連絡用のグループが増えすぎて、誰がどこに入っているのか分からなくなる。新歓の時期を越えた団体が最初にぶつかるのは、たいていこの詰まりだ。公式アカウントに切り替えれば解決する、という話は聞くものの、料金と通数の仕組みが分かりにくい。費用がどこで発生するのか、名簿として何を預かることになるのかを、数字と条文から順に押さえていく。
連絡の手段としては、年代の差がほとんど出ない
総務省情報通信政策研究所が令和8年6月に公表した令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書の表5-1-1を見ると、LINEの利用率は全年代で92.9%。10代96.4%、20代97.7%、30代97.9%、40代96.6%、50代95.6%、60代92.0%、70代77.8%と並ぶ。70代でも8割近くが使っているサービスは、同じ表のなかで他にない。
もう一つ押さえておきたいのが、同報告書の図5-1-2が示す「書き込む・投稿する」の割合だ。LINEは利用者のうち51.2%がここに該当し、Instagramの18.0%やX(旧Twitter)の9.6%を大きく上回る。見るだけの場所ではなく、返事が返ってくる場所だということになる。出欠の確認や急な予定変更を流すのに向いているのは、この性質による。
一方で、公開の告知には向かない。友だち登録をしていない人には何も届かないからだ。外へ広げる役割と、中へ確実に届ける役割を同じ道具に負わせると、どちらも中途半端になる。学生団体のSNS運用の全体像の側で触れている役割分担を、ここでも先に決めておきたい。
200通は「200人に1回」ではなく、200人分の1回
料金で誤解が起きやすいのは通数の数え方だ。LINEヤフーのLINE公式アカウント料金プランのページによれば、通数は「メッセージを送った回数」に「送った友だちの数」を掛けて数える。つまり友だちが300人いる状態で一斉配信を1回行えば、それだけで300通を消費する。
プランは三つある。月額固定費0円のコミュニケーションプランは無料メッセージが200通で追加配信はできない。ライトプランは月額5,000円(税別)で5,000通、スタンダードプランは月額15,000円(税別)で30,000通、追加メッセージは1通あたり3円(税別)を上限とする従量課金で、単価は配信数によって変わる。追加配信ができるのはスタンダードプランだけだ。
| プラン | 月額固定費(税別) | 無料メッセージ通数 | 追加メッセージ | 友だち300人なら月に |
|---|---|---|---|---|
| コミュニケーション | 0円 | 200通 | 不可 | 全員宛ては1回も不可 |
| ライト | 5,000円 | 5,000通 | 不可 | 16回まで |
| スタンダード | 15,000円 | 30,000通 | 3円まで | 100回まで |
この表の右端が、無料のまま運用できるかどうかの分かれ目になる。友だちが200人を超えた時点で、全員に向けた一斉配信は無料枠に収まらない。新歓で登録者が一気に増える団体ほど、4月のうちにこの線を越える。
通数を使わない機能のほうに、設計の余地がある
月額を払わずに回す道はある。同社の案内では、あいさつメッセージ、応答メッセージ、LINEチャットでの個別のやり取りは無料メッセージの通数に含まれない。カウントの対象になるのは、こちらから一斉に送る配信のほうだけだ。
そうすると、運用の組み立て方が変わる。友だち追加の直後に流れるあいさつメッセージに、活動の概要と次回の集合日時、問い合わせ先をまとめて入れておく。特定の言葉に反応する応答メッセージに、会費の振込先や会場の地図を登録しておく。この二つを整えるだけで、一斉配信が必要な場面はかなり減る。
一斉配信を使うのは、全員に同じタイミングで届ける必要があるときに限る。前日の集合変更や中止の連絡がそれにあたる。配信を節約する発想ではなく、配信すべき内容を絞る発想で考えたほうが、受け取る側の負担も軽くなる。費用の管理をどう帳簿に落とすかは、サークルの会計と帳簿の作り方の側で扱っている。
友だち名簿は、個人情報保護法の射程に入る
登録者の情報を預かるという点は、法律の側から見る必要がある。個人情報保護委員会のよくある質問には、同法における「事業」とは一定の目的をもって反復継続して遂行される同種の行為であって社会通念上事業と認められるものであり、営利と非営利の別は問わないと書かれている。そのうえで、NPO法人や自治会などに関する回答は「サークルやマンション管理組合なども個人情報取扱事業者に該当し得る」と明示している。法人格の有無で外れる話ではない。
該当するなら、いくつかの義務がそのまま乗ってくる。個人情報の保護に関する法律第17条は利用目的をできる限り特定することを求め、第21条は取得した場合に利用目的をあらかじめ公表しているときを除き速やかに本人へ通知するか公表することを求めている。第27条は、法令に基づく場合などを除いて、あらかじめ本人の同意を得ずに個人データを第三者へ提供してはならないと定める。
運用に落とすと難しい話ではない。友だち追加の案内に「活動の連絡と行事の案内に使います」と一行書く。取得した氏名や連絡先を協賛企業や他団体へ渡さない。渡す必要が生じたら、その都度本人に確認する。なお同法第26条は、一定の漏えい等が生じたときに個人情報保護委員会への報告と本人への通知を求めているため、流出に気づいたときに誰が判断するかも決めておきたい。
代替わりで止まるのは、管理画面の権限
公式アカウントは、個人のLINEアカウントに紐づいた管理者権限で操作する。卒業する代の権限を外さないまま引き継ぐと、連絡は届くのに設定を変えられない状態が生まれる。先に新しい管理者を追加し、動作を確かめてから前任の権限を外す順番にしたい。
同時に、登録者への説明も要る。運営する人が変わっても利用目的が変わらないことを一度流しておけば、前の代が集めた名簿を今の代が使うことへの疑問は起きにくい。通帳や鍵と並べて渡す手順は、サークルの引き継ぎで名簿と通帳とアカウントを渡す順番の記事にまとめてある。
サービスそのものの成り立ちを知っておくと、仕様が変わったときに慌てにくい。LINEという事業の歴史を押さえておくのも手だ。学生の活動を外とつなぐ設計についてはFLASPOでも扱っている。
よくある質問
グループトークのままでは何が困るのでしょうか。入退会のたびに誰かが手で出し入れする必要があり、抜け漏れが起きる。加えて、過去のやり取りが新しく入った人にも見えてしまう場面がある。公式アカウントなら登録と解除が本人の操作で完結し、個別のやり取りは他の登録者から見えない。
無料のまま運用し続けることはできますか。友だちが200人を下回っていて、一斉配信が月に数回で済むなら可能だ。前述の表のとおり、通数は配信回数と友だち数の掛け算で決まるため、人数が増えた時点で設計を変えることになる。あいさつメッセージと応答メッセージを先に作り込んでおけば、有料プランへ移る時期を遅らせられる。
登録してもらうときに同意書は必要ですか。書面でなくとも、何に使うかを示してあれば足りる。案内のページや追加直後のメッセージに利用目的を書いておく形が現実的だ。写真の公開など、連絡とは別の目的で使う予定があるなら、その分は分けて示しておきたい。
配信した内容に間違いがあったときはどうしますか。送信済みのメッセージは取り消せる場合があるものの、相手が既に読んでいれば戻らない。訂正の配信を出すと通数をもう一度消費するため、重要な連絡ほど送信前に別の人が読む手順を挟んでおきたい。
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