ふるさとワーキングホリデーとは|参加の流れと費用・支援を整理

二週間だけ地方で働いて暮らす枠が、十年続いている

春休みや夏休みに、旅行では足りないが移住には遠い、という時間の使い方を探す学生は少なくない。その中間に当たる枠が国の事業として用意されている。総務省のふるさとワーキングホリデーについての資料によれば、これは都市部の若者などが概ね2週間から1か月のあいだ地方に滞在し、働いて収入を得ながら、地域住民との交流や学びの場を通じて地域での暮らしを体感する取り組みである。2016年4月から2026年3月までの累計参加者は6,856人。単年度で見ると令和6年度が66団体で858名、令和7年度が59団体で877名となっており、受け入れ自治体の数は年によって上下するが、参加者はおおむね年間900人に近づいている。無給の体験ではなく、受入事業者のもとで働いて賃金を得る点が、ほかの地域滞在プログラムとの一番の違いである。資料が参加者側の意味として挙げているのは、稼ぎも住まいも気にすることなく新たな地域で業務経験を積めること、そして豊かな自然環境と時間的ゆとり、新たな交友関係である。働く部分と休む部分を分けずに一つの滞在に収めている点が、名前のとおりである。

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費用をどこまで自治体が持てるかが、先に決まっている

参加者から見て重要なのは、自分の負担がどこで発生するかである。この事業は自治体側の経費に特別交付税措置が付く形で成り立っており、措置の対象経費が三つに区切られている。募集・受付に要する経費、受入準備に要する経費、そして活動支援に要する経費である。三つめの活動支援には、実施団体内の移動費と宿泊費、交流イベント等に要する経費が含まれる。つまり現地での移動と泊まる場所は自治体が組める一方、参加者の飲食費は対象外と明記されている。食費と現地までの往復は自分で見ておく、という線引きになる。

項目 資料に書かれている内容
滞在期間 概ね2週間から1か月
参加者の立場 受入事業者のもとで働いて収入を得る
実施できる自治体 都道府県、三大都市圏外の市町村、大都市圏内のうち条件不利地域など計1,433市町村
財政措置 特別交付税措置、措置率0.5(財政力補正あり)
対象経費の上限 1団体あたり15,000千円+5千円×全参加者の延べ滞在日数
対象外の経費 参加者の飲食費
累計参加者 6,856人(2016年4月から2026年3月まで)

上限額に延べ滞在日数が掛かる形になっているため、短期の参加者を大勢集めるより、長めに滞在する人を受け入れたほうが自治体の枠は広がる。募集要項で2週間以上という下限が置かれていることが多いのは、この設計の反映である。なお国の予算そのものは令和8年度当初で30百万円、令和9年度の概算要求も同額で、事業費の大半は自治体側の措置で動いている。総務省は新しく取り組むことを検討している自治体にノウハウを共有する伴走支援も行っており、受け入れ先は毎年入れ替わる。去年あった自治体が今年は募集していないこともあるので、前年の記事を頼りにしないほうがよい。

働く中身と、交流の中身は別に組まれている

就労先として資料に挙げられているのは、特産品などの農業、旅館やホテル、酒造業、窯業や神社・仏閣用授与品をつくる製造業、スキー場や伝統工芸販売といった観光業である。繁忙期の人手が足りない現場が中心で、受入側には担い手不足の解消と将来の担い手確保という目的がある。学生側から見ると、授業では触れない産業の内側に、客ではない立場で二週間入れる機会になる。農作業そのものを短く試したい場合との違いは、農業体験の種類と選び方と見比べると分かりやすい。

働くだけで終わらせないための時間も別に組まれている。先輩移住者や地域住民との意見交換会、地域の歴史や文化、産業を学ぶツアー、地域イベントの運営体験などが交流の例として並び、地元の大学生が運営するゲストハウスに泊まる自治体もある。滞在中に住民と顔がつながるかどうかで、終わったあとに連絡が続くかが変わる。就労のシフトと交流プログラムの比率は自治体ごとに差があるため、募集要項で何日分が交流に充てられているかを確かめておきたい。

