寄附5件に1件以上が九州へ向かっている
申込みの画面で返礼品を並べていると、宮崎や鹿児島の肉、福岡のいちご、佐賀の牛肉が次々に出てくる。その印象は数字の裏づけがある。総務省が令和8年7月31日に公表したふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)によると、令和7年度に九州7県(県分と市町村分の合計)が受け入れた寄附は2,739.4億円で、全国1兆3,314.3億円の20.6%を占めた。
件数で見ると比重はさらに重い。7県の受入件数は1,383万550件にのぼり、全国5,963万件の23.2%にあたる。寄附5件のうち1件以上が九州のどこかに向かっている計算になる。受入額1位の北海道が1道で14.2%だから、面としての厚みは九州のほうが上ということになる。
額の比率より件数の比率が高いのは、1件あたりが低いからである。7県の平均は約19,800円で、全国平均の約22,300円を2,500円ほど下回る。高額帯で勝負するのではなく、手を出しやすい価格帯の品を数多くそろえて件数を積むという集め方が、地域全体の傾向として表れている。
7県の数字を並べる
県ごとの実績は次のとおりである。1件あたりは受入額を受入件数で割った値で、前年度比は令和6年度の実績との比較になる。
| 県 | 受入額 | 受入件数 | 1件あたり | 受入額の前年度比 | 件数の前年度比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 宮崎県 | 624.7億円 | 3,103,043件 | 約20,100円 | +7.2% | +5.0% |
| 福岡県 | 602.1億円 | 3,428,050件 | 約17,600円 | +7.5% | +1.4% |
| 鹿児島県 | 439.9億円 | 2,319,586件 | 約19,000円 | +2.2% | +2.3% |
| 熊本県 | 407.2億円 | 1,900,556件 | 約21,400円 | +4.9% | -7.3% |
| 佐賀県 | 364.4億円 | 1,834,466件 | 約19,900円 | +0.3% | -6.9% |
| 長崎県 | 173.0億円 | 698,131件 | 約24,800円 | -1.4% | -9.0% |
| 大分県 | 128.2億円 | 546,718件 | 約23,400円 | +8.4% | +9.5% |
| 7県の合計 | 2,739.4億円 | 13,830,550件 | 約19,800円 | +4.6% | -0.4% |
上位2県は宮崎と福岡で、どちらも600億円台に乗っている。全国では宮崎県が2位、福岡県が3位につけており、北海道に続く位置を九州の2県が分け合った。3位の鹿児島県から5位の佐賀県までは360億円台から440億円台に固まっていて、順位ほどの差はない。
件数の動きには傾向が出ている。熊本・佐賀・長崎の3県は件数を7%から9%落としながら、受入額はほぼ前年度の水準を保った。熊本県の1件あたりは約18,900円から約21,400円へ、長崎県は約22,900円から約24,800円へ上がっている。申込みの回数が減り、1回の額が厚くなったという共通の動き方である。
宮崎県は2つの市で県の6割近くを集めた
九州の数字を細かく見ていくと、県よりも市町村の単位で動いていることがわかる。全国の受入額上位20団体に九州から入ったのは2つで、3位の宮崎県都城市が216.5億円、6位の宮崎市が143.1億円だった。
この2市を足すと359.6億円になり、宮崎県624.7億円の57.6%を占める。件数でも178万2,205件で県の57.4%にあたる。県全体が強いというより、2つの市が県の数字を押し上げているという構造になっている。都城市の1件あたりは約20,500円、宮崎市は約19,800円で、どちらも県平均に近い。
都城市は肉と焼酎、宮崎市は肉と果物というように、品目はある程度重なっている。それでも共倒れにならずに両方が上位に残っているのは、同じ品目でも価格帯と量目の刻み方を変えているためと見られる。上位団体の設計についてはふるさと納税の自治体ランキング2026|受入額上位20団体の読み方でも扱った。
