マッチングアプリのデメリット|詐欺の入口32.7%という数字

マッチングアプリのデメリット|詐欺の入口32.7%という数字

詐欺の入口として、ほかのどの経路より多く使われている

弱点をいちばん冷静に示している資料は、警察庁の犯罪統計である。令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等については、SNS型ロマンス詐欺で犯行の最初に使われたツールを集計している。最も多いのがマッチングアプリの1,846件で、全体の32.7パーセントを占めた。前年から535件、40.8パーセントの増加である。

当初接触ツール 認知件数 構成比 前年比
マッチングアプリ 1,846件 32.7% +535件(+40.8%)
Instagram 1,288件 - +434件(+50.8%)
Facebook 1,049件 - +266件(+34.0%)
TikTok 471件 8.3% -
その他 171件 3.0% -
警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年5月)より作成。SNS型ロマンス詐欺の認知件数5,645件の内訳。上位3ツールで全体の約7割を占める

この数字の読み方には注意が必要である。マッチングアプリが危険だから件数が多いとは限らず、恋愛感情を利用する手口にとって、恋愛を目的に集まる場が最も効率の良い入口だという意味でもある。ただし結果として、被害の3件に1件がこの経路から始まっている。

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件数も金額も、前年から半分近く増えた

規模を押さえると深刻さが見えてくる。SNS型ロマンス詐欺の認知件数は5,645件で、前年から1,821件、47.6パーセント増えた。被害額は546.4億円で、145.5億円、36.3パーセントの増加である。1件あたりでは1,000万円に近い金額が動いている。

被害者の内訳も意外な形をしている。男性が3,633件で328.7億円、女性が2,012件で217.7億円と、男性の被害が件数と金額のおよそ6割を占めた。年代では男性の50代が1,100件で最多、次いで60代が903件、40代が729件である。女性も50代620件、40代551件、60代362件の順で、40代から60代に集中している。

20代は男性165件、女性138件で、10代は男女とも7件にとどまる。若い層が多いという印象とは逆で、金銭的な余裕のある中年以降が狙われている。警察庁の資料は、被疑者が詐称した職業として投資家627件、会社員507件、会社役員378件を挙げており、収入のある人物を装う形が目立つ。

連絡先が移った先では、運営側の仕組みが届かない

同じ資料には、もうひとつ構造を示す数字がある。当初の接触手段のうちダイレクトメッセージが5,238件で、全体の92.8パーセントを占めた。そのツール別内訳はマッチングアプリ1,713件、Instagram1,247件、Facebook1,003件である。入口はほぼ例外なく1対1の個別のやりとりである。

そして被害が起きた時点の連絡ツールは、LINEが5,294件で9割以上を占めている。つまり出会った場所と被害が成立した場所が違う。アプリ側が持っている通報の仕組みやメッセージの監視は、会話が別のサービスへ移った瞬間に効かなくなる。早い段階で連絡先の交換を求められることが、手口の一部に組み込まれている。

被疑者が詐称した身分のうち、日本国内と称したものが3,461件で認知件数の約6割にのぼる。日本在住の人物を装いながら、実際には国外から操作している例が含まれる。相手の素性を画面の表示だけで判断できない点は、この経路の構造的な弱さである。

確かめてくれる人が、間に入っていない

第三者が介在しないことは、速さの裏返しとして弱点にもなる。こども家庭庁の令和6年度行政事業レビュー公開プロセス説明資料は、婚活支援サービスを比べたうえで、マッチングアプリの相談支援・伴走支援と安全性をいずれも三角と評価し、安全性については業者によると注記している。公的な結婚支援センターと結婚相談所・仲人業には、登録時面談と独身証明を根拠に丸がついた。

同資料はマッチングアプリの備考に、自助努力のみの傾向と書いている。相手の身元を誰かが確かめた状態で紹介されるのではなく、提示された情報を自分で判断することになる。独身であるかどうかも、証明書の提出が仕組みとして組み込まれていなければ確かめようがない。

被害に遭ったあとの回復も容易ではない。令和7年のSNS型ロマンス詐欺の検挙件数は261件、検挙人員は173人である。前年から97.7パーセント、143.7パーセントと大きく伸びてはいるが、認知件数5,645件に対する割合としては一部にとどまる。金銭の渡し方も変わってきており、暗号資産送信型の認知件数は2,177件で前年から1,391件、177.0パーセント増え、被害額は247.7億円に達した。振込型での暗号資産振込と合わせると、実質的に暗号資産で渡されたものが認知件数の40.4パーセントを占める。送金先が交換業者を経由すると追跡はさらに難しくなる。

18歳未満の被害は、統計の枠の外に出やすい

未成年をめぐる数字には、読み違えやすい仕掛けがある。警察庁の令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況では、SNSに起因する事犯の被害児童数が1,566人で、前年の1,486人から80人増えた。学職別では中学生758人、高校生579人、小学生167人である。

ところが、この統計でいうSNSには注記がついている。通信ゲームを含む一方で、届出のある出会い系サイトを除いたものだと定義されている。届出をして運営されているサービス経由の被害は、1,566人のなかに入っていない。

では届出のある側はどう数えられているか。出会い系サイト規制法の検挙状況として、令和7年は法第6条の禁止誘引が7件、うち児童による誘引が2件、無届と名義貸しはいずれも0件で、総数7件である。前年の21件から減った。行政処分は指示も事業の停止等も0件である。この小ささを安全の証明と読むことはできない。集計の枠が別に立っているというだけで、年齢の確認をすり抜ける行為が消えたわけではない。法律上の位置づけはマッチングアプリとはの記事で整理した。

よくある質問

どの年代が最も狙われていますか。
令和7年のSNS型ロマンス詐欺では、男性の50代が1,100件で最多だった。女性も50代620件が最多で、40代から60代に被害が集中している。20代は男性165件、女性138件である。

男性のほうが被害に遭いやすいのですか。
件数と金額のおよそ6割が男性である。男性3,633件・328.7億円に対し、女性は2,012件・217.7億円だった。恋愛感情を使った詐欺の被害者を女性と想定する見方は、統計と合っていない。

危ない相手を見分ける手がかりはありますか。
統計から言えるのは、連絡先を別のサービスへ移す流れが手口に組み込まれていることである。被害時の連絡ツールはLINEが9割以上を占め、詐称された職業は投資家や会社役員が上位にある。

弱点を避ける使い方はありますか。
証明書の提出や登録時の面談が仕組みとして入っている手段を併せて使う方法がある。都道府県の結婚支援センターは37府県にあり、年1万円弱の費用で相談員の支援がつく。地域で人と接点をつくる経路としては、学生が地域の課題に提案を持ち込むFLASPOのような場も別に置ける。

被害の金額はどれくらいですか。
令和7年の被害額は546.4億円で、認知件数は5,645件である。単純に割ると1件あたり約968万円になる。交際経験そのものの統計は大学生の恋愛の特徴の記事でも扱っている。


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