学生フリーランスの仕事内容|職種別の実務と受注までの流れ

学生フリーランスの仕事内容|職種別の実務と受注までの流れ

法律は、仕事の中身を二つの号に割っている

求人サイトの職種名を眺めても、業務委託で何をするのかは見えてこない。手がかりは法律の定義にある。特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の第2条第3項は、業務委託を二つに分けている。第1号が「物品の製造(加工を含む。)又は情報成果物の作成」を委託すること、第2号が「役務の提供」を委託することである。学生が受ける仕事も、必ずどちらかに収まる。

情報成果物とは何かは、続く第4項が具体的に挙げている。プログラム、映画や放送番組その他の影像または音声で構成されるもの、文字や図形や記号またはこれらと色彩の結合で構成されるもの、という並びである。令和4年度の公的調査はこの型の例として設計図、デザイン、映像データ、調査報告書、プログラムを示した。役務の提供のほうは、営業、接客、通訳、美容師、監督、運送、清掃が例示されている。

実務では、納めるものが現物か、データか、その場の行為かで三通りに眺めると扱いやすい。この区別は分類のための分類ではない。報酬の支払期日は給付を受領した日から数えるが、役務の提供にあたる業務委託では役務の提供を受けた日が起点になる。受領拒否と返品の禁止も、第2条第3項第2号にあたる役務型の委託では適用から外れる。何を納める契約なのかで、守られ方そのものが変わってくる。

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どちらの型が多いのか、比率で見る

内閣官房新しい資本主義実現会議事務局と公正取引委員会、厚生労働省、中小企業庁が令和4年8月にまとめた令和4年度フリーランス実態調査結果は、2,119名に主な契約で取引先に提供するものを尋ねている。物品が996名で47.0パーセント、役務が1,123名で53.0パーセントと、ほぼ半分ずつに割れた。どちらかが主流という構図ではない。

産業別の内訳では、他に分類されないサービス業が22.3パーセントで最も多く、学術研究・専門・技術サービス業が13.6パーセント、建設業が12.6パーセント、情報通信業が11.3パーセント、卸売業・小売業が8.2パーセント、製造業が7.3パーセントと続く。職業別では建築・土木・測量技術者が9.7パーセント、情報処理・通信技術者が9.0パーセント、美術家・デザイナー・写真家・映像撮影者が7.6パーセント、著述家・記者・編集者が2.5パーセントだった。

回答者の年齢は50代が37.5パーセント、60代が31.6パーセントで、20代は0.6パーセントにとどまる。つまりこの比率は在学中の学生の分布そのものではない。ただ、発注側がどの型の仕事を外に出しているかという地図としては使える。学生が入りやすいのは、資格や設備を前提としない情報成果物の作成と、短時間で割れる役務の提供のあたりである。幅の広さはフリーランスの仕事内容を産業別に追うと見通しやすい。

型ごとに、納品物と詰まる場所が変わる

同じ「ライター」という呼び名でも、記事を納める契約と取材に同行する契約では、揉める場所がまったく違う。型別に整理すると次のようになる。

仕事の型 学生が受けやすい例 納めるもの 詰まりやすい場所
情報成果物の作成 記事執筆、バナー制作、動画編集、簡単な実装 データとして渡す完成物 修正回数の上限と権利の帰属
役務の提供 イベント運営、通訳、家庭教師、撮影助手 その場で提供する行為 拘束時間の線引きと交通費の扱い
物品の製造 小物の製作、部品の組立 現物 材料費の負担と検品の基準

情報成果物の作成でいちばん金額に響くのは修正である。調査では、発注者の都合でやり直しや追加作業を行ったのに追加費用を負担してもらえなかったという経験が6.3パーセントあった。何回までが見積りの内側かを先に決めておけば、ここは避けられる。役務の提供では、現場が延びたときに報酬が延びるのかが争点になる。物品の製造では、材料を誰が買うかで実質の手取りが変わる。

