授業と移動が、先に場所を取っている
一週間は168時間しかない。そのうち勉強に回せる量を決めているのは意気込みではなく、すでに埋まっている枠の大きさである。日本学生支援機構の令和4年度学生生活調査は、授業期間中の典型的な一週間について生活時間を尋ねている。大学学部(昼間部)が「大学の授業」に充てた時間は、1〜5時間が21.0%、16〜20時間が20.4%、11〜15時間が14.3%、6〜10時間が14.0%、21〜25時間が13.8%と広く散らばっていた。学年や学部によって授業の入り方がまるで違うことが、この散らばりに出ている。
移動の分も先に引かれる。同じ調査の片道通学時間では、自宅から通う学生のうち31〜60分が32.2%、61〜90分が28.8%、91〜120分が17.3%で、61分以上が合わせて52.2%に達する。片道1時間なら往復で2時間、週に5日通えば10時間が移動だけで消える。これに対してアパート等から通う学生は0〜10分が40.4%、11〜20分が33.7%と短い。住む場所を決めた時点で、週あたり十時間規模の差が先についているということである。
だから最初にやることは、空いている時間を探すことではない。時間割と通学経路という動かしにくい部分を書き出し、残った帯のかたちを見ることが出発点になる。残りが毎日2時間ずつある人と、週に3日だけ4時間まとまる人では、同じ科目でも向く進め方が変わる。
予習と復習は、週1〜5時間に半数が入っている
実際に授業外で勉強している量はどのくらいか。同調査で「大学の授業の予習・復習、課題など」に充てた時間は、週1〜5時間が52.3%と半数を超え、6〜10時間が22.9%、11〜15時間が7.7%、16〜20時間が3.8%だった。0時間と答えた層も9.1%ある。つまり授業外の勉強は、多くの学生にとって週5時間以内の作業として扱われている。
授業と直接結びつかない学習になると、さらに薄くなる。語学学校や通信講座、独学などが該当する「大学の授業以外の学習」は0時間が51.7%で過半を占め、1〜5時間が32.9%、6〜10時間が7.9%である。卒業論文・卒業研究も0時間が68.1%だが、こちらは学年によって生じる偏りで、該当する時期に入れば一気に増える性質のものだ。
| 週あたりの時間 | 大学の授業 | 予習・復習、課題など | 授業以外の学習 | 娯楽・交友 |
|---|---|---|---|---|
| 0時間 | 4.8% | 9.1% | 51.7% | 2.5% |
| 1〜5時間 | 21.0% | 52.3% | 32.9% | 31.5% |
| 6〜10時間 | 14.0% | 22.9% | 7.9% | 28.2% |
| 11〜15時間 | 14.3% | 7.7% | 2.6% | 15.8% |
| 16〜20時間 | 20.4% | 3.8% | 1.7% | 9.4% |
| 21時間以上 | 25.3% | 4.0% | 2.6% | 12.1% |
制度側が置いている目安は、1単位あたり45時間である
週5時間という水準が厚いのか薄いのかは、基準と並べないと決まらない。大学設置基準第21条第2項は、1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とし、授業そのものはおおむね15時間から45時間までの範囲で大学が定めると書いている。授業が15時間で足りる形式なら、残る30時間は教室の外で積む前提になっているわけだ。
同じ省令は、1年間の授業を行う期間を35週にわたることを原則とし(第22条)、卒業の要件を124単位以上と定めている(第32条)。半期15週の科目を2単位とすれば90時間の学修が想定され、週あたりでは6時間になる。これを4科目並べれば授業外だけで週24時間という計算になり、調査に出た分布とは重ならない。一単位45時間の内訳を一度ばらしておくと、履修した科目数と自分の勉強時間の関係が具体的に見える。
この差を責める材料にする必要はない。むしろ、登録する科目数を決める段階で勉強時間の総量もほぼ決まる、と読むほうが実用的である。124単位から逆算する順番で年次ごとの配分を決めておけば、特定の学期だけ授業外の負荷が跳ね上がる事態を避けられる。
削る相手は娯楽ではなく、重なりのほうである
勉強時間を増やそうとすると、まず遊びを削る発想になりやすい。ところが娯楽・交友の分布は1〜5時間が31.5%、6〜10時間が28.2%、11〜15時間が15.8%で、0時間はわずか2.5%である。多くの人がすでに週10時間前後に収めており、ここからさらに削って出てくる量は限られる。削ったぶんが勉強に移る保証もない。
量として大きいのは別の枠である。アルバイト・定職は0時間が23.3%にとどまり、11〜15時間が19.2%、6〜10時間が18.9%、16〜20時間が14.7%を占める。部活動・サークル活動は0時間が55.7%だが、やっている層では週5時間を超える人も少なくない。就職活動は0時間が77.2%と限られた時期の活動だが、始まれば授業期間の中に入り込む。
つまり問題は総量より、同じ週に複数の塊が重なることにある。試験期間とシフトの繁忙期、提出締切と選考の日程が同じ週に来たときに崩れる。週単位で見れば足りているのに月の中の特定の週だけ破綻する、という形が多い。
記録を取り、科目ごとに置き場所を決める
順番としては、記録が先で計画は後になる。自分の一週間を実際に書き留めると、授業・移動・仕事・娯楽の実測値が出る。そのうえで動かせない枠を固定し、残った帯に科目を割り当てる。ここで「空いたときにやる」と決めてしまうと、空き時間は娯楽に吸われるので、曜日と時間帯まで決めて置くほうが残りやすい。記録から入る手順は続かない原因と立て直す順番にまとめてある。
置き方には相性がある。語学や計算のように毎日15分でも効く科目は通学の往復に寄せられるが、文献を読んで書く作業は細切れでは進まない。後者には週2回の2時間枠のような、まとまった帯を先に確保する必要がある。道具の選び方も同じで、固定の枠を管理するのか、締切のある作業を並べるのかで向きが変わる。カレンダー型とタスク型の使い分けが目安になる。
地域に関わる活動のように、学外に出る予定を持つ人はさらに前倒しで組む必要がある。移動を伴う予定は、当日だけでなく前後の日も使うからだ。FLASPOのように学外での関わりを扱う場でも、参加できるかどうかは意欲ではなく学事日程との重なりで決まることが多い。
よくある質問
勉強時間は週に何時間あればよいのか。制度上の目安は1単位あたり45時間で、半期2単位の科目なら授業と授業外を合わせて90時間が想定されている。登録している単位数に45を掛け、授業期間の週数で割れば、自分の場合の目安が出る。
週1〜5時間でも単位は取れているのではないか。評価は大学が定める方法で行われるため、結果として単位が出ることはある。ただし調査の分布は、授業外の学習が制度の想定より薄い層が多いことを示している。資格試験や大学院進学のように外部の基準で測られる場面では、この差が表に出やすい。
通学時間は勉強に使えるのか。自宅通学では片道61分以上が52.2%を占めるため、往復で2時間以上になる人が半数を超える。音声や単語のような反復に向く作業なら移動中に収まるが、書く作業は机のある場所で枠を取ったほうが進む。
記録はどのくらいの期間取ればよいのか。授業期間中の典型的な一週間が取れれば、配分の偏りは見える。学生生活調査自体も、典型的な7日間について回答する形式を取っている。休講や試験の週は例外として分けて扱うとよい。
アルバイトを減らせば解決するのか。アルバイト・定職に週11〜15時間を充てる層が19.2%いる一方で、収入の必要度は人によって違う。削る前に、重なっている週がどこかを特定するほうが先である。重なりを外せば、総量を変えずに済む場合もある。
アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。
FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。
賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。
