新築で平均42.1歳、分譲戸建住宅で38.8歳、分譲集合住宅で44.1歳、既存(中古)集合住宅で45.7歳。分譲戸建と分譲集合、既存戸建では30代が最も多い層になる。つまり20代の住まいは実質的に賃貸で、持ち家が選択肢に入ってくるのは30代以降という形がはっきり出ている。住み替え前の住宅を見ると、民間賃貸に入居した世帯のうち52.1%が前も民間賃貸、27.7%が親や兄弟姉妹など親族の住宅だった。実家から出て最初に入るのが賃貸、という経路が4分の1を占めている。

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家賃がどこまで選択を縛っているか

同じ調査で、民間賃貸住宅を選んだ理由を複数回答で聞いた結果がある。最も多いのは「家賃が適切だったから」で55.5%。次が「住宅の立地環境が良かったから」31.0%、「交通の利便性が良かったから」29.8%、「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」27.2%、「職場から近かったから」22.1%と続く。家賃を挙げた割合は前年度の51.1%から4.4ポイント上がっており、他の理由が横ばいか下がっているなかで唯一はっきり伸びた。

実額はどうか。住み替え前も借家に住んでいた世帯の、以前の月額家賃は平均7万3510円、中央値6万5000円だった。総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査が示す借家(専用住宅)の全国平均は5万9656円なので、住み替えをする世帯は全国平均より1万3千円ほど高い家賃帯にいる。全国平均には公営の借家(2万4961円)や給与住宅(3万7993円)が含まれるため平均が下に引かれるが、民営借家(非木造)だけを見ると6万8548円で、住み替え層の実感に近い。家賃は2018年からの5年で7.1%上がり、1畳当たりでは10.7%上がった。同じ家賃で借りられる広さが縮んでいる、という読み方になる。

世帯年収486万円という土台

負担の重さは家賃の額だけでは測れない。住宅市場動向調査では世帯年収も聞いており、民間賃貸住宅の入居世帯は平均486万円で、調査した住宅の種類のなかで最も低い。比較すると注文住宅の取得世帯が全国平均で907万円、三大都市圏では1042万円、分譲戸建住宅が851万円、分譲集合住宅が891万円、既存(中古)戸建住宅が699万円。賃貸と注文住宅では2倍近い差がある。

月7万3510円の家賃を年額にすると88万2120円で、年収486万円に対して18.2%にあたる。住宅を買った世帯のローン返済負担率が注文住宅で18.4%、年間返済額144.8万円であることと並べると、賃貸で払っている割合は返済している世帯とほぼ同じ水準にある。違いは年収の絶対額のほうで、分母が小さいまま同じ比率を負担しているのが賃貸層の姿だ。若者夫婦世帯の割合も、民間賃貸住宅と既存(中古)集合住宅が同率12.3%で最も高く、次が分譲集合住宅の11.7%。新築の戸建を買う層に若い夫婦は少ない。

初めて家を買う人は何歳か

同じ調査は、初めて住宅を取得した世帯(一次取得者)と2回目以上の世帯(二次取得者)を分けて集計している。一次取得者の平均年齢を住宅の種類別に並べると、どこで最初の持ち家を買うかによって5歳ほど差が出る。

住宅の種類 一次取得者の平均年齢 30歳未満の割合 30代の割合
分譲戸建住宅 37.3歳 16.0% 47.8%
注文住宅(建て替えを除く) 40.3歳 14.9% 47.1%
分譲集合住宅 40.5歳 7.7% 43.4%
既存(中古)戸建住宅 41.3歳 9.3% 38.0%
既存(中古)集合住宅 42.0歳 6.2% 35.8%

どの区分でも30代が最も多い層で、既存集合住宅だけは30代と40代が同率35.8%だった。30歳未満で買う人は分譲戸建で16.0%、注文住宅で14.9%あるが、分譲集合や中古では1割に届かない。参考として二次取得者の平均年齢は注文住宅で60.2歳、分譲集合住宅で57.9歳なので、2回目の取得は20年ほどあとに来る。最初の家を買う時期が30代後半から40代前半に集まることは、ローンの返済期間をどこまで取れるかに直結する。

妥協する順番を数字で決める

選択理由の順位は、裏返すと妥協の順番でもある。家賃を55.5%が挙げる一方で、広さや設備を挙げたのは27.2%、災害発生リスクの低い地域を挙げたのは2.7%、子育てに適した環境は6.8%にとどまった。広さの実態を見ると、専用住宅1住宅当たりの延べ面積は共同住宅で50.31平方メートル、一戸建で126.32平方メートル。賃貸の多くが入る共同住宅は一戸建の4割の広さしかない。ただし1人当たり居住室の畳数は共同住宅でも11.63畳あり、1993年の7.72畳から着実に増えている。狭い家でも1人が使える面積は広がってきた。

居住期間も判断材料になる。住み替え前が賃貸だった世帯の平均居住期間は8.0年、親族の住宅だった世帯は18.0年、持ち家だった世帯は22.8年。賃貸で暮らす期間は平均8年で区切られるので、いま決める部屋は一生の選択ではない。地域や働き方を試すつもりなら、立地と交通の利便性に重みを置いて家賃を抑え、広さは次の住み替えで取り戻すという順序が組める。FLASPOのように複数の地域を行き来する前提なら、固定費を軽くしておくこと自体が選択肢の幅になる。詳しい相場感は大学生の一人暮らしの家賃相場や都道府県別の家賃相場で地域別に確かめられる。

よくある質問

家賃は収入の3分の1までという目安は妥当か。国の調査にこの基準は出てこない。確かめられるのは、民間賃貸に入居した世帯の平均世帯年収が486万円で、住み替え前の平均家賃が7万3510円だったという実額だけである。この組み合わせは年収の18.2%にあたり、3分の1よりかなり低い。目安は上限の目安であって、実際に払われている水準はもっと下にある。

20代で家を買う人はどのくらいいるのか。一次取得者のうち30歳未満は分譲戸建住宅で16.0%、注文住宅で14.9%、分譲集合住宅で7.7%、既存集合住宅で6.2%。戸建なら6人に1人ほどいるが、マンションでは1割を下回る。

実家に住み続ける選択はどう見ればよいか。民間賃貸に入居した世帯の27.7%が、直前は親や兄弟姉妹など親族の住宅に住んでいた。その世帯の平均居住期間は18.0年なので、18年ほど実家にいてから出るのが平均的な形になる。

若者が借りやすい公的な住宅はあるか。住宅・土地統計調査では、公営の借家は176万戸で住宅全体の3.2%、都市再生機構(UR)・公社の借家が71万6千戸で1.3%。合計しても5%に届かず、入居には所得などの要件がある。家賃は公営が2万4961円、UR・公社が7万1831円で、同じ公的な住宅でも水準は大きく違う。

住み替えのタイミングはどう測るか。賃貸から賃貸へ移る世帯の平均居住期間が8.0年という数字が参考になる。働く場所が変わる見込み、家族構成の変化、同じ家賃で借りられる広さの目減りの3つを並べ、どれかが動くときに合わせるのが現実的だ。世代全体の移動の傾向は若者の一人暮らしと単独世帯でも扱っている。


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