大学院の試験は何を課されるのか|入学資格と選抜情報の公表義務から読む

大学院の試験は何を課されるのか|入学資格と選抜情報の公表義務から読む

科目の前に、受けられるかどうかが法令で決まっている

過去問を集める前に確かめるべき条件がある。学校教育法第102条第1項本文は、大学院に入学できる者を、大学を卒業した者または文部科学大臣の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められた者としている。後半の「同等以上」の中身は学校教育法施行規則第155条第1項に列挙されており、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構から学士の学位を授与された者、外国で16年の課程を修了した者、文部科学大臣が別に指定する専修学校の専門課程や専攻科を修了した者などが並ぶ。

同じ条文の第8号は、大学院が個別の入学資格審査によって大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、22歳に達したものを対象に含めている。医学・歯学・薬学・獣医学を履修する博士課程への入学では24歳である。この審査は出願より前の手続きとして期限が別に設けられていることが多く、募集要項では「出願資格審査」の名前で案内される。大学を出ていないから無理だと決める前に、この号に当たるかどうかを確かめる価値がある。

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大学三年で受ける道も、制度として用意されている

学部の在学中に出願できる枠もある。学校教育法第102条第2項は、大学院を置く大学が、大学に文部科学大臣の定める年数以上在学した者であって、当該大学院を置く大学の定める単位を優秀な成績で修得したと認めるものを入学させることができるとしている。この年数は施行規則第159条で三年と定められ、医学・歯学・薬学・獣医学を履修する博士課程への入学については四年である。いわゆる飛び入学の根拠がここにある。

運用の縛りもついている。施行規則第157条は、この制度で学生を入学させる大学に対し、定める単位その他必要な事項をあらかじめ公表するなど制度が適切に運用されるよう配慮することを求め、第158条は、運用の状況について点検および評価を行い、その結果を公表しなければならないとしている。つまり、どの単位をどの成績で取れば対象になるのかは、受験する側が事前に読める形で出ているはずだという前提になっている。

博士課程の入口は、修士課程とは別建てになっている

修士の二年を終えた先にも審査がある。学校教育法第102条第1項ただし書は、研究科の教育研究上必要がある場合に、入学資格を修士の学位もしくは専門職学位を有する者、またはこれと同等以上の学力があると認められた者とすることができると定める。この「同等以上」は施行規則第156条に列挙され、外国で修士の学位に相当する学位を授与された者や、大学院設置基準第16条の2に規定する試験および審査に相当するものに合格した者が該当する。

修士論文に代わる審査が課程の途中に置かれることもある。設置基準第16条の2は、博士課程の前期の課程の修了要件として、修士論文または特定の課題についての研究の成果の審査および試験に合格することに代えて、大学院が行う試験および審査に合格することとできると定めている。研究科によって資格試験や中間審査と呼ばれるものがこれに当たる。さらに第17条第3項は、修士の学位を持つ者が後期の課程に入学した場合の修了要件を三年以上の在学とし、ただし書で、優れた研究業績を上げた者については一年以上の在学で足りるとしている。

二〇二五年四月から、試験の中身が公表事項になった

どんな試験が課されるのかは研究科ごとに違うが、それを外から確かめる手がかりが増えた。施行規則第172条の2第1項第4号は、大学が公表する情報として入学者の選抜に関することを挙げている。文部科学省の大学院関連参考資料集によると、令和6年9月30日に公布され令和7年4月1日に施行された改正で公表事項が追加され、公布通知では、学力検査等の内容や試験問題に関する情報、合否判定の方法や基準、合理的配慮の提供に関する対応方法が原則として公表する事項として示された。

あわせて、公表が望ましい事項も整理されている。入試区分ごとの受験者数・合格者数・入学者数、過去の年度の入学志願者数・受験者数・合格者数、多様な背景を有する者への支援制度などである。志願者数を出していない研究科に対して、問い合わせる根拠があるということでもある。選考の時期と研究の予定が重なる問題は大学院生の就活でも扱った構造と地続きで、年間の予定表を先に引いてから準備量を決めるほうが破綻しにくい。

区分 示されている内容
原則として公表する事項 学力検査等の内容や試験問題に関する情報
原則として公表する事項 合否判定の方法や基準
原則として公表する事項 合理的配慮の提供に関する対応方法(相談窓口、事前相談・申請方法など)
公表が望ましい事項 入試区分ごとの受験者数・合格者数・入学者数
公表が望ましい事項 過去の年度の入学志願者数・受験者数・合格者数
公表が望ましい事項 多様な背景を有する者への支援制度
学校教育法施行規則の改正(令和7年4月1日施行)と公布通知で示された事項より作成

合格したあとにも、同じ名前の関門が待っている

入試を越えれば試験が終わるわけではない。設置基準第16条は、修士課程の修了要件を、二年以上の在学、三十単位以上の修得、必要な研究指導を受けること、そして修士論文または特定の課題についての研究の成果の審査および試験に合格することと定めている。第17条第1項は博士課程について、五年以上の在学、三十単位以上の修得、必要な研究指導を受けた上で博士論文の審査および試験に合格することを要件としている。入口と出口の両方に試験という言葉が出てくる。

出口の基準は、入学前に読める形で示される建前になっている。第14条の2第2項は、学修の成果および学位論文に係る評価と修了の認定にあたり、客観性と厳格性を確保するため学生に基準をあらかじめ明示するものとしている。入試科目を調べるのと同じ手間で修了要件と評価基準を読んでおくと、二年のあいだに何を積むのかが具体的になる。進学そのものの効果を数字で確かめたい場合は大学院進学で得られるものが参考になる。若い世代の進路選択を地域との関わりから考えるFLASPOの視点でも、資格や学位は手段として置かれている。

よくある質問

大学院の試験ではどの科目が課されるのか。法令は科目を定めておらず、研究科ごとに設計される。令和7年4月施行の情報公表の規定により、学力検査等の内容や試験問題に関する情報と合否判定の方法や基準は原則として公表する事項とされたので、各研究科の公表資料と募集要項で確かめるのが筋になる。

大学を卒業していないと受けられないのか。施行規則第155条第1項第8号により、大学院の個別の入学資格審査で大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められ、22歳に達していれば入学資格がある。医学・歯学・薬学・獣医学を履修する博士課程では24歳である。

学部三年で出願できるのか。学校教育法第102条第2項と施行規則第159条により、三年以上在学し大学院を置く大学の定める単位を優秀な成績で修得したと認められた場合に入学できる制度がある。対象となる単位や要件は、大学があらかじめ公表することとされている。

障害がある場合の配慮はどう確かめるのか。合理的配慮の提供に関する対応方法は、相談窓口や事前相談・申請方法を含めて原則として公表する事項に位置づけられている。出願期限とは別に事前相談の締切が設けられることがあるため、募集要項の公表時期にあわせて確認しておきたい。


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