若い世代の視点で、観光地に「もっと居たくなる理由」をつくる。
一般社団法人未来社会デザイン機構(FSDi)が主催し、FSDiとFLASPOが企画・運営した「未来社会デザインコンテスト2026」の最終提案発表会を、2026年9月10日(木)に開催しました!
舞台は、福井県の東尋坊と長野県の志賀高原。2つのエリアで選ばれた4名の学生が、8月の現地視察を経て磨き上げたプランを、自治体・地元事業者・FSDiの理事陣の前で発表しました。
本レポートでは、オンラインコンテストから現地視察、最終発表までの流れと、4つのプランの中身、そして講評者からの言葉をご紹介します!
開催背景
FSDiは、東武トップツアーズが母体となり、2026年2月に設立された産官学連携の共創プラットフォームです。宿泊・運輸・観光施設、自治体、民間企業が連携し、地域課題の解決に取り組んでいます。
今回のコンテストは、既存の枠組みや費用対効果にとらわれにくい学生の視点を地域に還元し、産官学の専門家からのフィードバックを通じて「アイデアの社会実装」につなげることを目的に実施しました。
学生が地域に入り込み、地域の方々と同じ課題を共有しながら解決策を探るプロセスそのものが、将来の地域を支える「若い関係人口」づくりでもあります。
お題は、性格の異なる2つの観光地から1つずつ出されました。
福井県坂井市・東尋坊
国の天然記念物に指定された断崖が続き、年間100万人以上が訪れる福井県屈指の観光地です。一方で、多くの観光客が「岩場の絶景を見て、お土産を買って終わり」という短い滞在にとどまっていることが課題でした。坂井市では『東尋坊再整備基本計画』に基づく再整備が進められています。

お題:東尋坊に来た若者の観光客が、もっと長く滞在したくなる仕掛けを考えてください!
長野県・志賀高原/湯田中渋温泉エリア
上信越高原国立公園の中心地で、ユネスコエコパークにも認定されたエリアです。冬は全国有数のスノーリゾートですが、夏も平均気温25℃を下回る避暑地で、星空や温泉、スノーモンキーなど魅力が豊富。ただ若者にとっては「自然を見る」「温泉に入る」で終わりやすく、友達を誘ってでも参加したくなる体験には、まだ開発の余地がありました。

お題:志賀高原エリアの夏を舞台に、若者が一度は参加したくなる非日常イベント・体験を考えてください!
2026年6月から7月20日までの募集期間に、2エリアあわせて41件(東尋坊21件・志賀高原20件)の提案が集まり、チームメンバーを含めて延べ56名の若者が参加しました。
コンテストから現地視察〜最終発表までの流れ
受賞した学生は実際に現地を訪れ、地域の方々との対話を経てプランを作り直し、最後に地域の意思決定に関わる方々の前で発表しました。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年6月〜7月20日 | FLASPO上でオンラインコンテスト(2エリア) |
| 8月上旬 | 書類審査の結果、各エリアの上位2名(計4名)が決定 |
| 8月下旬 | 各エリアで1泊2日の現地視察プログラム |
| 9月10日(木) | 最終提案発表会(東武トップツアーズ品川オフィス+オンライン) |
現地視察プログラム
選ばれた4名は、8月下旬にそれぞれのエリアを1泊2日で訪れました。
- 志賀高原・湯田中渋温泉エリア:2026年8月20日〜21日
- 東尋坊エリア:2026年8月25日〜26日
現地では、地元事業者や行政の方々と対話を重ねました。学生たちは、息をのむような雄大な自然や豊かな食に感動する一方で、急に変わる天候や二次交通の不便さといった、机の上ではわからなかった現実にも直面しました。
この経験を通じて、学生たちの企画は「若者を呼ぶ単なるイベント」から、「地域の未来をどう創るか」という社会実装プランへと変わっていきました。
各エリアでは、以下の皆さまにご協力いただきました。
- 志賀高原エリア:環境省 上信越高原国立公園 志賀高原管理官事務所、一茶のこみち 美湯の宿、株式会社S&T観光開発(2307グループ)
- 東尋坊エリア:坂井市役所 産業政策部 観光交流課、東尋坊まちづくり株式会社、東尋坊正太楼




