役所の窓口に座っている人、小学校の教室に立っている人、消防署から出動する人、裁判所の書記官。どれも公務員と呼ばれるが、適用される法律も給与の決め方も採用する主体も同じではない。内閣官房内閣人事局の集計では、国家公務員が約五九万四千人、地方公務員が約二八一万人。合わせて三四〇万人規模の集団を数え上げるには、先に分け方の軸を決める必要がある。軸を決めずに種類を数え始めると、職種と身分と所属が混ざって収まりがつかなくなる。
分類の軸は「国家か地方か」と「一般職か特別職か」の二本
最初に効くのは、どこに雇われているかではなく、どの法律が及ぶかという線である。国家公務員法第二条第一項は「国家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分つ」と定め、続く第二項で一般職を「特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職」と置いている。地方公務員法第三条もまったく同じ構造で、地方公務員の職を一般職と特別職に分け、一般職を特別職以外の一切の職とする。
つまり法律は特別職だけを列挙し、残りすべてを一般職として引き算で定義している。国家の側で列挙されているのは内閣総理大臣、国務大臣、人事官及び検査官、内閣法制局長官などである。地方の側では、就任について公選または議会の選挙・議決・同意を必要とする職、地方公営企業の管理者、臨時または非常勤の委員及び委員会の構成員の職、非常勤の消防団員及び水防団員の職、特定地方独立行政法人の役員などが並ぶ。
この線がどこで実務に響くかというと、身分保障や懲戒、勤務条件の決め方である。地方公務員法第四条は、同法を一般職に属するすべての地方公務員に適用し、特別職には法律に特別の定めがある場合を除いて適用しないと定めている。知事と県庁の係員がどちらも地方公務員でありながら、任期や処遇の仕組みがまるで違うのはここに理由がある。なお一般職と特別職は身分の上下ではなく、勤務の態様や選ばれ方が一般職と同じ扱いになじまない職を別に括ったものである。
国家公務員は一般職と特別職がほぼ半分ずつ
内閣人事局の公務員の種類と数は、令和八年度末予算定員をもとに国家公務員の内訳を示している。総数は約五九万四千人で、一般職が二九万五千人、特別職が二九万八千人。数の上ではほぼ半分ずつに割れている。
意外に感じられるのは特別職の中身である。二九万八千人のうち二六万九〇〇〇人が防衛省職員で、約九割を占める。大臣、副大臣、大臣政務官、大使、公使等を合わせても五〇〇人にすぎない。特別職という言葉から政治任用の役職を思い浮かべると、実態を大きく外す。
一般職の側も一枚ではない。給与法適用職員が二八万六〇〇〇人で、ここが人事院勧告に沿って給与が動く中心にあたる。検察官は三〇〇〇人で、検察官俸給法により人事院勧告に準じて措置される。行政執行法人職員は七〇〇〇人で、こちらは各法人で労使交渉の上で決める。同じ一般職でも、給与が決まる経路は三つに分かれている。
| 区分 | 内訳 | 人数 | 給与決定の方法 |
|---|---|---|---|
| 一般職(二九万五千人) | 給与法適用職員 | 二八万六〇〇〇人 | 人事院勧告 |
| 一般職 | 検察官 | 三〇〇〇人 | 人事院勧告に準じて措置 |
| 一般職 | 行政執行法人職員 | 七〇〇〇人 | 各法人で労使交渉の上決定 |
| 特別職(二九万八千人) | 防衛省職員 | 二六万九〇〇〇人 | 防衛省給与法 |
| 特別職 | 裁判官、裁判所職員 | 二万五〇〇〇人 | 人事院勧告に準じて措置 |
| 特別職 | 国会職員 | 四〇〇〇人 | 両院議長決定 |
| 特別職 | 大臣、副大臣、大臣政務官、大使、公使等 | 五〇〇人 | 特別職給与法 |
| 特別職 | 行政執行法人役員 | 三〇人 | 各法人で決定 |
地方公務員は教育と一般行政で七割を超える
地方の側は桁が一つ違う。総務省の令和七年地方公共団体定員管理調査結果によれば、令和七年四月一日現在の職員数は二八〇万九二九八人で、前年比では二四五一人の減少だった。団体別では都道府県が一四二万八八六〇人、市町村等が一三八万四三八人で、ほぼ半分ずつに分かれている。
部門で切ると偏りがはっきりする。最も多いのは教育部門の一〇六万七五五七人で、次が一般行政部門の九五万六二八人。この二つを足すと二〇一万八一八五人になり、全体の七一・八%を占める。残りは公営企業等会計部門が三三万八三〇六人、警察部門が二八万六五六〇人、消防部門が一六万六二四七人である。
前年からの動きも部門ごとに逆を向いている。増えたのは一般行政部門と消防部門で、一般行政は児童相談所の体制強化などの子ども子育て支援への対応、デジタル化への対応、防災・減災対策、災害復旧や生活保護関連業務への対応により三〇〇八人増えた。減ったのは教育部門、警察部門、公営企業等会計部門で、教育部門は児童・生徒数の減少に伴う学校統廃合や学級数減、公営企業は病院事業の地方独立行政法人化が理由として挙げられている。
| 部門 | 令和七年 | 令和六年 | 増減数 |
|---|---|---|---|
