学生団体のSNS運用の目的設定|10代は何を知るためにネットを見るか

学生団体のSNS運用の目的設定|10代は何を知るためにネットを見るか

「とりあえずインスタを作ろう」で始まったアカウントは、半年たつと何のために更新しているのか誰も言えなくなる。フォロワーを増やすことが目的になり、増えないことが失敗に見えてくる。ここを抜けるには、何を達成したいのかを一つに決めるしかない。手がかりになるのは、人が目的ごとにどのメディアを選んでいるかを調べた公的な統計である。

同じ人でも、目的が変われば開くものが変わる

総務省情報通信政策研究所が令和8年6月26日に公表した令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書には、目的別にどのメディアを最も利用するかを尋ねた章がある。三つの目的について聞いていて、答えの形がそれぞれ違う。

目的 最も利用するメディア 全年代 10代 20代
いち早く世の中のできごとや動きを知る インターネット 55.4% 72.1% 80.7%
同上 テレビ 40.7% 26.4% 17.4%
できごとについて信頼できる情報を得る インターネット 32.9% 41.4% 51.8%
同上 テレビ 50.3% 52.1% 37.2%
趣味・娯楽に関する情報を得る インターネット 70.8% 87.9% 89.0%
同上 テレビ 18.1% 7.9% 7.3%
総務省情報通信政策研究所「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」第6章6-1より、目的別に最も利用するメディアの割合(全年代N=1,800、10代N=140、20代N=218)

注目したいのは、10代の行の動き方だ。趣味や娯楽の情報を得る目的ではインターネットが87.9%まで上がるのに、信頼できる情報を得る目的では41.4%に落ち、テレビの52.1%に抜かれる。同じ年代の同じ人たちが、目的によって開くものを変えている。

この構造を知らないまま目的を決めると、置き場所と中身が食い違う。どのサービスに置くかという判断そのものは年代別の利用率からSNSを選ぶ手順で扱ったが、その前に決めるべきなのが目的の側だということになる。

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知ってもらうことを目的にするなら、勝ち筋は太い

三つの目的のうち、SNSが最も有利なのは「早く知る」のところだ。10代の72.1%、20代の80.7%がこの目的でインターネットを最も利用すると答えている。テレビはそれぞれ26.4%と17.4%で、差は四倍前後に開く。新しい企画を知らせる、募集を開ける、日程を伝える。こうした用途では、学生に向ける限り置き場所に迷う必要がない。

同報告書は年代が上がるほど逆の傾向になることも示していて、70代ではテレビが73.7%となる。学外の協力者や地域の関係者に届けたい場合、SNSだけで完結させる前提は崩れる。誰に向けるのかを決めないと、この一本の数字がそのまま判断を誤らせる。

目的をここに置いたなら、追う数字は届いた範囲の広さになる。表示回数と、投稿からプロフィールに移った人の数。この二つで足りる。フォロワーの総数は、過去に届いた結果の積み上がりであって、今回届いたかどうかを表さない。

信じてもらうことは、SNS単独では取りに行けない

難しいのは二つ目の目的だ。信頼できる情報を得るためにインターネットを最も利用すると答えた10代は41.4%で、テレビの52.1%を下回る。20代になると51.8%と逆転するものの、他の二つの目的ほどの差はつかない。

同じ報告書の第7章を合わせて読むと、この落差の理由が見える。10代がインターネットを情報源として重要と答えた割合は87.1%、娯楽としての重要度は95.0%に達する。ところがメディアとしての信頼度は33.6%にとどまり、テレビの55.7%、新聞の47.1%を下回る。よく使い、頼りにしているが、信じているとは言っていない。

団体の側から見ると、ここは設計の分かれ目になる。協力団体に本気度を伝えたい、保護者に安心してもらいたい、助成の審査で見てもらいたい。こうした目的をSNSの投稿だけで満たそうとすると届かない。活動の記録を置く場所、会則や体制を示す場所を別に用意して、SNSはそこへの入口として使う。土台の整え方は任意団体と法人格の選び方の側に寄せてある。

