朝日町の出生は年14人、協力隊は12人|山形県196人のうち3番目に多い町

山形県の内陸、最上川が蛇行する谷に朝日町がある。りんごと空気神社で名前が出ることが多い町だが、統計の上では別の顔を持つ。生産年齢人口の割合が県内35市町村で最も低く、1年に生まれる子どもは14人である。その町に、地域おこし協力隊が12人いる。県内では長井市と西川町に次ぐ3番目の人数で、人口規模から見れば突出している。町の数字と国の資料を並べて、なぜこの配り方になるのかを追う。

1年に生まれる子どもが14人という規模

まず町の大きさを押さえる。山形県の人口と世帯数によれば、令和7年10月1日現在の朝日町の人口は5,440人、世帯数は2,027世帯で、1世帯あたり2.68人である。前年の5,608人から168人減り、減少率は3.00パーセントだった。県内で減少率が大きい方から数えて6番目に当たる。

内訳を見ると偏りがはっきりする。年少人口は408人で7.5パーセント、生産年齢人口は2,379人で43.7パーセント、老年人口は2,653人で48.8パーセントである。生産年齢人口の割合は県内で最も低く、老年人口の割合は西川町の49.4パーセントに次いで2番目に高い。子どもに対して高齢者が何人いるかを示す老年化指数は650.2で、こちらも県内2位である。東根市の222.7と比べると3倍近い開きになる。

動きの方はもっと急である。令和6年10月から令和7年9月までの1年間で、出生は14人、死亡は131人だった。自然減は117人で、人口1,000人あたりの出生率は2.5、死亡率は23.4になる。つまり、1年に生まれる子どもの数より、協力隊として外から来ている人数の方が少し少ないという関係になっている。町が置かれている時間の尺度が、この2つの数字の近さに出ている。

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協力隊12人は山形県で3番目に多い

次に協力隊の側を見る。総務省が令和8年4月に公表した令和7年度の隊員数等によれば、全国の隊員は8,196人、受入自治体は1,187団体である。このうち山形県は196人・34団体で、市町村別では長井市の23人が最も多く、西川町15人、朝日町12人と続く。町村だけで見れば西川町に次ぐ2番目である。

人口で割ると位置づけが変わる。朝日町は5,440人に12人なので、住民およそ453人に1人の割合になる。同じ県内の長井市は24,356人に23人で約1,059人に1人、西川町は4,237人に15人で約282人に1人である。人数の多い市より、人口が小さく減り方の急な町のほうが、住民に対する密度が高くなっている。

市町村 隊員数 人口(令和7年10月1日) 住民1人あたり
長井市 23人 24,356人 約1,059人に1人
西川町 15人 4,237人 約282人に1人
朝日町 12人 5,440人 約453人に1人
大江町 8人 6,708人 約839人に1人
山形市 3人 237,800人 約79,267人に1人

なお、朝日町という名前の自治体は山形県以外にもあり、同じ資料では富山県朝日町が11人を受け入れている。募集情報を探すときに混ざりやすいので、県名まで確認したい。

減っているのは県外へではなく県内へ

外から人が来ているのかという問いには、県の調査が意外な答えを出している。同じ1年間の社会動態を見ると、朝日町は51人の転出超過である。ところが中身を割ると、県内の他市町村との間では54人の転出超過、県外との間では3人の転入超過になっている。

県外移動で転入超過となったのは県内35市町村のうち3町しかなく、朝日町はそのうちの1つである。増加率で見れば河北町の0.10パーセントに次ぐ2番目だった。一方、県内移動の転出超過率は0.96パーセントで、大石田町と小国町に次いで3番目に大きい。つまり、県外から入る流れはわずかに黒字なのに、山形市や寒河江市といった県内の都市へ出ていく流れがそれを上回って町の人口を削っている。

協力隊は住民票を移して住む制度なので、県外からの転入側に乗る。12人という人数は、年間3人という県外からの純増と並べると小さくない。隊員8,196人が全国のどこにいるかを俯瞰すると、都市部に近い自治体より、こうした谷の町に集まりやすい傾向が見える。町の人口ビジョンは、就業者のうち農業に従事する人が全体の約25パーセントで最も多いと書いている。受け入れる仕事の中身も、そこに寄ることになる。

