制度は2022年に変わり、呼び名の意味も分かれた
「インターンに行ったほうがいい」と先輩に言われてナビサイトを開くと、半日の会社説明会と数週間の現場実習が同じ「インターンシップ」という見出しで並んでいる。この食い違いは学生の読み違いではなく、制度の側で整理が進んだ結果として起きている。2022年6月、文部科学省・厚生労働省・経済産業省は三省合意を改正し、文書の題名を「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」に改めた。学生のキャリア形成支援に係る取組を4つに類型化し、一定の基準を満たしたインターンシップで企業が得た学生情報を、広報活動や採用選考活動に使えるよう見直した改正である。
適用の時期もはっきりしている。この改正は、令和7年3月に卒業・修了する学生が令和5年度に参加するインターンシップから適用された(文部科学省「令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります」)。すでに数年が回っているルールだが、募集の現場では以前の呼び方が残っているため、同じ一語で中身の違うものを指す会話が続いている。キャリアの話を始める前に、まず言葉の中身を分けておきたい。
四つの類型は「就業体験があるか」で二つに割れる
4類型を並べたとき、分かれ目は期間の長さではなく就業体験の有無にある。タイプ1とタイプ2は就業体験を必須とせず、個社・業界の情報提供等や教育を目的とする取組で、三省合意では「インターンシップ」とは称さないと整理された。これに対してタイプ3とタイプ4は就業体験が必須で、自身の能力の見極めや評価材料の取得を目的に、「インターンシップ」と称して実施される。呼び名の違いは建前ではなく、企業が学生情報をどう扱えるかにまで直結している。
| 類型 | 呼び方 | 主な目的 | 就業体験と期間 |
|---|---|---|---|
| タイプ1 オープン・カンパニー | インターンシップとは称さない | 個社・業界の情報提供等 | 就業体験は必須ではない |
| タイプ2 キャリア教育 | インターンシップとは称さない | 教育 | 就業体験は必須ではない |
| タイプ3 汎用的能力・専門活用型インターンシップ | インターンシップと称して実施 | 自身の能力の見極め、評価材料の取得 | 就業体験が必須。汎用能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上 |
| タイプ4 高度専門型インターンシップ(試行) | インターンシップと称して実施 | 自身の能力の見極め、評価材料の取得 | 就業体験が必須 |
学生がいちばん出会うのは表の三段目にあたるタイプ3である。汎用能力活用型なら5日間以上、専門活用型なら2週間以上という下限が置かれ、しかも実施期間の半分を超える日数を就業体験に充てることが求められる。5日のうち3日以上は現場の仕事に入る、という読み方になる。裏を返せば、座って話を聞いて終わる半日の催しは、どれだけ「インターン」と銘打たれていてもこの類型には入らない。
単位が出る取組に参加している学生は2.0%
では学生はどこで参加しているのか。文部科学省は大学等が単位認定を行う授業科目として実施したキャリア形成支援活動を毎回調べており、令和5年度の調査では、単位認定を行っている大学(学部・大学院)は520校、実施率は64.2%だった。令和3年度調査の489校(60.9%)から31校増えている。一方、その授業科目に参加した学生は60,282人で、学生数に対する参加率は2.0%にとどまった。前回の50,899人(1.7%)から9,383人増えてはいるが、水準は低いままである。
内訳も偏っている。類型別の参加学生数はタイプ2が37,600人(62.4%)、タイプ3が22,629人(37.5%)、タイプ4は53人(0.1%)。国公私立別では国立大学の参加率が2.8%と高く、実施形式は実地のみが471校(58.1%)、オンラインのみが67校(8.3%)、両方の併用が213校(26.3%)だった(文部科学省「令和5年度大学等における学生のキャリア形成支援活動の実施状況について」)。この2.0%という数字が示すのは、就業体験が広がっていないということではない。大学の授業として単位が出る形で参加する学生はごく一部で、残りの大半は大学の外側で、自分で見つけて参加しているということである。