趣味と関心の文脈では、ほぼ独占が起きている

三つ目の目的に移ると、数字の形がまた変わる。趣味・娯楽に関する情報を得るためにインターネットを最も利用すると答えたのは、10代で87.9%、20代で89.0%。テレビは7.9%と7.3%まで落ちる。全年代でも70.8%で、ここは年代をまたいで差が小さい。

学生団体の活動の多くは、受け手にとって趣味や関心の側にある。地域を歩く企画、音楽のイベント、写真や映像の制作。これらを「社会課題の解決」という言葉で包むと、信頼の軸の勝負になり、不利な土俵に自分から移ることになる。面白そうだと思われる方向で出すほうが、統計の形に沿う。

ただし、この土俵には競合が多い。関心を引く情報の供給量が大きいため、同じ領域の発信者と並べて見られる。差がつくのは、現場にいる人しか書けない細部だ。準備の手間、失敗、当日の天気。関心の文脈で読まれるのは、整った説明よりこちらである。

目的を一つに決めて、数字を逆から当てる

ここまでの三つは、同時に追えない。置く内容も、追う数字も違うからだ。半年を一区切りにして、どれを主にするかを決める。決めた目的から数え方を逆算すると、見るべきものが少なくなる。

決める順番にも型がある。先に書くのは目的ではなく、届けたい相手だ。新入生なのか、場所を貸してくれる地域の人なのか、助成を出す側なのか。相手が一つに決まれば、三つの目的のどれが要るかはほぼ自動で定まる。相手を飛ばして目的から入ると、途中で想定する読み手が入れ替わり、数字の意味が後から崩れる。

決めた目的 主に置く内容 団体の側で数えるもの 見なくてよいもの
知ってもらう 日程・募集・企画の告知 表示回数、プロフィールへの遷移 フォロワーの総数
信じてもらう 実績・体制・会計の記録 問い合わせ件数、協力の打診 投稿ごとの反応数
仲間を増やす 活動の様子と人の紹介 説明会の申込数、入会数 保存やシェアの数
調査が示す目的ごとのメディア選択の傾向をもとに、運用側の目的と数え方を対応させた整理

右端の列を置いたのは、追わない数字を決めることのほうが効くからだ。全部の数字を並べて見ていると、その週に動いた指標が目的に見えてくる。保存数が伸びた週は保存される投稿を作りたくなり、半年後には何を目指していたか残らない。

目的を書いた紙は、投稿の担当者が見える場所に置く。言葉にしておくと、迷ったときの判断が早くなる。外に向けた窓口をFLASPOのような場と使い分ける判断も、目的が決まっていれば迷わない。全体の役割分担は学生団体のSNS運用の全体像にまとめてある。

よくある質問

「目的は三つ全部ではだめですか」。半年の区切りでは一つに絞ったほうがよい。三つを並べると、投稿の内容が毎回ぶれる。順番に置き直すことはできるので、まず半年、次の半年で入れ替える形にする。

「フォロワー数を目標にするのは間違いですか」。間違いというより、動かし方が分からない数字だという問題がある。増える原因が複数あり、減る原因も複数ある。中間にある表示回数や遷移の数なら、投稿の出し方と結びつけて考えられる。

「調査はSNSの話ではなく、テレビとの比較に見えます」。その比較こそが効く。同じ目的でテレビが選ばれている割合が高いなら、その目的はSNSの投稿だけでは満たしにくいという読み方ができる。どこで戦わないかを決める材料になる。

「届けたい相手が複数いる場合はどうしますか」。アカウントを分けるのではなく、期間で分ける。新歓の時期は新入生、夏から秋は地域の協力者、年度末は報告を受け取る側。同じアカウントで向ける先を切り替えれば、管理する場所は増えない。

「数字が動かないときは目的を変えるべきですか」。三か月は変えないでおく。置く内容を変えないまま投稿の形だけを試す期間を取り、それでも動かなければ、届けたい相手の設定を見直す。目的の変更は最後に回す。

「結果はどう残しておけばいいですか」。月に一度、決めた二つの数字と、その月に出した投稿の本数を1行で書く。表計算の1行で足りる。半年たつと、どの月に何をしたから動いたのかを後から辿れるようになり、引き継ぎの資料にもなる。


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