ホストファミリーになるには|受け入れの現状と確かめる五項目

ホストファミリーになるには|受け入れの現状と確かめる五項目

迎える側に回ると、国際交流の形が変わる

海外へ出る話は費用と語学力の問題になりやすいが、迎える側に回るとまったく別の条件が並ぶ。渡航費もパスポートも要らず、代わりに空いている部屋と、数週間から一年ぶんの食卓の席が必要になる。動くのは人ではなく家庭の運用である。

ホストファミリーとは、海外から来た生徒や学生を自宅に住まわせて生活を支える家庭を指す。学校の寮や賃貸住宅と違うのは、提供するものが部屋だけではない点だ。食事、生活の習慣、近所との関わり、そして日本語で話す相手という役割が同時に求められる。

誤解されやすいのは、英語が話せる家庭でないと務まらないという思い込みだ。受け入れの目的が日本での生活体験である場合、むしろ日本語で日常が回っていることに意味がある。語学指導の担い手ではなく、生活の案内役だと考えたほうが実際に近い。

もうひとつ外しやすいのは、家族構成の前提である。子どもがいる家庭でなければ受け入れられないという規定を置く団体もあるが、置かない団体もある。単身や夫婦のみでの受け入れを認める例もあるため、条件は募集元ごとに確かめる必要がある。

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受け入れの機会は高校経由がいちばん太い

どこに需要があるのかは、公的な調査で輪郭がつかめる。文部科学省が昭和61年度から隔年で続けている高等学校等における国際交流等の状況については、令和5年度分が18回目として2025年3月に公表された。高校段階の受け入れ人数は次のとおりである。

受け入れの区分 令和5年度 令和3年度 平成29年度
学校訪問を伴う外国からの教育旅行 24,749人 12人 39,531人
外国からの研修旅行生(3か月未満) 2,601人 33人 3,448人
外国人留学生(3か月以上) 1,864人 859人 2,621人

三つの区分のうち、家庭での滞在と結びつくのは上の二つである。教育旅行は学校訪問を伴う団体での来日で、宿泊は旅程に組み込まれるが、一部は家庭に分かれて泊まる形をとる。三か月未満の研修旅行生は語学研修や交流を目的とした滞在で、受け入れ家庭を前提に組まれることが多い。

三か月以上の留学生1,864人は、年単位で同じ家庭に住む可能性が高い層だ。人数そのものは小さいが、一人あたりの関わる時間はほかの区分と比べものにならない。受け入れを検討する側から見れば、短期で試して長期に進むという順序が取りやすい構造になっている。

令和3年度の数字が極端に小さいのは、感染症の影響で往来が止まっていたためである。令和5年度は回復したが、研修旅行生は平成29年度の3,448人に、留学生は2,621人に届いていない。受け入れ側の体制が元の水準まで戻りきっていないことの表れとも読める。

政府の目標と現状には4倍以上の開きがある

数字の意味は、目標と並べると立ち上がってくる。第4期教育振興基本計画は2033年に外国人の高校留学生2万人という目標を置いている。これに対応する令和5年度の実績は、研修旅行生2,601人と留学生1,864人を合わせた約4,500人である。コロナ禍前の約6,000人にも届いていない。

不足しているのが学校側の受け入れ枠だけなら解決は早いが、実際には泊まる場所の確保が効いてくる。同じ調査で姉妹校提携は1,151校あり、令和3年度の1,146校からほぼ横ばいだった。提携の枠はあるのに人の往来がそこまで増えていないという状態である。

調査は自治体や学校の取組も聞いており、多い順に研修旅行にかかる経費の支援、外国人高校生の高校への受入れが挙がっている。公費の後押しがある一方で、家庭の側の受け皿は制度で増やせない部分だ。ここが目標との差を埋めるときの実務上の詰まりになる。

高校以外に目を向ければ対象はさらに広い。出入国在留管理庁の令和7年末現在における在留外国人数についてによると、令和7年末の在留外国人は412万5,395人で初めて400万人を超え、在留資格「留学」は464,784人だった。大学や日本語教育機関に通う層を含めれば、滞在先を探している人の数は高校段階の比ではない。

