若い世代の関わりは3〜4年目に集まっている
地域とのつながりを「生まれた土地との縁」だと思っていると、数字の見え方を取り違える。国土交通省が令和7年6月に公表した地域との関わりについてのアンケートは、全国の18歳以上の居住者のうち約2,263万人、およそ22パーセントが特定の地域と継続的に関わっていると推計した。現地へ足を運ぶ訪問系が約1,884万人で約18パーセント、ふるさと納税や産品の購入などで関わる非訪問系が約379万人で約4パーセント。逆に特定の地域と関わりのない人は約8,012万人、約78パーセントにのぼる。
この調査がおもしろいのは、関わり始めてからの年数を年代別に出しているところだ。全体でいちばん多いのは「30年以上」で、次に「3年~4年未満」が来る。ところが年代で割ると姿が変わる。35歳以上では「30年以上」が最多だが、18歳から34歳では「3年~4年未満」が最多になる。
つまり年長世代の関わりは生まれや育ちから続いてきた長い縁で、若い世代の関わりはここ数年のあいだに自分で作ったものが中心になっている。縁がないから関われない、という前提そのものが数字に合っていない。関係人口という言葉の定義や分類から確かめたい人は総務省と国交省の定義の違いを並べた記事を先に読むと、この先の話が置きやすい。
始まりは制度ではなく、知人の誘いだった
では、その3〜4年はどう始まったのか。同じ調査は住んでいる地域での活動についても聞いていて、回答者の約8割が「参加したことはない」と答えている。地域活動は、全体として見ればまず参加されていない。
参加した人の理由を見ると、全体では「職場、自治会、PTA等の取組みの一環として参加している」が最も多い。組織に属していることが入口になっている形だ。ところが18歳から34歳だけを取り出すと、最も多い理由は「知人等に誘われた」に替わる。35歳から64歳では組織の一環が最多のままなので、この入れ替わりは若い層に特有のものである。
参加しなかった理由も年代で分かれる。18歳から64歳までは「時間的な負担が大きい」が最多で、65歳以上では「地域社会とのつながりが煩わしい」が最多になる。若い人が地域に入らないのは気持ちの問題ではなく、使える時間の問題だと答えているわけだ。
誘いで始まり、時間で止まる。この二つを並べると、若者を呼ぶ側がやることもはっきりする。広報の露出を増やすより、すでに来ている一人が次の一人を連れてこられる形にしたほうが効く。そして一回の拘束時間を短く刻めるなら、止まる理由のほうを削れる。
若いほど泊まり、年を重ねるほど日帰りになる
関わりの濃さは滞在のしかたに出る。訪問系の滞在期間は「半日程度の日帰り」「丸1日程度の日帰り」「1泊2日程度」「2〜4泊程度」がそれぞれ2割程度で並ぶ。年代別でも全体の傾向は同じだが、「半日程度の日帰り」は年代が上がるにつれて多くなる。若い層のほうが泊まる側に寄っているということだ。
年間の訪問日数は「1日以下」が約20パーセント、「2〜7日」が約49パーセント、「8日以上」が約31パーセント。半数は年に一週間も現地にいない。そこへ交通手段の数字が重なる。地域までの主な手段は自家用車が約58パーセントで圧倒的に多く、次が新幹線以外の鉄道、その次が新幹線だった。
車を持たない学生にとって、この58パーセントは壁の実測値にあたる。鉄道と新幹線を合わせれば自家用車を上回るとはいえ、現地に着いてからの移動は別の問題として残る。きっかけの最多が「親族、友人・知人が住んでいる、住んでいた」であることも、送迎してくれる誰かがいるかどうかが効いていることを裏から示している。
年代ごとに最も多かった答え
ここまでの差を一覧にしておく。設問によって年代の区切りが違うので、そのまま並べた。同じ調査の中でも、どこで線を引くかによって見えるものが変わる点に注意してほしい。
| 設問 | 年代の区分 | 最も多かった答え |
|---|---|---|
| 関わり始めてからの年数 | 18〜34歳 | 3年~4年未満 |