仕事が来る経路は、募集より紹介が太い

どうやって最初の案件に届くのか。同じ調査で経路を複数回答で尋ねると、仕事の依頼者から直接、あるいは知り合いや紹介者を介して仕事の紹介があったが58.9パーセントで最も多い。仲介事業者からの紹介が19.2パーセント、依頼者自身が不特定多数に向けて募集していたが16.0パーセント、仲介事業者による募集が6.5パーセントだった。公募を眺めている時間より、人づての線が太い。

在学中はこの点が有利に働く。ゼミやサークル、インターン先、アルバイト先の店主といった接点が、そのまま紹介の経路になる。学部の課題で作ったものをそのまま実績として見せられる時期でもある。経路ごとの勝ち方はフリーランスの仕事の取り方に詳しい。

一方で、募集の文面を鵜呑みにすると痛い目を見る。接触前に得ていた条件と、交渉に進んだ後に示された条件が一致しなかった経験は、虚偽の表示が含まれていたが8.1パーセント、誇大広告や誤解を与える表現が含まれていたが5.3パーセント、古い内容が含まれていたが6.8パーセントだった。経験したことはないは79.1パーセントなので全体では少数派だが、フリーランス法の第12条は募集情報について虚偽の表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保つよう発注側に義務づけている。食い違いに気づいたら、その場で指摘してよい性質の問題である。

着手の前に、文字にしておく項目を決める

第3条は、業務委託をしたら直ちに、給付の内容と報酬の額、支払期日などを書面又は電磁的方法で明示しなければならないと定める。メールやメッセージで示された場合でも、書面の交付を求められたら応じる義務がある。ところが実際の運用はそろっていない。主な契約で取引条件が形に残る方法で十分示されているは61.7パーセント、示されているが不十分であるが17.6パーセント、示されていないが20.7パーセントだった。

回答者が業務遂行上どうしても必要と考えた項目は、支払期日が49.9パーセントで最多、報酬の支払い方法が38.1パーセント、契約期間が34.8パーセント、報酬額の決定方法が24.6パーセント、経費に関する取決めが21.2パーセント、納品の形式や実施場所・時間が20.2パーセント、品質の確認・検査方法が19.5パーセント、業務上の損害が発生した場合の賠償責任が17.3パーセント、成果物に関する権利の取扱いが11.5パーセントと並ぶ。明記されていたのに契約後に一方的に変更されて不利益を受けたという回答も24.5パーセントあった。

初めての取引で全部を要求するのは現実的ではない。学生が最初に押さえるなら、いつ振り込まれるか、修正は何回までか、作ったものの権利は誰のものか、の三つで足りる。語学や専門科目を売りにする進め方は英語とフリーランスの関係が参考になり、地域の仕事と学業を結ぶ事例はFLASPOでも紹介している。

よくある質問

未経験でも受けられる仕事はどれですか。情報成果物の作成のうち、文字起こしや画像の切り抜き、商品説明の整形といった工程は、判断より手数が求められる部分なので入口になりやすい。ここで納期を守った記録を作ると、次の案件で単価の話ができる。

一つの取引先に絞るのは危ないでしょうか。調査では主な契約の収入が自分の全収入の100パーセントを占める人が45.3パーセント、80パーセント以上100パーセント未満が14.1パーセントだった。偏り自体は珍しくないが、その1社が条件を変えてきたときに逃げ場がなくなる。在学中は時間の制約で掛け持ちしにくいので、せめて見積りの雛形を持ち回せる状態にしておくと切り替えが早い。

役務の提供型は、アルバイトと何が違うのですか。指示を受けて働く形が似ていても、業務委託には労働時間の規制や最低賃金の適用がない。実態として労働者と認められる働き方なら労働法の保護が及ぶため、拘束の強さが気になる場合は契約の名前ではなく実際の指揮命令の有無で判断する。

契約期間はどのくらいが多いのですか。期間の定めのない契約が61.8パーセントで大半を占め、2週間未満が7.2パーセント、1年以上3年未満が5.6パーセントだった。期間を定めない形は柔軟に見えるが、禁止行為や解除予告の規定は一定期間以上の委託に適用されるため、短い単発の仕事ほど自力で条件を確かめる必要がある。


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