逆の形になっているのが鹿児島県と熊本県である。439.9億円と407.2億円を集めながら、上位20団体にはどちらも名前が入らなかった。20位の新潟県南魚沼市が69.0億円なので、両県とも最大の団体がその額に届いていないことになる。1つの市に寄らず、県内の多くの市町村が数十億円ずつを積み上げた結果と読める。寄附先を探す側から見れば、名の知れた自治体以外にも候補が広がっているということでもある。
福岡県だけは受け手と出し手を兼ねている
九州の中で福岡県の立ち位置は少し違う。受入額602.1億円は7県の2位だが、同時に令和8年度課税の住民税控除額が316.9億円あり、控除を受けた人は42万6,902人にのぼる。7県の控除額の合計590.5億円のうち、半分以上が福岡県から出ている。
内訳をたどると福岡市に集中している。市区町村別の控除額で福岡市は120.6億円、控除適用者18万2,239人で全国7位に入った。県の控除額の38.0%が市内から出ている。政令指定都市を抱える県は住民税の流出も大きくなるという、都市部と同じ構図がここに重なる。
差し引きで見ると、福岡県に残るのは285.2億円である。宮崎県の589.0億円や鹿児島県の385.8億円と比べると、受入額の規模のわりに手元に残る額は小さい。7県全体では2,148.9億円が残る計算で、この差額が地域の事業に回っていくことになる。控除の仕組みそのものはふるさと納税の仕組み完全解説|3つのメリットと控除の計算方法にまとめた。
九州の寄附先をどう選ぶか
1件あたりが低いという特徴は、使う側から見ると選択肢の広さになる。控除の上限が3万円台でも候補が多く、上限が大きい人なら複数の県に分けて申し込める。肉なら宮崎と鹿児島、魚介なら長崎、柑橘やいちごなら福岡と熊本というように、品目で地域が分かれているのも分けやすい理由になる。
時期の見当もつけておきたい。件数が多い自治体は発送の体制ができている反面、人気の品は早い段階で締め切られる。年末に探し始めると残っている候補が限られるので、上限額がわかった時点で動くほうが選べる幅は広い。返礼品の見比べ方はふるさと納税の返礼品人気ランキング2026|選び方5つの基準が参考になる。
使い道から入る方法もある。現況調査では令和7年度に1,749団体、全体の98.2%が寄附の使途を選べるようにしており、目標額と期間を定めて事業ごとに募るクラウドファンディング型は516団体が1,547の事業で333億円を集めた。品で選ぶか事業で選ぶかによって、同じ金額でも地域との距離は変わる。関わり方の入り口はFLASPOにもそろっている。
よくある質問
九州の返礼品は他の地域より安いのですか。品が安いというより、低めの価格帯をそろえている自治体が多い。7県の1件あたりは約19,800円で全国平均を2,500円ほど下回るが、高額帯の品が無いという意味ではない。
宮崎県と鹿児島県はどちらが肉の選択肢が多いですか。現況調査は品目別の件数を示していないため、資料からは判断できない。受入件数は宮崎県が310万件、鹿児島県が232万件で、扱い量としては宮崎県が上回る。
福岡県に寄附する意味はありますか。ある。受入額602.1億円は全国3位で、県内には寄附を募っている市町村が多く並ぶ。住民税の流出が大きい県であることと、寄附先として適しているかどうかは別の話になる。
7県に分けて寄附すると申告が必要になりますか。年間の寄附先が5団体を超えるとワンストップ特例が使えなくなり、確定申告が必要になる。7県すべてに分けるなら申告を前提に考えておきたい。
この数値の出どころはどこですか。総務省が毎年7月末に公表する現況調査である。令和8年度実施分には令和7年度の受入実績と令和8年度課税の控除実績が都道府県別に収録されており、上位20団体の一覧も同じ資料に載っている。
大分県だけ件数も額も伸びているのはなぜですか。件数が9.5%、額が8.4%と両方が増えており、申込みそのものが増えた形になる。理由までは資料に書かれていないが、7県のなかでは件数の伸び幅が最も大きい。
アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。
FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。
賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。