最終提案発表会 当日の様子
最終提案発表会は、9月10日(木)15時から、東武トップツアーズ品川オフィスの会場とオンラインをつないで開催しました。学生1人あたり15分のプレゼンと、講評・質疑の時間を設けています。
講評には、次の皆さまにご参加いただきました。
- 会場:FSDi 代表理事 脇坂克也さん、理事 長谷川靖さん、理事 福澤知浩さん、理事・事務局長 篠原俊成さん、顧問 金谷譲児さん/一茶のこみち 美湯の宿 取締役営業部長 斉須廣明さん/東尋坊正太楼・東尋坊まちづくり株式会社 代表取締役社長 小南正一さん
- オンライン:環境省 志賀高原管理官事務所 国立公園管理官 原耕資さん/福井県坂井市長 池田禎孝さん

4名の最終提案
ここからは、エリアごとに4つのプランと、講評者からのコメントをご紹介します。
【志賀高原エリア】消費する自然から、入り込み、記録する自然へ
①「ただいま、志賀高原。」(立石悠翔さん/大阪公立大学)
概要
観光客の目線ではなく、自然保全など地域の日常や仕事に「労働・体験」として入り込み、「住民」として過ごすプランです。地元の方々との深いつながりを生み、「ただいま」と何度も帰ってきたくなる“第2の故郷”のような関係人口をつくることを目指しています。
講評
一茶のこみち 美湯の宿の斉須廣明さんからは、「普段住んでいると気づかない魅力を再発見できた」との声が。既存の施設や自然を活かす点も環境にやさしいとして、実現に向けて力を合わせたいという言葉をいただきました。
②「志賀高原自然図鑑プロジェクト ― 見つける、描く、灯す。一夜限りの自然展示 ―」(橋本明さん/名桜大学)
概要
絶景を「見る・撮る」だけで終わらせず、「観察して描く」手順を加えることで、自然の解像度を上げるプランです。描いたスケッチは夜の自然の中に光で投影して展示し、自分の足跡が地域の魅力の一部になる——そんな新しい滞在の価値を提案しました。
講評
FSDi顧問の金谷譲児さん(金谷ホテル観光株式会社 代表取締役社長)は、自然を切り口にした参加型の企画を高く評価。光の投影にプロの技術を取り入れたり、四季ごとの要素を加えたりすることで、さらに幻想的な世界になり、ファンが増えそうだとアドバイスをいただきました。
エリア全体への講評
環境省 志賀高原管理官事務所の原耕資さんからは、「景色を見るだけでなく、深く学べる仕掛けが国立公園の目的にも合致している」とのコメントが。地域の仕事がそのまま魅力につながる動線や、自然に興味を持ってもらう最初の入り口の工夫を評価いただきました。
【東尋坊エリア】完成を待つ観光から、未完成を楽しむ観光へ
東尋坊エリアの2名は、現地視察を経てプランを大きく組み替えました。どちらも、これから始まる再整備の期間そのものを舞台にしています。
③「みんなで育てるグルメの聖地・東尋坊」(奥出凛乃さん/立教大学)
概要
これから始まる再整備工事の期間を逆手にとり、地元の学生実行委員会が主導してグルメのアイデアを募るプランです。完成までのプロセスそのものをエンターテインメントにしてファンを育て、施設が完成したときに人が集まるコミュニティをつくることを目指しています。
現地視察を経て
応募時は「17時からの東尋坊リブランディング:トワイライト・エスケープ計画」として、夕方以降の過ごし方を提案していました。現地での対話を経て、再整備の期間に地元の学生が自ら動く企画へと生まれ変わっています。
講評
東尋坊まちづくり株式会社の小南正一さんは、「現地視察を経て、案が大きくブラッシュアップされたことに驚いた」とコメント。地元出身の学生が自ら実行委員会を立ち上げたいという熱意を何より喜び、全面的にバックアップしたいと話されました。
④「東尋坊版 学生共創インターン構想」(折原知晟さん/武蔵野大学)
概要
「施設ができれば人が来る」という思い込みから抜け出し、再整備の期間中から若者が地域課題に関わるインターンを立ち上げるプランです。施設が完成するときには、未来の担い手も育っている——そんな状態をつくる仕組みを提案しました。
現地視察を経て
応募時は「東尋坊は、夕日まで完成しない。― 3時間パスポート」として、観光客の滞在を夕日まで延ばす仕掛けを提案していました。現地を見たうえで、観光客を呼ぶ仕掛けから、地域を動かす担い手を育てる仕組みへと視点を移しています。
講評
FSDi理事の福澤知浩さん(株式会社SkyDrive 代表取締役社長)は、地域活性化にはパワーのある人が自ら動くことが重要だと指摘。2人の学生が共同創業者のように活躍する構図にも触れ、「再整備の3年間を実験の場として、どんどん仕掛けていってほしい」とエールを送りました。
エリア全体への講評
オンラインで参加された福井県坂井市の池田禎孝市長からは、「お二人の情熱とアイデアがしっかりと伝わってきた」との言葉が。思いだけで終わらせず、市や地元企業と一緒に東尋坊を盛り上げるために、実現へつなげてほしいと期待を寄せていただきました。