条件は募集元ごとに違う。文字で確かめる五項目

受け入れを引き受ける前に固めておくべき点は、どの団体の募集でも共通している。部屋の形、食事の回数、滞在の期間、費用の扱い、そして困ったときの連絡先である。これらが書面になっていない募集は、始めてから揉めやすい。

部屋については、個室が必須か相部屋でもよいかが分かれる。寝具や机を家庭が用意するのか、滞在者が持ち込むのかも団体差がある。食事は朝夕の二食が標準とされる例が多いが、昼を弁当で持たせる想定が入っているかどうかで負担がかなり変わる。

費用の扱いはとくに確認したい。無償のボランティアとして募る例と、食費や光熱費の実費相当を支給する例があり、同じ地域でも団体によって方針が違う。支給がある場合も、課税や受け取りの手続きが伴うのかを事前に聞いておくのが安全だ。

最後に、途中で続けられなくなったときの手順を聞いておく。家族の入院や転勤は予定できないので、滞在先を替える仕組みがあるかどうかが実質的な安全弁になる。短期の受け入れから始めて、家庭の負担を測ってから長期に進むという順序も取れる。

暮らしは、言葉よりも先に時間が変わる

受け入れが始まって最初に効いてくるのは語学ではなく生活の時間割だ。夕食の時刻を決める、風呂と洗濯の順番を回す、休日の予定を共有するといった調整が毎日発生する。家族の人数が一人増えるだけでなく、習慣の異なる一人が増えると考えたほうがよい。

言葉の負担は、工夫で下げられる部分が大きい。出入国在留管理庁と文化庁の在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインは、一文を短くする、三つ以上を言うときは箇条書きにする、二重否定を使わない、文末を「です」「ます」でそろえるといった手順を示している。英語に切り替えるより、日本語の出し方を変えるほうが続けやすい。

家庭が交流の場として働いていることは、統計にも出ている。日本学生支援機構の令和5年度私費外国人留学生生活実態調査で日本人学生との交流の内容を聞くと、授業以外で交流があると答えた人は7,867人中5,554人で70.6パーセントだった。その具体的な場として「住んでいるところ」を挙げた回答は618人で、全体の5.5パーセントを占める。

同じ調査では、在籍校への不満として「日本人学生と交流できる機会」が1,573人、20.0パーセントで挙がっている。学校の中で足りていない接点を、住まいが補っているという関係だ。学内の活動に関心があるなら国際交流サークルとはや国際交流イベントの種類と選び方で学校側の受け皿も見比べられる。地域の担い手として若者の関わりを設計するFLASPOの取り組みと並べると、家庭が担っている役割の位置も見えやすい。

よくある質問

英語が話せないとホストファミリーにはなれませんか

なれる場合が多い。日本での生活体験を目的とした受け入れでは、日本語で日常が回っていること自体が条件になる。やさしい日本語の手順を踏めば、短い文と具体的な表現で用は足りる。ただし語学研修を主目的にしたプログラムでは、使用言語の希望が指定されることもある。

受け入れの募集はどこで探せますか

入口は三つある。地域の国際交流協会、高校や大学の国際交流担当部署、そして交換留学を扱う民間団体や非営利団体である。高校経由の受け入れが人数として太いため、近隣の高校が姉妹校提携を持っているかを調べると話が早い。

報酬は出ますか

団体によって異なる。無償の受け入れとして募る形と、食費や光熱費に相当する額を支給する形があり、金額の基準も統一されていない。募集要項に支給の有無と手続きが書かれているかを確認し、書かれていなければ受け入れ前に文字で確認しておくのが望ましい。

どのくらいの期間から引き受けられますか

数日の短期から一年の長期まで幅がある。教育旅行に伴う一泊や二泊の受け入れは負担が軽く、家庭の適性を測るのに向く。三か月以上の留学生を受け入れる場合は進路や学校行事にも関わるため、学校との連絡体制がある団体を選ぶとよい。

子どもがいない家庭でも受け入れられますか

受け入れを認める団体もある。家族構成に条件を置くかどうかは団体の方針で決まっており、夫婦のみや単身での受け入れを可とする例も存在する。年齢や同居人の構成について制限がある場合は募集要項に書かれているので、問い合わせの前に読んでおくと手戻りがない。


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