自治体のnoteは月8万円が無償になる|地方PRの発信が広がった条件

月額8万円の有料プランが、申し込めば0円になる。noteが地方公共団体に向けて出している条件を字面だけ追うと破格に見えるが、対象の数え方には細かい線が引かれている。公表資料から条件を拾い、発信がどこまで広がったのかを確かめたい。

8万円が0円になる相手は、はっきり限られている

前提になるのは、noteが法人向けに売っている高機能プランの価格である。note株式会社の発表では、note proは月額8万円(税抜)で提供されている。独自ドメインの設定や会員向けの限定公開、分析機能などが付く、企業のオウンドメディア用の枠だ。

この枠を無償で開放したのが地方公共団体支援プログラムで、開始は2020年6月3日である。公式の案内では、対象は都道府県と市区町村で、区は東京23区のみが該当する。さらに1団体につき1アカウントまでという上限が置かれている。

1アカウントという条件は、運用の形を先に決めることを意味する。観光課と移住定住課がそれぞれ無償枠を取ることはできないので、庁内のどこが管理者になり、どの課の記事をどう混ぜるかを決めてから申し込む順序になる。noteの自治体向けページは、使い道としてシティプロモーション、移住促進、ふるさと納税、観光PR、教育を並べている。ひとつのアカウントにこれらが同居する形だ。

契約期間は1年単位で、以後は自動更新と案内されている。無償提供が1回きりの試用ではなく、継続して使える前提で置かれていることになる。

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学校の側は「1校につき1つ」と数えている

同じ無償提供でも、学校に向けた枠は数え方が違う。noteは2020年から学校支援プログラムを出しており、note proの無償提供は「学校につき1つずつ」、そして教育委員会にも1アカウントまでという形になっている。自治体本体の1アカウントとは別枠で、管轄する学校の数だけ開ける。

2022年4月14日には、教育委員会向けの一括導入プランが発表された。地方公共団体の教育委員会が、管轄する小・中・高・特別支援学校のnote proを一括で契約する場合に限る、という条件つきの仕組みである。校ごとに個別の手続きを踏まずに、まとめて開設できる形だ。

有償になるのは独自ドメインのオプションだけで、年額70,000円に税が加わる。しかも同じ階層のサブドメインであれば、学校数に関係なく同額で使えると案内されている。60校でも160校でも、ドメイン側の費用は変わらない設計になる。

価格と条件を並べると、どの枠に当てはまるかで費用がまったく違うことがわかる。

枠 費用 条件
法人向けnote pro(通常) 月額8万円(税抜) 企業・団体一般
地方公共団体支援プログラム 無償 都道府県市区町村(区は23区のみ)につき1アカウント
学校支援プログラム 無償 学校につき1つ。教育委員会にも1アカウント
教育委員会の一括導入プラン 無償(基本) 管轄する小中高・特別支援学校を一括契約する場合に限る
上のオプション(独自ドメイン) 年額70,000円+税 同じ階層のサブドメインなら学校数に関係なく

note株式会社の発表資料より作成。費用は発表時点の表記である。

県ひとつぶんがまとまって入る例が、8つまで来た

動きが大きいのは学校側である。2026年8月5日、noteは青森県教育委員会との連携協定を発表した。対象は青森県の県立高等学校・特別支援学校の計66校と県教委で、ここにnote proが無償で提供される。

この発表のなかで、都道府県単位での一斉導入が全国8例目であることが示されている。先行したのは岩手、福島、新潟、北海道、和歌山、沖縄、千葉の7県だ。1年ほど前の2025年9月2日に協定を結んだ和歌山県の時点では5例目で、県立中学校・高等学校・県立特別支援学校の計60校と、博物館や美術館、図書館を含む県立教育施設6か所が対象になっていた。

千葉県は県立の中学・高校・特別支援学校160校という規模になる。校数の大きい県が加わるたびに全体が跳ねる構造で、教育機関での導入校数は2026年7月末時点で全国1,882校に達している。

一方で、自治体本体がいくつ使っているかという総数は公表されていない。noteの自治体向けページも、全国の県や市町村が利用中という書き方にとどめている。発信の広がりを測るなら、現時点で数字が追えるのは学校側だけだと押さえておきたい。