総評
発表のあとは、斉須さん、小南さん、FSDiの篠原事務局長、金谷顧問、長谷川理事、福澤理事から総評をいただきました。学生の熱意と行動力が地域の活力になること、そして地域や大人の側も学生のアイデアに触発され、協力しながら社会実装をめざすことの大切さが語られました。
最後にFSDi代表理事の脇坂克也さんが、人口減少や高齢化といった地域共通の課題に対して、外から来る若者ならではの目線やアイデアがもたらす価値の大きさを改めて実感した、と挨拶して会を締めくくりました。

まとめ(今後の展開)
4つの提案に共通していたのは、若者を「観光客」としてではなく「地域の担い手」として位置づけ直していることです。
観光地を消費する側から、地域の日常や再整備のプロセスに入り込んで関わる側へ。現地に足を運んだからこそ生まれた発想の転換でした。
今回の発表はゴールではありません。FSDiと東武トップツアーズは、生まれたアイデアを「発表して終わり」にせず、現地の自治体や事業者、賛同企業と連携した事業化や実証実験のサポートを続けていく方針です。
海の景勝地と高原の温泉地という、性格の異なる2つの地域で、学生たちが描いた未来がこれからどう動き出すのか。ぜひ楽しみにしていてください!
<イベント概要>
・タイトル:未来社会デザインコンテスト2026 最終提案発表会
・開催日:2026年9月10日(木)
・会場:東武トップツアーズ品川オフィス(東京都港区)/オンライン
・主催:一般社団法人未来社会デザイン機構(FSDi)
・企画・運営:一般社団法人未来社会デザイン機構(FSDi)、株式会社FLASPO
・事務局:一般社団法人未来社会デザイン機構(FSDi)
・協力:東武トップツアーズ株式会社、株式会社ジェイ・エス・ビー(UniLife)
・エリア協力:環境省 志賀高原管理官事務所、一茶のこみち 美湯の宿、株式会社S&T観光開発(2307グループ)、坂井市役所 観光交流課、東尋坊まちづくり株式会社、東尋坊正太楼
関連リンク
プロジェクトの全体像と成果
募集から現地視察、最終発表までの流れと成果を、事例ページにまとめています。
コンテストのお題を見る(募集は終了しています)

東尋坊エリア(福井県坂井市)
東尋坊に来た若者の観光客が、もっと長く滞在したくなる仕掛けを考えてください!
「絶景を見て、お土産を買って終わり」になりがちな東尋坊で、長く滞在したくなる仕掛けを募集しました。

志賀高原・湯田中渋温泉エリア(長野県)
志賀高原エリアの夏を舞台に、若者が一度は参加したくなる非日常イベント・体験を考えてください!
国立公園の自然・温泉・星空を活かして、友達を誘ってでも参加したくなる夏の体験を募集しました。
主催者・協力企業の発表
若者との関係人口づくりを、コンテストから現地まで
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