1人あたり年550万円までという国の枠

12人を受け入れる費用はどこから出ているのか。協力隊は特別交付税措置の制度で、令和8年度の地方財政措置の見通しが枠を並べている。隊員の活動に要する経費は1人あたり550万円が上限で、うち報償費等が350万円、その他の活動経費が200万円である。

それ以外にも枠がある。募集等に要する経費は1団体350万円、おためし地域おこし協力隊は1団体100万円、協力隊インターンのプログラム作成等も1団体100万円、隊員の日々のサポートに要する経費は1団体200万円が上限である。任期後の起業・事業承継には1人100万円の枠があり、令和8年度からは新たな雇用の創出等の要件を満たす場合に200万円へ引き上げられた。対象期間も任期終了後1年以内から3年以内に延びている。

活動期間そのものも令和8年度に動いた。従来は概ね1年以上3年以下だったが、地場産業等に従事して任期終了後にその産業の起業・事業承継を行う場合に限り、最大5年まで延長できる特例が入った。農業が就業の4分の1を占める町では、3年では技術の習得が終わらないという事情に噛み合う変更である。活動費200万円が何に使えるかの線引きは、受け入れる側の設計を左右する。

任期後に残るかどうかは山形県で64.6パーセント

受け入れた人が残るかどうかは別の数字が答える。総務省の調査では、令和2年4月から令和7年3月までの5年間に任期を終えた隊員は全国で8,762人、うち同じ地域に定住したのは6,163人で70.3パーセントだった。山形県は任期終了198人に対して定住128人、定住率は64.6パーセントで全国平均を下回る。

近隣と比べると差が見える。長野県は656人中512人で78.0パーセント、北海道は1,225人中959人で78.3パーセント、隣の秋田県は179人中100人で55.9パーセントである。山形県はその間に位置する。定住した隊員の進路は全国の集計で、同一市町村内に残った5,038人のうち起業が46パーセント、就業が35パーセント、就農・就林が12パーセントという内訳になっている。

町の将来推計は厳しい。人口ビジョンは、1990年に10,417人だった人口が2020年に6,366人へ減り、国立社会保障・人口問題研究所の推計では2050年に2,835人になるとしている。町はこれに対し、2040年時点で4,300人程度、2050年時点で3,500人程度を目標に置いた。推計との差は毎年の転入と出生の積み上げで埋めるしかなく、12人の協力隊はその積み上げの一部である。地域の現場に関わる入口を探す学生には、FLASPOのような仕組みから短い滞在で始める道もある。

よくある質問

朝日町の協力隊12人はいつの時点の数字なのか。総務省が令和8年4月24日に公表した令和7年度の隊員数で、市町村別の一覧に記載がある。年度ごとに公表されるため、募集中の枠や今いる人数とは一致しないことがある。

町の人口は5,440人と5,726人のどちらが正しいのか。前者は山形県が社会的移動人口調査にもとづいて出した令和7年10月1日現在の推計、後者は町が住民基本台帳から出した別の時点の数値である。調査の基準と時点が違うので、どちらかが誤りというわけではない。本稿は県内の比較に使えるよう県の推計を採った。

協力隊になると住民票を移す必要があるのか。移す必要がある。制度は都市地域から条件不利地域に住民票を異動し、生活の拠点を移した者を自治体が委嘱する形を取っている。住んだまま関わる副業型の制度とはこの点で分かれる。

報償費等350万円はそのまま報酬になるのか。350万円は自治体が受けられる措置の上限であって、本人に支払われる額ではない。実際の報酬額と勤務時間は自治体が募集要項で定めるため、同じ県内でも差が出る。

農業に関わる枠を探すなら何を見ればよいか。町の就業構成で農業が約25パーセントを占めることと、令和8年度から地場産業の起業・事業承継を前提に活動期間が最大5年へ延びたことの両方が手がかりになる。募集要項の活動分野と任期の上限を合わせて読むと、受け入れ側が何年の関わりを想定しているかが見えてくる。


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