読書を習慣にする方法|続かない理由と1日10分から始める仕組み

読書を習慣にする方法|続かない理由と1日10分から始める仕組み

積んだままの本が増えるのは、意志が弱いからではない

買った本が机の上で止まったまま数週間たつ。その状態は珍しいものではなく、統計の形でも現れている。文化庁の国語に関する世論調査は全国16歳以上を対象に郵送で行われており、令和5年度の結果では、1か月に読む本の冊数を聞いた設問で「読まない」が62.6%、「1、2冊」が27.6%だった。ここでいう本には電子書籍が含まれ、雑誌と漫画は除かれている。

同じ調査で読書量の変化をたずねると、「読書量は減っている」が69.1%、「それほど変わっていない」が24.5%、「増えている」が5.5%となっている。減っていると答えた人に理由を二つまで挙げてもらった結果は、情報機器で時間が取られるが43.6%で最も高く、仕事や勉強が忙しくて読む時間がないが38.9%、視力など健康上の理由が31.2%、テレビの方が魅力的であるが19.8%と続く。

年齢別に見ると様子が変わる。情報機器を挙げる割合は若いほど高くなり、16歳から19歳では70.9%に達する。一方で20代から40代は仕事や勉強の忙しさを挙げる割合が6割台で、他の年齢層より高い。途切れる原因が世代ごとに違うので、どこを削って読む時間に充てるかの答えも人によって変わってくる。

ここから見えるのは、習慣にする作業の正体である。気持ちを入れ替える話ではなく、すでに何かで埋まっている時間から何分を取り返すかを決める話だ。相手が分かっていない限り、読もうという決意だけでは枠が空かない。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

16歳を過ぎたあたりで、読む量は静かに落ちていく

子どものころは読んでいたのに、という述懐には裏づけがある。全国学校図書館協議会の学校読書調査は、2025年6月の第1週と第2週に実施され、5月の1か月間に読んだ本の冊数を聞いている。第70回となる今回の平均読書冊数は、小学生が12.1冊、中学生が3.9冊、高校生が1.4冊だった。

学校段階 平均読書冊数(2025年5月の1か月) 1冊も読まなかった人の割合
小学生 12.1冊 9.6%
中学生 3.9冊 24.2%
高校生 1.4冊 55.7%

学校段階が上がるにつれて冊数は10分の1近くまで落ち、高校生では半分以上が0冊の側に入る。授業や部活や受験に時間が移っていく過程で、読書は最初に削られる位置に置かれやすい。大人になってから読めなくなったのではなく、もっと前に外れていた可能性がある。

この落差は政策の側でも課題として扱われている。2023年3月28日に閣議決定された第五次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」は、2023年度から概ね5年間を対象に、不読率の低減を基本的方針の第一に掲げた。国立国会図書館国際子ども図書館の解説によれば、前の計画期間ではいずれの学校段階でも数値目標が達成されていない。

そうなると、大人が取り組む作業は初めて身につける話ではなく、いちど剥がれたものを貼り直す話になる。方法も、ゼロから気合いを入れる形より、かつて成立していた形を小さく再現する形のほうが合う。寝る前に枕元で数ページ、という昔の型をそのまま戻すほうが早い場合がある。

10分をどこから取り返すのか、相手の名前を出す

取り返す先を決めるには、何に時間が流れているのかを具体的に見たほうが早い。総務省の社会生活基本調査は5年ごとに生活行動を調べており、令和3年の結果では、過去1年間に趣味・娯楽として何を行ったかが種類別に集計されている。

趣味・娯楽の種類 行動者率(2021年)
CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞 53.5%
映画館以外での映画鑑賞(テレビ・DVD・パソコンなど) 52.7%
スマートフォン・家庭用ゲーム機などによるゲーム 42.9%
マンガを読む 36.8%
趣味としての読書(マンガを除く) 31.6%
映画館での映画鑑賞 29.8%

趣味としての読書は31.6%で、マンガを読む36.8%を下回る。上位には映像と音楽とゲームが並ぶ。なお2016年の「趣味としての読書」は漫画を含む定義で38.7%だったため、漫画を除いた2021年の数値と単純に比べることはできない。

