移住を考えている県に隊員が何人いるのか、知りたくなって検索すると、年度の古い一覧や出典の書かれていない表ばかりが並ぶ。もとになる資料は一つしかなく、毎年春に総務省が出している。どこを見れば最新の人数に届くのか、数はこの十数年でどう動いてきたのか、読むときに外してはいけない注記は何か。地域別の人数を自分で確かめられるところまで順にたどる。
人数が更新されるのは年に一度、春の公表だけ
協力隊の全国の人数は、総務省地域力創造グループが毎年とりまとめて公表している。直近の公表は令和8年4月24日で、令和7年度の隊員数は総務省の報道資料によると8,196人、前年度から286人増えた。受け入れている自治体は1,187団体で11団体の増加である。
1,187団体の内訳は、20の道県と1,167の市町村に分かれる。都道府県が直接隊員を雇う形も残っているということで、市町村だけを数えると数字が合わなくなる。母数にあたる受入可能自治体は1,461団体あり、実際に取り組んでいるのはその約81パーセントにとどまる。同じ日に「定住状況等に係る調査結果」も出るので、人数と任期後の行き先は一組で確かめられる。
注意したいのは更新の頻度である。年に一度しか動かないため、年度の途中に新しく着任した隊員は次の春まで数字に出てこない。募集サイトに並ぶ件数と資料の人数がかみ合わないのは、集計の時点がずれているからで、どちらかが間違っているわけではない。
累計で見ると、令和7年3月31日までに任期を終えた隊員は15,045人になった。前回の公表からの増加は2,363人で、毎年それだけの人が制度を離れて次の暮らしに移っている計算になる。いま活動している8,196人という数字は、この流れの断面をある年の時点で切り取ったものにすぎない。
17年で89人から8,196人へ、増え方には段がある
制度が始まった平成21年度の隊員は89人、受け入れた自治体は31団体だった。そこから十数年で隊員は92倍、自治体は38倍になっている。ただし伸び方は一本調子ではない。
| 年度 | 隊員数(人) | 取組自治体数(団体) | 1自治体あたり(人) |
|---|---|---|---|
| 平成21年度 | 89 | 31 | 2.9 |
| 平成25年度 | 978 | 318 | 3.1 |
| 平成27年度 | 2,799 | 673 | 4.2 |
| 平成30年度 | 5,530 | 1,061 | 5.2 |
| 令和元年度 | 5,503 | 1,071 | 5.1 |
| 令和2年度 | 5,560 | 1,065 | 5.2 |
| 令和3年度 | 6,015 | 1,085 | 5.5 |
| 令和5年度 | 7,200 | 1,164 | 6.2 |
| 令和6年度 | 7,910 | 1,176 | 6.7 |
| 令和7年度 | 8,196 | 1,187 | 6.9 |
平成26年度から平成29年度にかけての3年間で1,629人が4,976人へと3倍になり、平成28年度には前年から1,291人増えた。ところが平成30年度の5,530人から令和2年度の5,560人までの3年間はほぼ横ばいで、令和元年度には前年を27人下回っている。再び増勢に戻るのは令和3年度からで、令和5年度に7,200人、令和6年度に7,910人と積み上がった。
自治体の数は伸び止まり、一か所あたりが厚くなった
表の右端の列が、近年いちばん動いている数字である。令和元年度に5.1人だった1自治体あたりの隊員数は、令和7年度に6.9人まで上がった。
同じ期間に取組自治体は1,071団体から1,187団体へ116団体しか増えていない。つまり直近の増加分は、新しく始めた自治体ではなく、すでに受け入れていた自治体が人数を増やしたぶんで説明がつく。受入可能とされる1,461団体のうち274団体は、いまだに一人も迎えていない。
応募する側にとって、この変化は悪い話ではない。同じ自治体に複数の隊員がいれば、業務の引き継ぎや住まいの手配に前例があり、困ったときに相談できる相手も庁内にいる。逆に初めて受け入れる自治体では、配属先の仕事が固まっていないことがある。地域に入ってからの一日の動き方は協力隊の仕事内容を整理した記事にまとめてある。
地域別の人数は、資料の三つの図を順に開く
自分の気になる県の数を知りたいだけなら、公表資料のPDFを上から読む必要はない。見る場所は三つに絞れる。
