寄附で地域に関わるという選び方|ふるさと納税の使途10分野を読む

現場に行くことと、お金を出すことは別の回路である

活動したい地域が遠い、授業と予定が合わない、体力的に続かない。ボランティアを探していて止まる理由はだいたいこのあたりに集まる。そこで出てくるもう一つの関わり方が、寄附である。

ふるさと納税は返礼品の話として語られることが多いが、制度としては地方公共団体への寄附である。総務省が令和8年7月31日に公表したふるさと納税に関する現況調査結果によると、令和7年度に寄附を募る際に使い道を選べるようにしていた団体は全体の98.2パーセントにのぼる。つまり、どの分野に向けるかを寄附者の側がほぼ常に指定できる。

ここが、ボランティアの分野を選ぶ作業とつながってくる。災害、環境、教育、福祉と関心の分野がすでにあるなら、同じ分野にお金を向ける道が並んでいるということである。どちらが上という話ではなく、自分が出せるものが時間なのか金額なのかで使い分ける対象になる。

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分野別の受入額を並べると、寄附の集まり方に差が出る

選べるとはいっても、実際にどの分野へ向いているのかは分野ごとにかなり違う。同じ調査には、使途として選択可能な分野ごとの受入額と件数、その分野を掲げている団体数が載っている。

選択可能分野 受入額 受入件数 該当団体
子ども・子育て 約1,948億円 871万件 982団体
地域・産業振興 約995億円 493万件 1,141団体
教育・人づくり 約881億円 404万件 1,001団体
環境・衛生 約650億円 295万件 1,036団体
健康・医療・福祉 約616億円 283万件 1,192団体
まちづくり・市民活動 約588億円 259万件 866団体
観光・交流・定住促進 約338億円 134万件 716団体
スポーツ・文化振興 約313億円 130万件 787団体
安心・安全・防災 約301億円 136万件 690団体
災害支援・復興 約77億円 39万件 242団体

総務省の現況調査(令和7年度実績)より作成した。単位未満は四捨五入している。

表の並びで目につくのは、団体数と受入額の順番が一致しないところである。健康・医療・福祉を掲げている団体は1,192でいちばん多いのに、受入額では6番目に落ちる。逆に子ども・子育ては982団体で、額は他の分野を大きく引き離している。寄附を募る窓口の数と、そこへ実際に向かう額は別の動きをする。

額の大きい自治体がどこかを先に知りたい場合はふるさと納税の自治体ランキングに上位団体の読み方がある。分野から入るか、地域から入るかで調べ方が変わってくる。

災害支援だけは、前の年より小さくなっていた

10分野のうち1つだけ、前年度を下回った分野がある。災害支援・復興である。

令和6年度は約92億円、54万件、296団体だった。令和7年度は約77億円、39万件、242団体となり、額で15億円、件数で15万件、掲げる団体数で54団体減っている。他の9分野が増えているなかでの単独の減少にあたる。

この増減は困りごとの量ではなく、災害が起きた時期と場所で動く。寄附は発生した被害に反応して集まるため、大きな災害の翌年度は数字が膨らみ、落ち着けば引く。だから災害支援の分野を選ぶときは、全国の合計を見て判断するのではなく、いま支援を募っている自治体の募集そのものを見にいくことになる。

手が足りないのは現地での作業だけではない。現場に入るボランティアの受け入れ自体にも運営費がかかり、それを寄附が支える構造になっている。現地で動くほうの手続きと安全の考え方は災害ボランティアはどう動くのかに整理がある。学生のうちは移動と宿泊の自己負担が壁になりやすいので、行ける時期なのかどうかで寄附と使い分けるのが現実的である。