| 関わり始めてからの年数 | 35歳以上 | 30年以上 |
| 居住地の地域活動に参加した理由 | 18〜34歳 | 知人等に誘われた |
| 居住地の地域活動に参加した理由 | 35〜64歳 | 職場・自治会・PTA等の取組みの一環 |
| 参加しなかった理由 | 18〜64歳 | 時間的な負担が大きい |
| 参加しなかった理由 | 65歳以上 | 地域社会とのつながりが煩わしい |
| 今後関わりたい地域での過ごし方 | 18〜49歳 | ふるさと納税によってその地域を応援 |
最後の行は意外に見えるかもしれない。今後関わりを持ちたい人に、どう過ごしたいかを聞くと、18歳から49歳では「ふるさと納税によってその地域を応援」が最も多く選ばれている。現地に行く余裕がない層にとって、関わりの最初の一歩が納税の手続きになっているということだ。ここを入口として軽く見ないほうがいい。
時間とお金と交通という三つの壁
関わりを持ちたいと思っている人に、何が変われば動けるかを聞いた結果が端的だ。「仕事やプライベートでの時間的な余裕の確保」が27.4パーセント、「移動や滞在に伴う金銭的な負担の軽減」が26.7パーセント、「地域に行くための交通の利便性の改善」が26.4パーセント。三つがほぼ横並びで並んでいる。
学生に置き換えると、授業と授業外の予定、往復の交通費、最寄り駅から先の足。この三つが同時に解けないかぎり動けない。逆に、どれか一つを地域側や大学側が引き受けるだけで、動ける人の数は変わる。交通費の補助や宿の提供が効くのは、気持ちを押すからではなく、三つのうち一つを外すからである。
もう一つ、全体の空気も押さえておきたい。今後の関わり希望では「特に関わりを持ちたいと思わない」が約35パーセントで最多だった。関わりのある地域があると答えた人は約53パーセント、ないと答えた人は約47パーセント。新型コロナの前後では関係人口が約2,490万人から約2,263万人へ、約230万人減っている。減り方は類型で差があり、地域に直接手を貸す直接寄与型が19.3パーセント減、参加・交流型が10.2パーセント減と大きかった。濃い関わりほど、いちど途切れると戻りにくい。
それでも入口は細くない。訪問先への移住意向は全体で約2割あり、直接寄与型では約36パーセントに届く。関わりの型ごとの違いは2,263万人を5つの型に分けて読んだ記事に整理してある。学生向けに地域と関わる枠を探すなら、FLASPOのような募集の集まる場から当たるのが早い。
よくある質問
この調査でいう関係人口の定義は何ですか。
令和5年7月に閣議決定された国土形成計画を踏まえ、移住した定住人口でもなく観光に来た交流人口でもない、地域と継続的に多様に関わる人を指している。調査では現地を訪れる訪問系と、訪問せずに関わる非訪問系に大きく分けている。
18〜34歳の「3年~4年未満」は、学生のうちに始めた関わりですか。
そこまでは分からない。調査は関わり始めた時期を年数で聞いているだけで、当時の身分までは示していない。読めるのは、この年代の関わりの多くがここ数年のうちに始まったものだという点にとどまる。
ふるさと納税だけでも関係人口に入りますか。
入る。訪問を伴わない関わりは非訪問系として数えられ、全国で約379万人、約4パーセントと推計されている。非訪問地域への関わり方では「ふるさと納税によって地域を継続的に応援」が約43パーセントで最も多かった。
どのくらいの頻度から続いていると言えますか。
調査は年間訪問日数で層を分けており、「8日以上」が約31パーセントだった。現地で働く就労型やテレワーク型では、この8日以上が約半数を占める。仕事が絡むと日数が伸びる形になっている。
出典
国土交通省「全国の関係人口は18歳以上の2割強」(令和7年6月公表)報道発表資料/資料2「関係人口の実態把握」
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