審査に通るか通らないかを左右する情報が、自分の手元にない。これがこの話の落ち着かないところだ。ただ実際には、何が登録され、どの種類が何年残り、どうすれば自分で読めるのかまで公表されている。推測で語られやすい領域だからこそ、機関が出している定義と期間に当たっておきたい。
記録されているのは、取引の事実だけ
信用情報という言葉は、人物の評価を指すように聞こえる。だが定義はもっと乾いている。CICは信用情報を、クレジットやローン等の契約に関する内容や支払状況といった実際の取引の記録をまとめた個人の情報だと説明し、クレジット会社等が信用力を判断する際の参考として利用すると記している。
このCICは、割賦販売法第35条の3の36第1項の規定に基づく指定信用情報機関であり、同時に貸金業法第41条の13第1項の規定に基づく指定信用情報機関でもある。二つの法律から指定を受けた民間の株式会社で、創立は1984年9月27日、資本金は5億円、株主は全国の主要クレジット会社など46社、従業員数は182名という規模だ。いずれも2026年3月31日時点の数値である。
法律に基づく指定という形が意味するのは、情報の収集と提供が各社の裁量ではないということだ。カード会社が顧客ごとに勘で判断するのではなく、登録と照会の枠が法の側から与えられている。だから登録される項目も保有される期間も、会社ごとにばらばらにはならない。審査で何を見られているかという論点はクレジットカードの選び方でも触れている。
登録される項目は三つの層に分かれる
中身を知れば、恐れる部分と恐れなくてよい部分が分かれる。CICが示す登録項目は、本人を識別する層、契約の条件を示す層、支払いの経過を示す層の三つに整理できる。
第一の層は本人識別情報で、氏名、生年月日、性別、郵便番号、住所、電話番号、勤務先名、勤務先電話番号、公的資料番号などが含まれる。第二の層は契約内容で、契約日、契約の種類、商品名、支払回数、契約額または極度額、契約終了予定日、登録会社名が並ぶ。ここまでは申込書に書いた内容と、結んだ契約の条件そのものだ。
第三の層が支払状況である。報告日、残債額、請求額、入金額、入金履歴に加えて、延滞や保証履行や破産などの異動の有無、異動発生日、延滞解消日、終了状況が登録される。延滞が起きた日と解消した日の両方が項目として立っている点に注意したい。遅れた事実だけでなく、いつ戻したかも記録として残る設計になっている。なおCICは、契約形態や支払状況によって登録項目は異なり、全項目が登録されるわけではないと注記している。
保有期間は情報の種類ごとに違う
何年残るのかという問いに単一の答えはない。種類ごとに期間が定められており、短いものは半年で消え、長いものは契約が終わってから5年続く。
| 情報の種類 | 保有期間 |
|---|---|
| 申込情報 | 照会日から6か月間 |
| クレジット情報 | 契約期間中および契約終了後5年間 |
| 利用記録 | 利用日から6か月間 |
| クレジット・ガイダンス情報 | 契約期間中および契約終了後5年間 |
| 電話帳掲載情報 | 最終の記録年月から2.5年間 |
| 協会依頼情報 | 登録日から5年間 |
| 本人申告情報 | 登録日から5年間(本人の申し出で期間内でも削除可能) |
短期で消える二つに実務上の意味がある。申込情報は照会日から6か月間なので、立て続けに何枚も申込めば、その履歴は半年のあいだ他社からも見える状態になる。利用記録も利用日から6か月間で、ここには利用日、利用目的、利用会社名が登録される。急いで複数社に出す前に、半年という単位を思い出しておきたい。
一方でクレジット情報は契約期間中に加えて契約終了後5年間残る。カードを解約しても、その契約にまつわる支払状況は即座には消えないという意味だ。本人申告情報だけは例外的に、本人の申し出があれば期間内でも削除できる扱いになっている。制度の基礎はクレジットカードとはで整理した。
異動情報は全体の3.0%にあたる
