地方PRにXは向いているか|利用率50.3%と4媒体の年代差を見る

地域の公式アカウントを立ち上げるとき、最初に開かれるのはたいていXである。文字で告知が書けて、引用されれば広がりも速い。ところが総務省の情報通信白書で媒体ごとの利用率を並べると、Xは全体の順位でもう二番手以下に落ちている。何をどこに載せるかを決める前に、誰がどの媒体にいるのかを数字で押さえておきたい。

利用率50.3パーセント、Instagramに抜かれた位置

令和7年版の情報通信白書は、X(旧Twitter)とInstagramの利用率の推移を年代別に公表している。2024年の全体の利用率はXが50.3パーセント、Instagramが60.9パーセントだった。10年前の2014年にはXが21.9パーセントで、Instagramの数値はまだ集計の対象になっていない。どちらも伸びたが、途中で追い抜かれたのはXの側である。

連絡手段まで含めるとLINEの存在感が大きい。LINEの利用率は2014年の55.1パーセントから2024年には94.9パーセントへ上がり、60代でも11.3パーセントから91.1パーセントになった。日常の連絡はLINEが土台を占め、開かれた場での発信をXとInstagramが分け合っている、という並びになる。

順位の入れ替わりは、運用の設計にそのまま響く。文字で告知を書くことを前提に体制を組むと、画像と短い動画を軸に見ている人の目には触れないまま終わる。媒体の選択は好みの問題に見えて、実際には届く相手の人数を決めている。

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年代で並べ替えると、Xは20代に寄っている

同じ調査から4つの媒体の2024年の利用率を抜き出すと、年代ごとの偏りがはっきり出る。Xが首位に立つ年代はひとつもなく、20代でInstagramと並ぶのが最も高い位置である。

媒体 10代 20代 30代 40代 50代 60代 全体
YouTube 95.7% 97.2% 97.9% 91.8% 83.0% 71.2% 88.3%
Instagram 75.0% 78.0% 70.5% 67.0% 52.7% 34.7% 60.9%
X(旧Twitter) 62.1% 78.0% 61.6% 48.7% 43.6% 22.1% 50.3%
TikTok 65.7% 58.7% 39.7% 39.9% 25.5% 18.8% 38.0%

読み方で注意したいのは60代の列である。Xは22.1パーセントで、Instagramの34.7パーセント、YouTubeの71.2パーセントから大きく離れている。移住の相談や事業承継の呼びかけのように、決める力を持った年代に届けたい話題をXだけに載せると、相手の8割が初めから圏外にいることになる。

逆に20代だけを狙うなら、Xは78.0パーセントでInstagramと同じ水準にある。学生向けのイベント告知や募集の締切のように、短い文章で時刻と条件を伝える用件は相性がよい。媒体に優劣があるというより、年代の山の位置が違うと考えたほうが設計しやすい。

10代の数字は、5年前から増えていない

Xの全体の利用率は2021年に46.2パーセント、2022年に45.3パーセント、2023年に49.0パーセント、2024年に50.3パーセントと、ゆるやかに上がり続けている。この伸びを支えているのは若年層ではない。50代が2021年の34.3パーセントから2024年の43.6パーセントへ、60代が14.1パーセントから22.1パーセントへ動いた分が大きい。

10代の推移はむしろ逆を向いている。2014年に49.3パーセントだった数字は2015年に63.3パーセント、2017年に67.6パーセント、2019年に69.0パーセントまで上がったあと、2022年に54.3パーセントへ落ち、2024年は62.1パーセントである。10年の幅で見れば増えているが、直近5年では頭打ちというのが実態に近い。

同じ期間に10代のTikTokは2021年の62.4パーセントから2024年の65.7パーセントへ、Instagramは75.0パーセントまで上がった。高校生や大学1年生に向けた発信をXに置いていると、年々ゆるやかに外れていく。学校を通じた募集と並行して使う媒体を決めるときは、この傾向を頭に入れておきたい。