控除されるのはお金で、使った時間は対象に入らない

寄附で関わる場合、税の扱いを一度だけ確かめておくと迷わなくなる。ここはボランティアと寄附が明確に分かれるところである。

国税庁の寄附金控除の説明によると、控除の対象となる「特定寄附金」には、国や地方公共団体に対する寄附金、財務大臣の指定を受けた公益法人等への寄附金、特定公益増進法人への寄附金、認定NPO法人等への寄附金などが挙げられている。ふるさと納税は1番目の地方公共団体への寄附金にあたる。

控除額の計算は、その年に支出した特定寄附金の合計額と、総所得金額等の40パーセント相当額のいずれか低い金額から2,000円を差し引く形になる。寄附者が設備を専属的に利用するなど特別の利益を受ける場合は対象から外れるとも書かれている。

一覧に並んでいるのはすべて金銭や財産の支出である。活動のために自分で払った交通費や、費やした時間そのものは、この特定寄附金の一覧には含まれていない。無償で関わるという選択は税の計算には乗らないということで、見返りの有無で両者を比べる話ではない。有償と無償の線の引き方自体はボランティアと有給活動はどこが違うのかで扱っている。

学生の場合、所得が少なければ控除できる税額も小さくなる。ふるさと納税で得があるかという観点だけで考えると、在学中は旨みが薄い。それでも寄附という回路を知っておく価値があるのは、将来の自分の納税先を選ぶ話になるからで、関わりたい地域を学生のうちに見つけておく意味はここにもある。FLASPOが集めている地域のプロジェクトのように、先に現場を見ておくと寄附先の選び方も具体的になる。

出したあとに報告が返ってくるかどうかで選ぶ

寄附したお金がどうなったかを知れないなら、関わったという実感は残らない。ここも調査で確かめられる。

受入額の実績と活用状況の両方を公表している団体は1,521で全体の85.4パーセント、受入額だけを公表している団体が201で11.3パーセント、どちらも公表していない団体が39で2.2パーセントだった。さらに、寄附金を充てる事業の進捗状況や成果について寄附者に報告していると答えた団体は923で51.8パーセント、寄附者と継続的なつながりを持つ取組を行っていると答えた団体は882で49.5パーセントである。

半分弱は報告まで戻してこないという読み方になる。寄附の前に自治体のページで、過去の寄附がどの事業に充てられたかが書かれているかを見ておくと、この半分のどちら側かが分かる。

同じ調査には、目標金額と募集期間を定めて特定の事業に寄附を募った例も載っている。秋田県はツキノワグマの大量出没を受けて対策の寄附を募り、受入額1,243万円、達成率124パーセントとなった。この募集には返礼品がない。広島県北広島町は未活用の廃校の再生に1,737万円を集め、広島工業大学と連携した教室のリノベーションなどを行い、令和7年度の総来客数が5,000人を超えたと報告されている。返礼品ではなく事業の結果が返ってくる形の寄附が、現にあるということである。

よくある質問

ボランティアの代わりに寄附をしてもいいのか。どちらかを選ばなければならない制度ではない。関心のある分野に向けて寄附を募っている自治体は、健康・医療・福祉で1,192団体、環境・衛生で1,036団体ある。行ける時期には現場に入り、行けない時期は寄附に回すという使い分けができる。

寄附したお金はボランティア団体に届くのか。ふるさと納税は自治体への寄附なので、直接団体に渡るわけではない。自治体が選んだ事業の財源になる。特定の団体を支援したい場合は、認定NPO法人等への寄附が控除の対象として別に用意されている。

災害のときはどの分野を選べばよいのか。災害支援・復興を掲げている団体は242で、分野としては最も小さい。発災時は被災自治体が個別に寄附を受け付けるため、全国の分野別の数字ではなく、その自治体の募集ページを直接見るほうが早い。

学生でも控除は受けられるのか。控除の仕組みはその年に納める所得税と住民税を基準にするため、所得が少ないと差し引ける額も小さくなる。アルバイトの収入だけなら、自己負担が2,000円で収まらない場合がある。寄附そのものは年齢に関係なくできるので、控除の有無と寄附の可否は分けて考えたい。


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