SDGsをテーマにした学生コンテスト|課題の選び方と企画の組み立て

目標番号を貼るだけの企画が、最初に落ちる

SDGsを掲げた学生向けの大会は年々増えたが、応募書類の多くが同じ形で止まっている。思いついた活動に後から目標番号を貼り付け、「目標11に貢献します」と書いて終わる形だ。これが通らないのは、審査する側が2030アジェンダの考え方を前提にしているからである。内閣官房がまとめたSDGs実施指針は、17の目標について「相互に関連しており、統合された解決が必要」であると2030アジェンダに明記されている点を引いている。

ここが出発点になる。一つの目標だけを切り出して解こうとする企画は、その構造から外れてしまう。たとえば食品ロスを減らす案を出すなら、目標12の消費と生産にとどまらず、出た余剰が誰に届くのか、運ぶ手間を誰が負うのかまで線がつながっているかを問われる。番号は企画の結論ではなく、課題の位置を示す住所にすぎない。先に解きたい課題を具体的に決め、後から関係する目標を並べる順番にすると、書類の説得力が変わる。

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国の実施指針が挙げる五つの原則が、そのまま審査の観点になる

何を書けば評価されるのかは、推測しなくても公開されている。SDGs実施指針は、日本がSDGsの実施で主要原則としてきたものとして、普遍性、包摂性、参画型、統合性、透明性と説明責任の五つを挙げている。普遍性は国内の実施と国際協力を有機的に結ぶこと、包摂性は「誰一人取り残さない」こと、参画型は多様な関係者が加わること、統合性は有機的な連動と統合的な解決、透明性と説明責任は定期的な評価と公表を指す。

この五つは、企画書で問われることと重なっている。誰のための取り組みかが包摂性、誰と組むのかが参画型、どう測って示すのかが透明性と説明責任に当たる。学生の応募で抜けやすいのは最後の一つで、活動の熱意は書けていても、何をどの間隔で測るのかが空欄のまま提出される。

主要原則 指針が示す中身 企画書で問われること
普遍性 国内実施と国際協力の有機的連携 地域の話を外にも開けるか
包摂性 誰一人取り残さない 最も届きにくい人に届くか
参画型 ステークホルダー等の参画 誰と組んで進めるのか
統合性 有機的連動と統合的解決 複数の課題がつながっているか
透明性と説明責任 定期的な評価・公表 何をどう測り、どこに出すか

日本が弱いと自認している二つの原則に、差をつける余地がある

同じ実施指針には、踏み込んだ自己評価が書かれている。国内外の諸課題は、五つの主要原則のうち「特に②包摂性及び④統合性について課題を抱えていることを示している」という一文だ。国の文書が、自国の取り組みで足りていない部分を名指ししている。

応募する側から見れば、ここは狙いどころになる。包摂性で差をつけるなら、支援が届きやすい層ではなく、制度の隙間にいる人に焦点を合わせる。統合性で差をつけるなら、一つの活動が二つ以上の課題に同時に効く設計にして、その経路を図で示す。多くの応募が同じ目標番号に集まる中で、この二点を意識した企画は少数派のまま残っている。審査員が物足りなさを感じている箇所に、そのまま応えられるということだ。SDGsの取り組み事例を主体別に整理した記事で、自治体や企業がどこを手がけているかを先に把握しておくと、重複を避けやすい。

ジャパンSDGsアワードは終了している

応募先を調べるとき、古い情報に当たらないよう注意が必要な制度がある。国の表彰として知られたジャパンSDGsアワードは、すでに終了した。2023年12月の実施指針改定版が「創設時の政策的意義を果たしたと考えられることから、今後のあり方については別途検討する」と記し、その後SDGs推進本部で検討した結果、2024年12月25日付で終了が公表されている。第7回が最後の回で、SDGs推進本部長である内閣総理大臣賞を一般社団法人WheeLogが受けている。

それでも、この表彰の枠組みは読む価値が残る。表彰は功績の程度で三段階に分かれ、極めて顕著な功績に推進本部長賞、特に顕著な功績に副本部長である内閣官房長官及び外務大臣の賞、特筆すべき功績に特別賞が与えられる形だった。応募の単位が活動ではなく企業・団体等であり、1団体につき1件までとされていた点も、民間の学生向け大会の設計に引き継がれている。終わった制度の基準が、いまの審査の下敷きになっていることは珍しくない。

課題は八つの優先分野から探すと外れにくい

テーマが自由なほど、何を選ぶかで迷う。手がかりとして、実施指針は八つの優先課題を引き継いでいる。あらゆる人々が活躍する社会とジェンダー平等の実現、健康・長寿の達成、成長市場の創出と地域活性化および科学技術イノベーション、持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備、省エネルギーと再生可能エネルギーおよび防災・気候変動対策と循環型社会、生物多様性と森林・海洋などの環境の保全、平和と安全・安心社会の実現、そして実施推進の体制と手段である。

この八つと並んで、指針は2030アジェンダが掲げる五つのPを根幹的な考え方として引き継いでいる。People(人間)、Planet(地球)、Prosperity(繁栄)、Peace(平和)、Partnership(パートナーシップ)の五つで、課題を分野で切る見方とは別の軸になっている。自分の企画がどのPに重心を置いているのかを一度言い当てておくと、審査員への説明が短くなる。環境の話に見えて実は人の暮らしの話だった、という整理ができると、企画の芯が定まる。

学生が当事者として語れる領域は、この中に必ず見つかる。指針はユースについても、2030アジェンダやその後の社会のあり方に関する議論の中核を担う存在と位置づけ、2018年12月に「次世代のSDGs推進プラットフォーム」が立ち上がり、2021年からはユースの代表が円卓会議に参加していると記している。若い世代の発言の場は制度として用意されており、大会への応募はその入り口の一つになる。企画を形にする段では、学生の活動を扱うFLASPOのような媒体が集めた事例も参考になるが、まずは自分が日常で引っかかっている違和感を一つ選ぶところから始めたい。

よくある質問

目標はいくつ挙げるのが適切か。数で競うものではないため、本命を一つ決め、関係する目標を二つ程度添える形が読みやすい。統合性が問われるとはいえ、無関係な番号を並べると論点がぼやける。

活動実績がないと応募できないのか。構想段階で応募できる大会もあるが、その場合は実現の手順と協力先の目処が代わりに見られる。実績がない分は、測り方の具体性で補うことになる。

数字はどこから取るべきか。官公庁の統計や白書に当たるのが基本で、出典と年次を書き添える。推計を使うなら、推計であると明記したほうが信頼される。

チームで応募する場合、役割はどう書くか。誰が何を担当したかを明示すると参画型の観点に答えられる。人数を揃えるためだけに名前を並べると、質疑で担当を聞かれた際に答えられず、かえって評価を落とす。

審査で落ちる典型はどこか。課題の大きさに対して打ち手が小さすぎる場合と、逆に打ち手が壮大で誰が担うのか書かれていない場合の両方がある。コンテスト向け企画書の書き方を踏まえ、規模と担い手を一致させておくと避けられる。分類ごとの違いは学生コンテストの種類別攻略にまとめている。

出典:SDGs実施指針改定版(2023年12月19日)/ジャパンSDGsアワードの終了について/第7回ジャパンSDGsアワードの結果


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