| 教育部門 | 一〇六万七五五七人 | 一〇六万九〇六〇人 | 一五〇三人減 |
| 一般行政部門 | 九五万六二八人 | 九四万七六二〇人 | 三〇〇八人増 |
| 公営企業等会計部門 | 三三万八三〇六人 | 三四万二〇九五人 | 三七八九人減 |
| 警察部門 | 二八万六五六〇人 | 二八万七六三一人 | 一〇七一人減 |
| 消防部門 | 一六万六二四七人 | 一六万五三四三人 | 九〇四人増 |
| 合計 | 二八〇万九二九八人 | 二八一万一七四九人 | 二四五一人減 |
職種で分けると、適用される給料表が変わる
身分の区分と部門の区分を押さえたら、三つ目の切り口が残る。何の仕事をするかという職種である。地方公務員の採用では行政職、公安職、教育職、医療職、福祉職、技能労務職、企業職員といった区分が使われ、それぞれ別の給料表が当てられる。同じ市役所の採用でも、事務職と保健師と保育士で初任給の根拠が違うのはこのためである。
一般職の中にも例外的な扱いを受ける層がある。地方公営企業の職員や単純労務職員は、地方公務員法の一部が適用されず、地方公営企業法などの定めが優先する。労働組合との団体交渉の枠組みも一般の行政職とは異なる。公務員の制度を一枚の表で覚えようとすると、この種の例外で詰まることが多い。
水準を測る基準になるのは国の行政職俸給表(一)である。令和七年の人事院勧告では、この表の平均改定率が三・三%とされ、初任給は総合職の大卒が二四万二〇〇〇円、一般職の大卒が二三万二〇〇〇円、一般職の高卒が二〇万〇三〇〇円に引き上げられた。地方の水準はこの表を一〇〇として測られ、総務省の令和七年地方公務員給与実態調査ではラスパイレス指数が九八・九、前年の九八・八から〇・一ポイント上がっている。学歴や経験年数の差を補正した上で、地方はおおむね国と並ぶ位置にいる。
数が増えている部門と減っている部門は正反対
公務員の数は減ったのか増えたのか。この問いは部門を指定しないと答えが出ない。地方公務員の総数は平成六年をピークに減り続け、平成十七年から二十二年にかけては集中改革プランにより約二三万人減った。ところが平成二十九年以降は微増から横ばいの傾向が続いている。
平成六年を一〇〇とした指数で見ると、方向の違いは一目でわかる。防災が三七四・九、児童相談所等が三三四・二、福祉事務所が一八〇・〇、観光が一七五・五と大きく伸びる一方、清掃は四三・六、総務一般は八八・六まで下がった。教育部門の内側でも、特別支援学校は一五六・九に増え、義務教育は八六・二、給食センターは二一・八に減っている。一般行政部門は全体では平成六年比で一九%減だが、平成二十七年以降は十一年連続で増加した。
この偏りは、どの職種で採用枠が開くかを左右する。減っているのは外部委託が進んだ領域で、増えているのは法律が体制強化を求めた領域である。進路として公務を考えるなら、総数の推移よりも志望する部門の指数を見るほうが実益がある。公務に限らず地域の課題に関わる働き方を試したい学生には、課題解決型のプログラムを通じて地域や企業と接点を持つFLASPOのような入口もある。仕事の中身を先に知ってから試験の種類を選ぶ順番のほうが、迷いは少ない。
よくある疑問
公務員の種類は全部で何種類あるのか。確定した総数はない。身分で分ければ国家と地方、一般職と特別職の組み合わせで四通りになり、部門で分ければ地方は五部門、職種で分ければ給料表の数だけ存在する。数を競うよりも、受けたい試験がどの軸のどこに位置するかを押さえるほうが役に立つ。日々の仕事の実感に近い情報は地方公務員とは?仕事内容と種類、試験のなり方をやさしく徹底解説にまとめている。
教員や警察官、消防士は公務員なのか。いずれも地方公務員の一般職にあたる。定員管理調査でも教育部門、警察部門、消防部門として独立して数えられており、合計すると一五二万三六四人になる。地方公務員の半分以上がこの三部門に属している計算になる。
自衛官はどの区分に入るのか。防衛省職員として国家公務員の特別職に入る。二六万九〇〇〇人という規模は国家公務員全体の四割以上を占め、特別職の中では圧倒的に多い。国家公務員法の一般職向けの規定ではなく、防衛省給与法などが適用される。
独立行政法人の職員は公務員に数えるのか。すべてが数えられるわけではない。国の側では行政執行法人の職員七〇〇〇人が一般職の国家公務員とされ、役員三〇人は特別職に入る。地方の側では特定地方独立行政法人の職員が一般職の地方公務員にあたる。それ以外の法人の職員は、業務が公的であっても公務員には含まれない。採用枠の規模感や働き方の実情は地方公務員の現状とは?人手不足と働き方改革の実態を徹底的に解説や地方公務員の兼業とは何か?副業解禁の動きを丁寧に徹底解説すると合わせて読むと見取り図が揃う。
アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。
FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。
賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。
