在学中にカードを持つべきかを調べると、年会費や特典の比較ばかりが出てくる。その手前に、学生という立場で何が変わるのかという論点がある。契約の年齢、審査の中身、名義の扱い。この三つは制度の側で決まっているので、好みの問題にはならない。
22歳以下の契約が763万件まで増えている
日本クレジット協会がまとめた年代別の契約数を見ると、2025年12月末時点で22歳以下の契約は763万件あった。全体の契約数30,524万件に対する構成比は2.5%である。数としては少数派だが、増え方は急だ。2021年12月末の458万件から4年で1.67倍になっている。
前年比を並べるとその勢いがわかる。22歳以下は2022年が15.1%増、2023年が18.2%増、2024年が13.8%増、2025年が7.7%増と4年続けて伸びた。同じ期間の全体の伸びは3.2%、2.8%、3.5%、2.5%にとどまる。若い層の契約だけが、全体の数倍の速さで増えてきたことになる。この統計は、割賦販売法に基づく指定信用情報機関である株式会社シー・アイ・シーに登録された実数を集計したもので、調査対象は263社だ。
増えた背景として大きいのは、次の節で触れる年齢の線の移動だろう。ただ、数が増えたからといって持ち方が共有されているわけではない。制度の上で何が許され、何が許されないのかを押さえておかないと、増加の数字に流されることになる。
18歳という線は、民法が引いたもの
カード会社の案内に「18歳以上」と書かれているのは、各社が申し合わせた結果ではない。法務省の説明によると、民法の成年年齢は20歳から18歳に引き下げられ、2022年4月1日から施行されている。成年年齢には「単独で契約を締結することができる年齢」という意味があり、親権に服することがなくなる年齢でもある。
日本クレジット協会が示す支払手段の比較でも、クレジットカードの利用者は一般的に18歳以上と整理されている。前払いの電子マネーのように誰でも使えるものや、口座名義人であれば年齢制限のないデビットカードとは、ここが違う。後払いという仕組みが成り立つには支払う能力への信用が必要で、その信用を自分の名前で引き受けられるかどうかが年齢の線になっている。
実務の条件は会社ごとの審査基準で決まるため、18歳になれば必ず持てるわけではない。学生向けの枠を設けている会社もあるが、どの枠に当てはまるかは申込先の会員規約に書かれている。年齢の線は法律が引き、その内側でどこまで認めるかは各社が決めるという二段構えだと理解しておけば、案内文の違いに戸惑わなくなる。基礎的な仕組みはクレジットカードとはで扱っているので、契約の形から確かめたい場合はそちらが入口になる。
審査では何を見られているのか
申し込んで待つあいだ、何が調べられているのかはわかりにくい。日本クレジット協会は審査の手順を五つの段階として示している。申込書に書いた氏名や住所、勤務先などを確かめる書類審査、本人確認と申込意思の確認と在籍確認を行う確認業務、自社での過去の取引状況を見る取引履歴の確認、信用情報機関を使って他社での利用状況を見る段階、そして総合判断による可否の決定である。順番は前後することもあるという。
信用情報機関に登録されている内容も公表されている。本人を識別するための氏名や生年月日、住所、電話番号などの事項、契約の種類や契約年月日、商品名、契約額、支払回数、入金履歴、残債額などの取引事実に関する事項、そして本人申告コメントのような申込内容に関する事実だ。協会は、これらが契約に関する客観的な事実であり、思想や信条、趣味などは含まれていないと明記している。
覚えておきたいのは、所定の手続を取れば自分の信用情報を確認でき、事実と異なる情報が登録されていれば訂正や削除を求められるという点だ。ただし請求できるのは登録されている本人に限られる。審査に通らなかったときに理由を推測して落ち込むより、自分の記録を確かめるほうが具体的な手が打てる。
最初に決めるのは支払方式である
カードを選ぶ段階より、支払方式を決める段階のほうが家計への影響は大きい。同協会の整理では、購入した翌月に一括で支払う1回払い、いわゆるマンスリークリアには一般に手数料がかからない。翌ボーナス時期に一括で支払うボーナス一括払いも同様で、支払い時期は通常、夏が7月か8月、冬が12月か1月となる。