情報を探す場として、どこに置かれているか

利用率が高いことと、情報源として使われることは別の話である。白書は、最も利用しているテキスト系のニュースサービスについて、ポータルサイトによる配信とソーシャルメディアによる配信とキュレーションサービスの合計が、2014年の36.8パーセントから2024年には73.0パーセントへ上昇したと書いている。文字でニュースを読む経路は、10年で大きく移った。

そのなかでのXの位置について、白書は海外の調査を引いている。英国オックスフォード大学の組織が2024年に実施した調査では、日本におけるニュース目的でのソーシャルメディアの利用率はYouTubeとX、LINEが高く、とくにYouTubeは全世代で約3割が使っていると紹介されている。ニュースを探す動きのなかにXが入っているのは確かだが、単独で抜けているわけでもない。

一方で信頼度の評価は厳しい。白書は、インターネットの信頼度がテレビや新聞と比べて全世代で低い水準にとどまると述べている。制度の締切や補助の条件のように、間違えると相手が損をする情報は、投稿で完結させずに自治体のページへ送る形にしておくのが安全である。

Xに向く告知と、向かない告知

ここまでの数字を踏まえると、Xに任せる仕事は絞れる。短い文章で日時と場所と条件が伝わる用件、つまりイベントの開催と中止、道路や公共交通の状況、募集の締切といった時間に縛られた知らせである。20代の利用率が78.0パーセントあるため、学生に向けた一次告知の場としても機能する。

向かないのは、景色や食べ物の魅力を見せる仕事と、60代に決断を促す仕事である。前者はInstagramとYouTubeに利用率の山があり、後者はXの22.1パーセントが足を引っ張る。移住と就業の相談窓口のように幅広い年代を相手にする案件は、紙や広報誌、自治体のページと組み合わせないと抜け落ちが出る。

媒体ごとの届く相手を実数で確かめる手順は地域のSNS発信は誰に届くか|利用率82.3%とステマ規制の線引きに、学生が運用に入るときの線引きは自治体のSNS発信に学生が入るとき|運用方針と届く相手の実数にまとめてある。成果をどの指標で測るかはSNSの数字は地域ブランドのどこを測っているか|観光庁の指標ツリーで確かめるが参考になる。学生が地域の発信に関わる入口についてはFLASPOの事例も見てほしい。

よくある質問

地方PRの媒体をひとつだけ選ぶなら何がよいですか。
年代を問わず最も利用率が高いのはYouTubeで、2024年は全体88.3パーセント、50代までの各世代で8割を超えている。ただし動画は制作の負担が重いため、人手が1人なら更新を続けられる媒体を優先するほうが現実的である。

Xはもう使わなくてよいのですか。
全体の利用率は2024年に50.3パーセントで、国民の半数が使っている。20代では78.0パーセントあり、時間に縛られた告知の経路としては有効である。やめる判断ではなく、載せる内容を選ぶ判断になる。

高校生に届けたいときはどこを使いますか。
10代の利用率はInstagramが75.0パーセント、TikTokが65.7パーセント、Xが62.1パーセントで、YouTubeは95.7パーセントである。Xの10代は2019年の69.0パーセントから下がっているため、単独では頼りにしづらい。

60代に伝えたい情報はどう流せばよいですか。
60代のXは22.1パーセントにとどまる。同じ年代のLINEは91.1パーセント、YouTubeは71.2パーセントなので、公式のLINEアカウントや広報誌、自治体のページを主な経路に置き、Xは補助と考えるのが無理のない設計である。

元の数字はどこで読めますか。
年代別の利用率は総務省「令和7年版 情報通信白書」のコミュニケーションツール・SNSと動画共有・配信サービス、ニュースの経路と信頼度は情報収集手段に掲載されている。原データは同省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」で、数値はいずれも2024年のものである。


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