Uターンで戻る前に確かめる移住の順番|20〜24歳8万443人の内訳

20〜24歳で8万443人が東京圏へ入っている

地元に帰るかどうかを考えはじめる時期は、統計のうえで最も人が動く時期と重なっている。総務省統計局が令和8年2月3日に公表した住民基本台帳人口移動報告の2025年結果によると、東京圏の年齢5歳階級別の転入超過数は20〜24歳が最も多く、日本人移動者で8万443人に達した。次いで25〜29歳が2万3546人、15〜19歳が2万1469人である(総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」)。

東京圏全体の転入超過数は12万3534人で、前年に比べ1万2309人の縮小。日本人移動者に限ると11万2738人で、30年連続の転入超過となった。縮小しているとはいえ流れの向きは変わっていない。都道府県別では転入超過が東京都など7都府県にとどまり、転入超過数は東京都が6万5219人で最も多い。

注目したいのは、この8万443人という山がどれだけ突き出ているかである。20〜24歳の値は25〜29歳の3.4倍にあたり、他のどの階級とも桁が違う。進学と就職という二つの移動が重なる4年間に、東京圏への流入のほとんどが集中している。

動きやすさそのものも同じ年齢で頂点を打つ。都道府県間移動率を年齢5歳階級別にみると20〜24歳が9.25%で最も高く、25〜29歳が8.16%、30〜34歳が4.85%と急に下がる。30代に入ると移動率は半分近くまで落ちる。地元に戻る選択を先送りにすると、制度の有無とは別に身軽さの失われ方が増していく。

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出る年齢と戻る年齢はずれている

同じ統計を転出超過の側から見ると、別の年齢層が浮かび上がる。東京圏の転出超過数は60〜64歳が最も多く4562人、次いで55〜59歳が3051人、65〜69歳が2900人だった。さらに0〜4歳と55〜74歳の各階級は、年齢別の集計が始まった2010年以降16年連続で転出超過が続いている。

一方の10〜29歳と80歳以上は、同じ16年間ずっと転入超過のままである。つまり東京圏は若い人を吸い込み、子育て期の家族と定年前後の層を押し出している。Uターンという言葉が指す動きは統計上たしかに存在するが、その主役は20代前半ではなく、50代後半から60代前半にいる。

この時間差は進路選択の実務に関わってくる。20代前半で東京圏に入った人が地元に戻るのは、多くの場合30年後ということになる。戻る側の数字が若い世代で立っていないのは、戻りたい人がいないからというより、戻る先の仕事と住まいがその年齢では整っていないからだと読むほうが自然だ。

前年との比較では、転入超過数が最も縮小したのも20〜24歳で2690人の減だった。次いで30〜34歳が1599人、25〜29歳が1155人の縮小である。変化はたしかに起きているが、8万443人という水準に対する2690人は3.3%にすぎない。移住の現状を相談件数と転入超過から読み解いた記事と並べると、相談の増加が移動の数字に届くまでの距離がわかる。

三大都市圏で若者の動きは同じでない

東京圏だけを見ていると、若者は都市へ向かうものだという一般論に落ち着いてしまう。ところが名古屋圏と大阪圏の数字を並べると、同じ年齢層がまったく違う向きに動いていることがわかる。

名古屋圏は2025年に1万2695人の転出超過で、日本人移動者では13年連続の転出超過となった。年齢別の転出超過は20〜24歳が最も多く1957人、次いで25〜29歳が1709人、15〜19歳が1221人である。大阪圏は8742人の転入超過だが、年齢別に割ると転入超過の最多は15〜19歳の7101人で、20〜24歳は逆に921人の転出超過だった。

年齢階級 東京圏 名古屋圏 大阪圏
15〜19歳 2万1469人の転入超過 1221人の転出超過 7101人の転入超過
20〜24歳 8万443人の転入超過 1957人の転出超過 921人の転出超過
25〜29歳 2万3546人の転入超過 1709人の転出超過 758人の転出超過
圏全体(日本人移動者) 11万2738人の転入超過 9561人の転出超過 7503人の転入超過
総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」の年齢5歳階級別転入超過数(日本人移動者)から作成

大阪圏の形は特に示唆的だ。15〜19歳で大きく入ってきた人が、20〜24歳では出ていく。進学で集まり、就職で東京圏へ抜けていく経路がそのまま数字に出ている。名古屋圏はどの若年階級でも出ていく一方で、圏全体の転出超過は縮小している。地元に戻る話を考えるとき、自分の出身地がどちらの型に近いかで、戻る相手となる求人の層も変わってくる。

東京圏の20〜24歳については、すべての道府県で転入超過という結果も出ている。どの県から見ても、この年齢層は東京圏へ出ていく側にいる。地元の求人がこの層をつかみきれていない状態が全国で共通しているという意味で、競争相手は他県ではなく東京圏だと考えたほうが実情に合う。