これに対し、支払回数と月々の額を決めて払う分割払いには、利用金額や支払回数に応じた手数料がかかる。リボルビング払いは月々の支払額を一定額または残高に対する一定率に決めておく方式で、手数料は残高に応じて計算される。協会はその特徴を、利用の仕方にかかわらず月々の支払いが常に一定であることと、残高があるかぎり支払いが終わらないことだと説明している。多くのカードは、残高に対応して月々の支払額が決まる残高スライド定額リボルビング方式を採っている。
在学中は収入の変動が大きい。月々の額が一定という性質は、入ってくる額が読めない時期にはむしろ危うい。初期設定が1回払いになっているかを明細で確かめ、意図せずリボルビングになっていないかを見ておきたい。支出そのものの整え方は大学生のお金管理と節約で扱っている。
名義と貸し借りには動かせない線がある
同じ年代別の統計で、22歳以下の763万件の内訳は男性329万件、女性284万件、記入なし150万件だった。全体の年代構成は次のとおりで、若い層が占める位置がはっきりする。
| 年代 | 契約数(2025年12月末) | 構成比 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| ~22歳 | 763万件 | 2.5% | 7.7%増 |
| 23〜30歳 | 2,994万件 | 9.8% | 5.0%増 |
| 31〜40歳 | 4,316万件 | 14.1% | 2.4%増 |
| 41〜50歳 | 5,483万件 | 18.0% | 1.0%減 |
| 51〜60歳 | 6,733万件 | 22.1% | 2.3%増 |
| 61歳〜 | 10,234万件 | 33.5% | 3.7%増 |
| 計 | 30,524万件 | 100.0% | 2.5%増 |
注意したいのは名義の扱いだ。協会の比較表では、クレジットカードは名義人のみが利用でき、他者への譲渡や貸与はできないと整理されている。チャージした範囲で誰でも使える電子マネーとは性質が違う。友人に頼まれて立て替えるつもりでカードを渡す行為は、規約の前提から外れる。
家族カードは別の枠組みで、2025年3月末時点の発行枚数3億2,057万枚のうち2,505万枚がこれにあたる。家族カードであっても、カードごとの名義人以外が使えない前提は変わらない。利用できるのは有効期限と利用可能枠の範囲で、会員規約を守ることが条件になっている。
よくある質問
収入がない学生でも審査に通るのかという質問が多い。審査は後日支払ってくれるかどうかを見極めるために行われ、カードの場合は有効期間内に適切に利用できるかという視点で判断される。協会は五つの段階を示しているが、各社の基準そのものは公表されていないため、通るかどうかを事前に確かめる方法はない。
親の同意は必要かという問いには、法律上の位置づけが2022年4月に変わったと答えられる。成年年齢が18歳になったことで、単独で契約を締結できる年齢も18歳になった。ただし会社ごとに学生向けの申込条件を定めている場合があるので、申込先の案内を読むのが確実だ。
限度額はどう決まるのかという疑問もある。利用可能枠は申込時の審査を踏まえて会社が設定するもので、利用者が自由に決められるものではない。枠の範囲内であれば繰り返し使えるという性質が、一件ごとに申し込む個別方式との違いになる。
在学中に持つ意味はあるのかという声もある。22歳以下の契約が4年で1.67倍に増えた事実は、同じ年代の多くがすでに持っていることを示す。地域での活動や挑戦に動くときの支払手段をどう用意するかという観点で考えるなら、FLASPOのような場に関わる前に記録の形を決めておくと迷いが減る。
出典:一般社団法人日本クレジット協会「クレジット関連統計」、同「クレジット会社の審査」、同「クレジットの支払方式の種類」、法務省「民法の一部が改正され、成年年齢が18歳になります」
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