一つ目が都道府県別の棒グラフで、47都道府県の受入隊員数が並び、上位10団体には人数が書き添えてある。令和7年度なら北海道の1,374人を頭に、長野県477人、島根県386人、福島県351人、岩手県348人と続く。二つ目が市町村別の一覧で、県ごとに「隊員数」と「受入自治体数」が添えられているため、県の合計と内訳の両方がここで取れる。三つ目が都道府県別の任期終了者数と定住率の表である。
この三つをそろえると、人数の多い地域が必ずしも残りやすい地域ではないことが見えてくる。順番としては、県の人数で候補を広く取り、自治体数で散らばり方を確かめ、最後に定住率で任期後の見通しを見る流れが扱いやすい。任期を終えた人がどんな条件で残っているかは卒業後の定住を扱った記事が詳しい。
定住状況の資料まで開くと、任期後の中身まで下りられる。直近5年間で活動した市町村にそのまま残った5,038人のうち、起業が2,296人で約46パーセント、就業が1,753人で約35パーセント、就農や就林が583人で約12パーセントという構成である。就業の内訳では自治体職員や集落支援員などの行政関係が480人で最も多い。地域の人数を調べる目的が任期後の暮らしにあるなら、ここまで見ておくと判断の材料が増える。
数字に添えられた注記を落とすと比較がずれる
公表資料のグラフには、本文に出てこない小さなかっこ書きが付いている。これを無視すると、年度をまたいだ比較が狂う。
かっこの中は、新型コロナウイルスの影響で任期が延びた隊員の人数である。令和4年度は81人、令和5年度は271人、令和6年度は463人がこれに当たり、令和7年度は2人まで減った。令和6年度までの総数には、本来なら任期を終えていた隊員が数百人単位で含まれていたことになる。もう一つ、平成26年度から令和3年度までの隊員数には、農林水産省の旧「田舎で働き隊」から名称を統一したぶんが入っている。
定住率の表にも分母の罠がある。全国では直近5年間に8,762人が任期を終え、6,163人が同じ地域に残って70.3パーセントとなるが、県単位では任期終了者が3人という例もある。割合だけを県ごとに並べて順位をつけると、数人の進退が全体の印象を決めてしまう。人数と割合は必ず一緒に見たい。
よくある質問
去年の資料と今年の資料で、同じ県の人数が減っていることがあるのはなぜか。任期は原則3年なので、直近5年間だけで8,762人が任期を終えており、年に1,700人前後が入れ替わっている。新しく着任した人数より任期を終えた人数が多ければ、県の人数は前年を下回る。令和元年度に全国で27人減ったのも同じ理由による。
市町村ごとの人数まで分かる資料はあるか。公表資料の市町村別一覧に、受け入れている1,167市町村すべての人数が載っている。1人の自治体から数十人の自治体まで幅があるので、県の合計だけで判断せず、候補の市町村まで下りて確かめたい。
隊員の年齢層はどのあたりか。令和7年度の構成では20代が33.6パーセント、30代が30.1パーセントで、この二つで6割を超える。40代が20.1パーセント、50代が11.5パーセント、60歳以上も4.4パーセントいる。男女比は男性59.7パーセント、女性40.3パーセントである。若い世代の任期後については20代30代の隊員を追った記事で整理した。
いきなり3年の任期に入る前に試す方法はあるか。短期で地域に入るおためしとインターンの枠がある。令和7年度の参加者はおためしが1,450人、インターンが1,414人で、前年度からそれぞれ26パーセント、35パーセント増えた。資料の人数には含まれない入口なので、地域と関わる最初の一歩としては数字以上に動きがある。
数を調べたうえで、どこから動けばよいか。候補の市町村が絞れたら、募集が出ていない年でも担当課に問い合わせておくと翌年の採用に間に合うことがある。移住までは決めきれない段階なら、FLASPOのような仕組みで地域との接点を先に作っておくと、数字の向こう側にある暮らしの条件が見えてくる。
アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。
FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。
賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。