就職が先か移住が先かで使える制度が変わる

地元に戻る動きで最も金額が大きい支援が、地方創生移住支援事業の移住支援金である。都道府県と市町村が共同で交付し、世帯の場合は100万円以内、18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合は18歳未満の者一人につき最大100万円を加算、単身の場合は60万円以内で都道府県が設定する額とされている(内閣官房・内閣府「移住支援金」)。

順番の問題がここで出てくる。移住元の要件は、移住直前の10年間で通算5年以上、東京23区に在住または東京圏の条件不利地域を除く区域に在住して東京23区へ通勤していることで、直近1年以上は23区に在住または通勤している必要がある。雇用者としての通勤の場合は雇用保険の被保険者としての通勤に限られる。つまり東京圏で一定期間過ごしたという事実が前提で、卒業と同時にそのまま地元へ帰る場合は要件に届かないことがある。

学生にとって見逃せない注記もある。23区内の大学に通いながら東京圏の条件不利地域以外に住み、その後23区内の企業に就職した場合、通学期間も移住元としての対象期間に加算できるとされている。在学中の住所と通学先が、数年後に使える制度の条件を左右するということだ。

移住先の側では、支援金の申請が転入後1年以内であること、申請後5年以上継続して移住先市町村に居住する意思があることが必要になる。さらに、道府県のマッチングサイトに掲載された求人への就業、移住前の業務を続けるテレワーク、市町村が関係人口として認める要件、起業支援金の交付決定のいずれかを満たさなければならない。就職先を先に決めるのか、関係人口としての実績を積むのかで、通る経路が変わる。

在学中に確かめておくと動きやすいこと

制度の条件を逆から読むと、在学中にやっておける確認が三つに絞れる。一つ目は住所と通学先の組み合わせで、通学期間が対象期間に加算されうる条件に自分が当てはまるかを把握しておくこと。二つ目は戻りたい市町村が移住支援金を実施しているかで、これは国の枠組みに参加する自治体だけが対象になる。

三つ目が関係人口としての要件である。市町村が地域の人々と関わりがある者として認め、地域の担い手となる要件を満たすという経路は、求人への就業に頼らずに進める道になる。認定の基準は市町村ごとに違うため、在学中から接点をつくっておく意味は大きい。地域とのつながりを先に積む進め方を調べるなら、FLASPOのような地域と学生をつなぐ入口から、受け入れ側がどんな関わりを実績として見ているか確かめておくと判断が早い。

滞在を伴う関わり方の選択肢は、休学や長期休暇を使った地域滞在から協力隊の前段まで幅がある。休学して地方へ行く前に地方創生インターンの内訳を確かめた記事や、過疎化と若者のUターンを市町村数と協力隊の人数から見た記事が、どの規模の受け入れがどこにあるかを数字で押さえている。

最後に時間の見積もりを変えておきたい。20〜24歳の都道府県間移動率9.25%が30〜34歳で4.85%まで落ちることを踏まえると、戻る判断は遅らせるほど重くなる。いま決めきれないなら、決めるための情報と関係だけは在学中に揃えておくのが現実的な備えになる。

よくある質問

卒業してすぐ地元に戻る場合、移住支援金は使えますか。使えないことがあります。移住元の要件が移住直前の10年間で通算5年以上の東京23区への在住または通勤を求めており、直近1年以上も23区に在住または通勤している必要があるためです。ただし23区内の大学への通学期間は対象期間に加算できる扱いがあるため、自分の住所と通学先の組み合わせを自治体の窓口で確認する価値はあります。

20〜24歳の8万443人という数字は増えているのですか。減っています。前年に比べて最も縮小した年齢階級がこの20〜24歳で、2690人の縮小でした。ただし減少幅は水準の3.3%程度で、東京圏の転入超過が30年連続という流れ自体は続いています。

地元が名古屋圏か大阪圏の場合、見るべき数字は変わりますか。変わります。名古屋圏は20〜24歳で1957人の転出超過、大阪圏も同じ階級で921人の転出超過と、どちらも若年層が出ていく側にあります。大阪圏は15〜19歳で7101人の転入超過があるため、進学で集まり就職で抜ける形を前提に、残る側の求人がどこにあるかを調べるほうが実際的です。

求人を通さずに移住支援金の対象になる道はありますか。市町村が地域の人々と関わりがある者として認め、地域の担い手となる要件を満たす経路があります。基準は市町村ごとに設定されるため一律ではなく、事前に移住先の自治体へ問い合わせる必要があります。このほかテレワークで移住前の業務を続ける形、1年以内に起業支援金の交付決定を受ける形も認められています。


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