それでも並び順は使える。読む時間を作るときに競合している相手は、もっと本を読む人ではなく、手元の画面で再生されている映像や音楽だからだ。相手が特定できれば置き場所も決まる。通勤の往路だけ、入浴後の15分、昼休みの最後の10分といった具体的な枠に差し替える形になる。どの枠が空いているかを測る手順は時間管理アプリは何で選ぶかで扱っている。

本に届くまでの経路を二本持っておく

途切れる理由は時間だけではない。次に開く本が決まっていない状態も、同じくらい効く。文化庁の調査では、1か月に1冊以上読むと答えた36.9%の人に本の選び方を二つまで聞いている。書店で実際に手に取って選ぶが57.9%で最も高く、インターネットの情報を利用して選ぶが33.4%、図書館や図書室で実際に手に取って選ぶが25.0%、広告を参考にするが14.7%だった。

もう一本の経路が電子書籍である。ふだん利用するかをたずねた設問では、よく利用するが15.0%、たまに利用するが25.3%で、合わせた利用する層は40.3%。紙の本・雑誌・漫画しか読まないが38.2%、紙も電子書籍も読まないが20.6%となっている。40代以下では利用する層が5割を超える。

利用している人の内訳を見ると、電子書籍の方が多いが40.5%、紙の本・雑誌・漫画の方が多いが29.5%、同じくらいが21.4%、電子書籍しか読まないが7.9%。どちらが優れているかという比較ではなく、手が空いた瞬間に本が目の前にあるかどうかが差になる。

実務的には、棚の前に立つ経路と端末に入れておく経路を二本とも用意しておくと切れにくい。書店や図書館で次の2冊を決め、移動中に読む分は端末に入れる。これが意志に頼らない在庫管理になる。読み終えた直後に次が無い空白が、いちばん危ない時間帯だ。

冊数ではなく、長い文章に向かった回数を数える

続いているかどうかを冊数だけで判定すると、自己評価はたいてい低く出る。文化庁の調査で月1冊以上の層は36.9%、そのうち最も多いのは1、2冊の27.6%である。3、4冊は6.0%、5、6冊は1.5%、7冊以上は1.8%と薄い。月に1、2冊なら、読む側の多数派にもう入っている。

同じ調査には、本に限らず文字・活字による情報に触れる時間の変化を聞いた設問もある。「それほど変わっていない」が37.3%、「増えている」が35.3%、「減っている」が26.0%で、30代から40代では増えているが4割台後半になる。読む総量が落ちたというより、短くて独立した文章に置き換わったという把握のほうが近い。

それなら数える対象も置き換えたほうが実態に合う。1週間のうち何回、章をまたいで前提が積み上がる文章に向かったか。この数え方なら、1冊を3週間かけている人にも進捗が見える。続ける仕組みの作り方そのものは勉強の習慣化は固定枠から始まると重なり、読んだものを書く側に回す手順はライティングと書籍で触れている。

FLASPOが扱う地域や暮らしのテーマでも、関連する本を1冊通して読んでおくと、断片的に集めた記事や資料をつなぐ地図ができる。10分の枠が効いてくるのはそういう場面である。

よくある質問

1日何分から始めるのが現実的か。10分で足りる。減った理由の上位が情報機器と仕事の忙しさである以上、最初から確保できるのは短い枠だけだ。文庫なら10分で10ページ前後が目安になり、1か月続けば300ページの本が1冊終わる。

電子書籍でも習慣として成り立つか。成り立つ。40代以下では利用する層が5割を超え、利用者のうち4割は紙より電子の方が多いと答えている。注意点は一つで、同じ端末に通知も届くため、読む間だけ通知を切る手当てが要る。

読み終えられない本が積み上がるのが気になる。終わらせることを目標から外してよい。月1、2冊が読む層の最大勢力なのだから、積んだ冊数ではなく次に開く本が決まっている状態を保つほうが効く。合わない本を途中で閉じる判断も、続けるための技術の一つだ。

図書館は習慣づくりに使えるか。使える。本の選び方では図書館や図書室で手に取ると答えた人が25.0%いる。費用がかからないうえ、返却期限が外から与えられる締め切りとして働く。自分で決めた期限より、他人が決めた期限のほうが守りやすい。


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。