大学の卒業要件と履修計画|124単位と修業年限から逆算する順番

大学の卒業要件と履修計画|124単位と修業年限から逆算する順番

単位の合計は足りていたのに卒業が延びる

四年生の秋に発覚する不足は、総単位数の数え違いから来るとは限らない。前期に落とした必修の一科目、三年次配当だと気づかずに外した演習、ゼミの着手条件を満たさないまま迎えた登録期間。どれも修得単位の合計を見ているかぎり表に出ない。

卒業の線引きは、大学設置基準の第三十二条第一項にある。卒業の要件は「百二十四単位以上を修得することのほか、大学が定めることとする」と書かれていて、後半の一節が各大学の学則に置かれた区分別の必要単位数や科目ごとの条件を指している。数が揃うことは必要条件にすぎない。

順序の制約も同じ条文群に根拠がある。第二十条は、教育課程を必修科目、選択科目及び自由科目に分け、これを各年次に配当して編成するものとすると定める。配当年次が決まっているため、四年次に残った不足を一年次向けの科目で埋めるという解き方は、そもそも選べない場合がある。

判定の重みも押さえておきたい。学校教育法第百四条第一項は、大学を卒業した者に対し学士の学位を授与するものとすると定め、学位規則第二条がその授与の形を受けている。要件を満たすかどうかの審査は、学位が出るかどうかの審査と同じ場所にある。

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必要な単位数と年数は、学科の分野で分かれている

百二十四という数字はどの学科にも当てはまるわけではない。医学や薬学の課程では必要単位数も年数も別に定められていて、入学した学科の区分を取り違えると計画の土台が崩れる。根拠条文とあわせて並べると違いがはっきりする。

学科の区分 卒業に必要な単位数 修業年限 根拠
一般の学部・学科 124単位以上 4年 設置基準第32条第1項/学校教育法第87条第1項
医学・歯学に関する学科 188単位以上 6年 設置基準第32条第2項/学校教育法第87条第2項
薬学のうち臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とする学科 186単位以上(薬学実務実習に係る20単位以上を含む) 6年 設置基準第32条第3項/学校教育法第87条第2項
獣医学に関する学科 182単位以上 6年 設置基準第32条第4項/学校教育法第87条第2項
夜間に授業を行う学部・特別の専門事項を教授研究する学部 124単位以上 4年を超えることがある 学校教育法第87条第1項ただし書

医学と歯学の学科については、第三十二条第二項にただし書が付いている。教育上必要と認められる場合には、修得すべき単位の一部の修得について、これに相当する授業時間の履修をもつて代えることができるという扱いだ。実習の比重が大きい課程を単位だけで表すのが難しいためで、履修要項の単位数と授業時間数が併記されているのはこの規定の反映である。

表の最下段にある夜間学部の扱いは見落とされやすい。修業年限が四年を超える設計になっている学部では、四年目に卒業できないのが異常事態ではなく、はじめからそう組まれている。入学した学部がどの行に当たるかは、学則の冒頭に書かれている。

四年という年数を動かす三つの制度

在学する年数は固定ではない。短くする側にも長くする側にも、法令上の受け皿が用意されている。使えるかどうかは大学の定めによるが、制度として存在することを知らないまま諦めている例は多い。

短くする側は学校教育法第八十九条である。当該大学に三年以上在学した学生が、卒業の要件として当該大学の定める単位を優秀な成績で修得したと認められる場合には、その卒業を認めることができるという規定だ。六年の課程に在学する学生は対象から外れている。要件は単位の数だけでなく成績の水準も含むため、一年目からの積み上げが前提になる。

入学前に取った単位で年数を詰める道もある。第八十八条は、大学の学生以外の者として一の大学において一定の単位を修得した者がその大学に入学する場合、修得した単位数その他の事項を勘案して大学が定める期間を修業年限に通算することができるとしている。ただし、その期間は当該大学の修業年限の二分の一を超えてはならない。設置基準第三十一条の科目等履修生として先に単位を得ておく形が、これに当たる。

長くする側は設置基準第三十条の二にある。職業を有している等の事情により、修業年限を超えて一定の期間にわたり計画的に教育課程を履修し卒業することを希望する旨を申し出たときは、その計画的な履修を認めることができるという仕組みだ。働きながら学ぶ年度に無理に詰めるより、申し出て計画を立て直したほうが成績の面でも有利になる。

卒業論文は、合計単位数では見えない条件

残り単位数の計算に卒業論文が入っていないという取り違えが、四年次の相談でよく出る。文部科学省の令和五年度調査では、卒業論文等を授業科目として設けている大学は七百四十五大学で全体の約九十八パーセントにのぼり、そのうち学部の全部または一部で必修にしている大学は六百九十五大学、約九十一パーセントだった。選択科目として扱う学部は少数派である。