基準の五項目のうち、後から効くのは指導要件
タイプ3が「一定の基準」を満たすと認められるには、五つの要件がそろう必要がある。就業体験要件として実施期間の半分を超える日数を就業体験に充当すること、指導要件として職場の社員が学生を指導し、学生にフィードバックを行うこと、実施期間要件として汎用能力活用型は5日間以上・専門活用型は2週間以上であること、実施時期要件として卒業・修了前年度以降の長期休暇期間中に行うこと、情報開示要件として学生情報を活用する旨等を募集要項等に明示すること。どれも企業側の実施条件として書かれているが、学生の側から読むと意味が変わってくる。
五つのうち、一年後や三年後まで残るのは指導要件のほうだ。職場に何日入ったかは履歴に書けるが、書いた本人の中身は増えない。社員から「この資料は結論が後ろすぎる」「この質問は先に聞くべきだった」と具体的に返されたときにだけ、自分の手の届く範囲と届かない範囲が分かる。期間の長さに目が行きやすいが、同じ5日間でも、返す人がいる5日といない5日では残るものがまるで違う。募集要項を読むときは、日数の数字よりもフィードバックの記述を先に探したほうがいい。
参加を決める前に、募集要項の三行を確かめる
申し込みの前に見る場所は多くない。一つ目は就業体験に充てる日数で、全体の半分を超えているかどうか。二つ目は指導とフィードバックの担い手が書かれているかどうか。三つ目は取得した学生情報の扱いが明示されているかどうかである。三つ目は情報開示要件そのもので、書いていない募集は基準を満たす形で設計されていない可能性がある。応募書類の整え方はインターンの応募方法に、選ばれ方の前提はインターンの選考に分けて整理してある。
前提として押さえておきたいのは、タイプ1から4までは学生のキャリア形成支援に係る取組であって、採用活動ではないという一点だ。学生は採用選考活動開始時期以降、改めて採用選考のためのエントリーが必要になる。企業が取得した学生情報を使えるのは広報活動開始以降と採用選考活動開始以降に限られ、使い方も企業説明会の案内送付や採用選考プロセスの一部免除といった形に整理されている。若者と地域の企業が出会う場づくりに取り組むFLASPOの現場でも、参加と選考を地続きに考えてしまう学生は少なくない。数か月単位で関わる形を探すなら、長期インターンとはもあわせて読んでおきたい。
よくある質問
Q. 1日で終わる催しは、インターンシップに入らないのですか。
A. 三省合意の整理では、就業体験を必須としないタイプ1とタイプ2は「インターンシップ」と称さないものとされています。1日の説明会や見学は業界や企業を知る入口としては役に立ちますが、就業体験を伴う類型とは別のものとして数えたほうが、後で自分の持ち札を見誤らずに済みます。
Q. 単位が出るものを選んだほうが有利ですか。
A. 有利不利より、どちらにも別の利点があると考えるほうが実態に合います。単位認定型は大学が内容を確認している安心感がありますが、参加率は2.0%と枠が限られます。大学を通さない形は選択肢が多く、そのかわり就業体験の日数やフィードバックの有無を自分で見極める必要があります。
Q. 長期インターンはどの類型に当たりますか。
A. 期間だけでは決まりません。実施期間の半分を超える日数が就業体験で、職場の社員による指導とフィードバックがあり、卒業・修了前年度以降の長期休暇期間中に行われていれば、タイプ3の要件に近い形になります。学期中に週2日ずつ通うような形は、就業体験の密度は高くても実施時期要件からは外れます。
Q. 参加すれば選考で優遇されますか。
A. 基準を満たしたタイプ3で取得された学生情報は、採用選考活動開始以降に採用選考プロセスの一部免除などの形で使われることがあります。ただしこれは免除であって合格ではなく、改めてエントリーする手順も変わりません。優遇を目的に数を集めるより、現場で返されたことばを一つずつ持ち帰るほうが結果に近づきます。
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