規模の感覚をつかむには、公表されている件数が役に立つ。CICの信用情報統計データでは、2026年9月20日時点の総登録情報件数は8億3,013万件で、このうち異動情報件数は2,503万件だった。比率は3.0%である。
8億件という総数は、カードやローンの契約が人ではなく契約単位で登録されることを考えれば理解できる。1人が複数の契約を持てば、その数だけ記録が立つ。発行枚数の側から見ても、日本クレジット協会の調査では2025年3月末のクレジットカード発行枚数は3億2,057万枚で、20歳以上の人口比では1人当たり3.1枚という計算になる。
3.0%という比率は、二通りに読める。大半の契約は異動のない記録として積まれているという読み方と、2,503万件という絶対数は決して小さくないという読み方だ。どちらも事実で、自分がどちらに属しているかは比率からは分からない。だから次の節が必要になる。
自分の記録は、自分で取り寄せられる
審査の結果だけを見て推測するのは遠回りだ。CICは本人が自分の情報を開示請求できる窓口を用意しており、方法は二つある。インターネットと郵送で、手数料と必要なものが異なる。
インターネットによる開示は手数料が500円で、支払いにはPayPay、楽天ペイ、クレジットカードまたはキャリア決済が使える。必要なものは、インターネットが利用できるスマートフォン、クレジット会社等に届けてCICに登録されている電話番号、そして署名用電子証明書が有効な本人のマイナンバーカードである。登録されている電話番号が古いままだと手続きが進まないので、ここは先に確かめておきたい。
郵送による開示は手数料が1,500円で、支払いにはコンビニで購入する開示利用券、いわゆるコンビニチケットか、ゆうちょ銀行の定額小為替証書を使う。必要なものは開示申込書と本人確認書類などで、必要書類は申込者によって異なる。住宅ローンのような大きな借入を控えているなら、申込の前に500円を払って自分の記録を読むほうが、落ちた理由を推測して時間を費やすより早い。地域活動の経費を立て替えるような場面でも、支払いの記録が残る仕組みを理解しておけば、FLASPOのような取り組みでの精算の段取りを決めやすくなる。
よくある質問
いわゆるブラックリストという名簿があるのかという質問が最も多い。CICが保有しているのは取引の記録であり、名簿という形のものではない。支払状況の項目の一つとして異動の有無が登録される、という構造になっている。
解約すれば記録は消えるのかという問いもある。クレジット情報の保有期間は契約期間中および契約終了後5年間なので、解約してすぐに消えるわけではない。短いのは申込情報と利用記録で、こちらは6か月間だ。
申込を立て続けに出すと不利になるのかという相談も受ける。申込情報は照会日から6か月間保有され、照会日、商品名、契約予定額、支払予定回数、照会会社名が登録される。他社がその期間に同じ情報を見られる状態になることは押さえておきたい。
勤務先まで登録されるのかという驚きもある。本人識別情報に勤務先名と勤務先電話番号が挙げられているので、登録され得る項目に含まれる。ただし契約形態や支払状況によって項目は異なり、全項目が登録されるわけではないという注記がある。
CICのほかに機関はあるのかという質問には、CICが二つの法律から指定を受けている事実を答えている。割賦販売法と貸金業法の双方で指定信用情報機関とされているため、カードの審査と貸金の審査の両方に関わる位置にいる。
開示を受けると不利になるのではという心配も根強い。本人開示は本人の権利として用意された手続きで、手数料はインターネットが500円、郵送が1,500円である。必要なものを揃えれば誰でも請求でき、自分の記録を読むこと自体が記録上の不利を生む仕組みにはなっていない。
出典:株式会社シー・アイ・シー「CICが保有する信用情報」、同「信用情報統計データ」、同「会社概要」、同「情報開示とは」、一般社団法人日本クレジット協会「クレジット関連統計」
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