単位数の決め方も一般の科目とは違う。設置基準第二十一条第三項は、卒業論文、卒業研究、卒業制作等の授業科目については、これらの学修の成果を評価して単位を授与することが適切と認められる場合には、これらに必要な学修等を考慮して単位数を定めることができるとしている。授業時間から機械的に算出されないため、同じ四単位でも拘束される時間はゼミによって大きく違う。調査結果は文部科学省の公表ページから確認できる。

手前に置かれた条件も確かめておきたい。着手には一定の単位数の修得やゼミへの配属が前提になることが多く、その配属選考が三年次の前期に終わる学部もある。二年次までの成績が、四年次の論文の可否に効いてくる構造になっている。

一年あたりに積む量から、残りを割り算する

百二十四単位を四年で割れば、一年あたり三十一単位になる。半期にならすと十五から十六単位、二単位科目なら八科目前後だ。この水準を下回った学期が続くと、どこかの年度で詰め込む必要が出てくるが、積める量にも上限がある。

上限の根拠は設置基準第二十七条の二第一項にある。学生が各年次にわたつて適切に授業科目を履修するため、一年間または一学期に履修科目として登録することができる単位数の上限を定めるよう努めなければならないという、大学に向けた規定だ。文部科学省の令和五年度調査では、登録上限を設定していると回答した大学は七百三十一大学、約九十六パーセントで、平成二十七年度の六百八十三大学、約九十二パーセントから増えている。

同条第二項には抜け道も書かれている。所定の単位を優れた成績をもつて修得した学生については、前項に定める上限を超えて履修科目の登録を認めることができるという扱いだ。成績が良い学生ほど後半で挽回しやすい設計になっているため、取り戻す前提で組むなら最初の二年の成績が効く。

授業の期間も計算に入れたい。第二十二条は、一年間の授業を行う期間は三十五週にわたることを原則とすると定めている。長期の留学や入院で一学期を失うと、取り返す場所は残りの学期しかない。残り学期数で不足を割った数字を、上限と見比べる順序で確かめるのが早い。

確認の順番を決めておけば、毎年の点検は短く済む

基準は公表が義務づけられている。学校教育法施行規則第百七十二条の二第一項第七号は、学修の成果に係る評価及び卒業又は修了の認定に当たつての基準に関することを、大学が公表する情報として挙げている。履修要項が手元になくても、大学のサイトから基準の所在をたどれる。

授業の側の情報も先に出ている。設置基準第二十五条の二第一項は、学生に対して、授業の方法及び内容並びに一年間の授業の計画をあらかじめ明示するものとすると定める。登録してから内容を知るのではなく、登録する前に読んで判断できる状態が前提になっている。

点検する順序は五つで足りる。自分の学科がどの区分に当たるかを確かめ、区分別の必要単位数を書き出し、配当年次と進級の条件を照らし、卒業論文の着手条件を確認し、最後に不足を残り学期数で割る。毎年この順でたどれば、四年次に初めて気づくという事態は避けられる。

学費と生活の設計まで含めて整理したい段階では、FLASPOのような学生向けの情報を併読して、在学年数が延びた場合の負担まで見積もっておくと判断がぶれにくい。登録作業そのものの段取りは大学の履修登録のやり方に、制度上の制約の一覧は履修登録の注意点にまとめてある。

よくある質問

卒業に必要な単位を超えて取った科目は、不足している区分の代わりになるのか。ならない。第三十二条第一項の後半が指す区分別の必要単位数は区分ごとに充足を見るため、選択科目の超過分が必修の空きを埋めることはない。超過分は要件外の修得として成績証明書に残る。

留学先で取った単位は卒業要件に数えられるか。設置基準第二十八条第一項と第二項により、他大学や外国の大学で履修した授業科目の単位を六十単位を超えない範囲で認定できる。認定するかどうかは大学の判断で、区分のどこに入るかも大学が決めるため、出発前に学務窓口で区分の扱いを確認しておきたい。

三年で卒業する制度を使うと就職活動の時期はどうなるか。第八十九条による早期卒業が認められれば学位は三年目に出るので、採用の日程も一学年前倒しになる。認定は卒業の時点で確定するため、申請の受付時期と判定の時期を二年次のうちに確かめておく必要がある。

休学した期間は修業年限に含まれるか。含まれない扱いが一般的で、在学年限の算定も大学の学則による。復学後に必要な単位数と残り学期数が変わるので、休学を申し出る前に卒業までの割り算をやり直しておくと復学後の計画が立てやすい。失敗の型を先に知りたい場合は履修登録でよくある失敗例も参考になる。


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