申し込みは、制度名から探すと早い

募集は自治体ごとに出るため、地域名で検索しても見つかりにくい。総務省は専用のポータルサイトを運用して自治体と参加者のマッチングを促しており、まずここで実施自治体と期間を一覧する形になる。あわせて、複数の自治体と参加希望者が集まる合同説明会がオンラインで年4回程度開かれている。資料に載っている今年度の日程は11月の水曜日に2回、19時から21時という設定で、授業や予備校の時間を避けた夜間に置かれている。

段取りとしては、募集・受付の経費の中に応募者との面談と受入企業との調整が含まれている点を踏まえておくとよい。応募してすぐ決まるのではなく、面談を経て受入先が決まるため、長期休みに合わせるなら2か月から3か月前に動き出す必要がある。授業期間を止めてもっと長く入りたい場合は制度の枠から外れるので、休学中の活動の選び方のように学籍の扱いから考える別の設計になる。

終わったあとに何が残るかは、実績から読める

資料には、参加者の約9割が満足、約9割が再訪意向と記されている。満足と再訪意向が同じ水準で並んでいるところが、この事業の性格を示している。参加後に移住・定住へ進んだり、地域おこし協力隊として活躍する例もあるとされ、二週間の滞在が進路の選択肢を一つ増やす入り口として機能している。隊員として入る道の実像は20代30代が6割の地域おこし協力隊にまとめてある。

自治体側の工夫も具体的である。令和7年度に110名を受け入れた宮城県気仙沼市は、都市圏で定期的にファンミーティングを開き、参加後のつながりを保っている。48名を受け入れた新潟県南魚沼市では、参加者が地域運営組織に加わり、翌年度以降は事務局のスタッフとしても動いている。50名を受け入れた徳島県鳴門市では、移住した参加者が地域で起業し、特産品の加工品開発に取り組みながら受入事業者として市に協力している。32名の長野県伊那市は、元参加者である地域おこし協力隊が応募者の事前面談を担い、移住意向の強い人を受け入れて高い移住率を実現した。4名という小さな枠の茨城県水戸市は、地域企業と連携して内定直結型のプログラムを設計している。人数の多い自治体ほど良いとは限らず、枠の小ささが密度につながっている例もある。

よくある質問

学生でも参加できるのか。事業の説明は都市部の若者などを対象としており、社会人の長期休暇や離職中の人も含まれる。年齢の上限が一律に決まっているわけではなく、募集要項ごとに対象が書かれる仕組みである。学生に限った枠や、逆に就労経験を求める枠もあるため、関心のある自治体の要項で対象の欄を先に読むのが確実である。

交通費は出るのか。特別交付税措置の対象経費に含まれているのは実施団体内の移動費で、自宅から現地までの往復は一般に自己負担である。ただし自治体が独自の予算で一部を補助している場合もあり、ここは要項の差が大きい。宿泊については滞在場所確保に要する経費が措置の対象に入っているため、無料か低額で用意されていることが多い。

単位になるのか。この事業自体に単位は付かない。大学が実習科目として組んでいるか、大学以外の施設での学修として認定する制度を持っているかで扱いが変わる。大学設置基準は、大学以外の教育施設等における学修を授業科目の履修とみなして単位を与えられると定めており、他大学での履修分と合わせて60単位までという上限を置いている。使えるかどうかは教務の窓口でしか確かめられない。

同じ地域に二度行く意味はあるのか。受け入れ側の事例を見ると、二度目以降の関わりが前提に組み込まれている。ファンミーティング、地域運営組織への参加、事務局スタッフとしての関与は、いずれも一度の滞在では生まれない。学生と地域の接点を長く持ちたい人は、FLASPOが自治体と進めている取り組みのように、滞在のあとに続く仕組みがあるかどうかを選ぶ基準に入れるとよい。


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