載っているのは観光案内だけではない

中身を見ると、使われ方は一様ではない。noteの自治体向けページに事例として並ぶのは、長野県の南木曽町と松本市、島根県の海士町、京都市、沖縄県の本部町、沖縄県の竹富町、高知県の越知町、兵庫県の高砂市、新潟県の小千谷市、宮崎県の門川町、鹿児島県の伊仙町、北海道の小樽市である。アカウントの持ち主は観光部門に限らず、海士町はふるさと納税の担当者が書き手として立っている。

そのページが事例の見出しに置いているのは、人口2,250人の町が6,300人のファンを獲得したという海士町の数字だ。町の人口の3倍に近い読み手が付いたという形で、紙の広報では起きにくい比率である。

学校側の導入も、ホームページの置き換えとして進んでいる。福島県では県内99校がnoteを開設し、県教委が学びの情報をまとめたメディアを作っている。新潟県は全県立高校等89校と県教委、岩手県は全県立高校63校と県教委が発信を始めた。沖縄県うるま市では、全市立小中学校26校が公式ホームページにnoteを採用している。

単独の自治体を越えた使い方も現れている。自治体のAI活用ポータルサイトは、横須賀市を含む11自治体が共同で開設した形だ。1団体1アカウントという制約のなかで、複数の自治体が束になって1つの場を作る方法が選ばれている。

学生が書き手に入るときは、権利と表示の線を先に見る

地域の発信に学生が関わる入口として、noteは敷居が低い。アカウントの開設と運用が自治体側で済んでいるため、関わる側は書くことと撮ることに集中できる。大学のゼミやサークルが地域の取材を記事にする場合、媒体を自分たちで立てる手間が消える。

ただし、自治体のアカウントで署名記事を書くことは、個人のブログを書くことと同じではない。記事の著作権が誰に帰属するのか、謝礼が出る場合に広告の表示が必要になるのかは、書き始める前に確認する部分だ。依頼を受けた側が先に読むべき条文は、地域のSNSは誰の広告になるかで整理している。運用方針そのものの作り方は自治体のSNS発信に学生が入るとき、届く相手の実数は地域のSNS発信は誰に届くかで扱った。

もうひとつ押さえたいのは、noteが記事単位で読まれる場だという点である。自治体の公式サイトはトップページから階層をたどる構造だが、noteは1本の記事が検索や回遊で単独に届く。1本ごとに完結した書き方をしないと読まれにくい媒体で、そこは学生の書き手にとって練習になる。地域と関わる入口の探し方はFLASPOでも扱っている。

よくある質問

自治体の職員でなくても無償枠は使えますか。

使えません。対象は都道府県と市区町村、それに学校と教育委員会で、区については東京23区のみが該当します。地域で活動する団体や学生サークルが自分たちの名義で申し込む枠ではないため、関わるなら自治体側のアカウントに書き手として入る形になります。

無償提供はいつまで続くのですか。

終了時期は示されていません。案内では1年契約で以後は自動更新とされており、期限を区切った試用という書き方はされていません。ただし条件が将来も同じとは限らないので、申し込む時点の案内を確かめるのが確実です。

自治体の導入数はどこで調べられますか。

総数を示した公表資料は見つかりません。学校については2026年7月末時点で1,882校という数字が出ていますが、自治体本体の件数は発表されていないため、個別の協定や開設の告知を積み上げるしか方法がありません。

県単位でまとめて入ると、学校ごとの自由度は下がりませんか。

一括導入プランは契約をまとめる仕組みで、記事を書く主体は各校に残ります。和歌山県の例では、県内の学校や施設の記事を一覧できるメディアを県教委側に作り、希望する学校には探究学習での活用を支援するという形が示されています。束ねる層と書く層が分かれている設計です。

独自ドメインの70,000円は、誰が払うのですか。

一括導入プランのオプションとして示されている費用なので、契約する教育委員会側の負担になります。学校数に関係なく同額という条件のため、管轄する学校が多い教育委員会ほど1校あたりの金額は小さくなります。

出典:note株式会社「青森県の県立学校66校がnoteで情報発信を開始」、同「教育委員会向け「note pro一括導入プラン」を提供開始」、同「和歌山県教育委員会がnote proを一括導入」、note「自治体の方へ」。


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