10代と20代のあいだに、会う頻度の段差がある
卒業してしばらく経つと、友人の数は変わっていないのに会う回数だけが激減している。この感覚は統計にそのまま現れる。内閣府の孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和7年)は、同居していない家族や友人たちと直接会って話す頻度を年齢階級別に集計している。満16歳以上の2万人を対象に令和7年12月1日時点で実施し、有効回答は11,873人(有効回答率59.4%)である。
「週4〜5回以上」と答えた割合は、全体では15.6%にとどまる。ところが16〜19歳では男性67.7%、女性73.1%に達する。20歳代になるとこれが男性19.9%、女性17.1%へ落ちる。10代の7割前後が週4日以上の頻度で人と会っているのに、20代では2割を切る水準になる。4年前後のあいだに起きる変化としては大きい。
逆の端も動いている。直接会って話すことが「全くない」と答えた割合は、16〜19歳で男性5.8%、女性2.9%だが、20歳代では男性11.8%、女性10.0%へ上がる。全体の9.7%を超える水準である。10代の高い頻度は本人の社交性ではなく、学校という毎日同じ場所に集まる仕組みが支えていた。その仕組みが外れたあとに何が残るかが、20代の数字に出ている。
頼る相手は、年齢とともに友人から入れ替わる
同じ調査は、困った時に頼れる人が「いる」と答えた人(全体の91.6%)に相手の種類を複数回答で尋ねている。全体では家族・親族が95.3%、友人・知人が54.2%、職場の同僚や学校の先生といった仕事・学校関係者が20.6%である。これを年齢で割ると、若い層だけが違う形をしている。
| 年齢 | 友人・知人(男性) | 友人・知人(女性) | 仕事・学校関係者(男性) | 仕事・学校関係者(女性) |
|---|---|---|---|---|
| 16〜19歳 | 76.3% | 84.9% | 37.5% | 34.9% |
| 20〜29歳 | 72.1% | 73.8% | 33.9% | 28.3% |
| 30〜39歳 | 56.1% | 66.7% | 35.8% | 29.1% |
| 50〜59歳 | 48.3% | 61.9% | 31.3% | 27.5% |
| 80歳以上 | 29.7% | 33.6% | 2.0% | 1.2% |
友人・知人を挙げる割合は10代で最も高く、そこから年齢に沿って下がり続ける。男性では16〜19歳の76.3%から80歳以上の29.7%まで、46.6ポイント落ちる。女性も84.9%から33.6%へ、51.3ポイント落ちる。一方で家族・親族は全年齢で9割台を保つ。若者にとって友人が占める比重は人生で最も大きく、その後はゆっくり家族と医療機関に置き換わっていく。
注意したいのは、20代の72.1%と73.8%がまだ高いことである。頼れる相手として友人を挙げられる状態は20代まで続く。崩れるのは30代に入ってからで、男性は56.1%まで一段下がる。会う頻度が落ちた時点ではなく、その数年後に相手の構成が変わる。
孤独感が強まるのは10代ではなく20代である
若者の孤独は10代の問題として語られやすいが、調査結果のポイントの年齢階級別の集計は違う順番を示している。孤独感が「しばしばある・常にある」「時々ある」「たまにある」のいずれかに当たる人を合わせると、16〜19歳は32.5%で、全体の37.7%より低い。全年齢で最も低い水準である。
20歳代になると42.0%へ上がり、30歳代の43.0%に次ぐ高さになる。孤独感が「決してない」と答えた割合も、16〜19歳の30.1%から20歳代の23.4%へ下がる。会う頻度の段差と、自覚される孤独感の上昇が同じ区間で起きている。
男女で中身が違う点も押さえておきたい。コミュニケーションが週に1回未満の人を孤立の可能性が高い層とみなす指標では、16〜19歳は男女ともほとんど該当者がいないのに、20歳代では男性8.3%、女性2.8%へ分かれる。男性は全体の6.7%を上回り、女性は下回る。段差の落ち方が性別で3倍ほど違っており、20代男性に偏って現れる。地域コミュニティと若者で見た18〜29歳の付き合いの薄さとも、向きが一致している。
手段で見ると、SNSは最頻なのに電話は途絶えている
会う頻度が落ちるぶんを非対面で補えているかどうかは、手段別の集計で確かめられる。SNSや電子メールなどを「週4〜5回以上」使う割合は、全体では19.7%である。16〜19歳では男性51.0%、女性62.0%、20歳代でも男性34.4%、女性47.4%と、いずれも全体の2倍から3倍に当たる。
ところが電話は逆を向く。電話(ビデオ通話を含む)が「全くない」と答えた割合は、全体で16.4%に対し、16〜19歳は男性18.1%、女性19.3%、20歳代は男性20.9%、女性23.0%である。若い層ほど高い。文字の往復は最も多い世代が、声の通る経路は最も細い世代でもある。
この差は、伝えられる内容の差として効いてくる。既読と返信で続く関係は維持の手間が小さいかわりに、言いにくい話を持ち出す段をつくりにくい。会う頻度が落ちた20代で孤独感が上がるのは、連絡の総量が減ったからではなく、重い話を置ける経路が減ったからだと読める。使う時間の配分そのものを疑う視点は、若者の時間管理の回で扱った。
20代で用意しておくと効くのは、場と口実の2つ
段差を越える手立ては、気合いではなく構造の側にある。学校が毎日の接点を供給していたのだから、代わりに定期的に人が集まる場を1つ持つのが素直な対策になる。社会活動への参加状況を見ると、いずれかの活動に参加している割合は全体で45.8%、16〜19歳では男性51.6%、女性52.0%だが、20歳代では男性41.2%、女性30.5%まで落ちる。20代女性は全年齢で最も低い。会う頻度が落ちる時期に、場への参加まで同時に落ちている。
もう1つは、会う口実を関係の外側に置くことである。用事がなければ会えない相手は、用事が尽きた時点で会わなくなる。趣味の集まり、地域の行事、学生時代の活動の延長など、自分が誘わなくても日程が決まる予定を1本抱えておくと、頻度の維持を相手の都合に依存しなくて済む。地域や学生の活動を扱うFLASPOのような場は、その1本を外から調達する経路として使える。
連絡手段の側では、文字だけに寄せないことが効く。月に1度でも声でやり取りする相手を決めておくと、電話が「全くない」層に入らずに済む。10代と20代のSNS利用率のように、世代ごとに使う道具は違っても、重い話を通す経路を別に確保しておく原則は変わらない。
よくある質問
社会人になって友人が減るのは避けられないのでしょうか。減るのは人数ではなく頻度である。頼れる相手として友人・知人を挙げる割合は20歳代でも男性72.1%、女性73.8%と高い水準を保っており、関係そのものは残っている。落ちているのは週4〜5回以上会う割合で、15.6%という全体の水準に近づいていく。
SNSでつながっていれば十分ではないでしょうか。頻度だけなら足りている。若い層のSNSや電子メールの利用は全体の2倍から3倍で、やり取りの回数は多い。ただし電話が「全くない」割合も20歳代で2割を超えており、手段の偏りが残る。経路を1種類に寄せると、その経路で扱えない話が行き場を失う。
20代のうちにやっておくべきことは何でしょうか。参加率が落ち始める時期に、定期的に集まる場を1つ確保しておくことである。20歳代の参加率は男性41.2%、女性30.5%で、全体の45.8%を下回る。ここで場を失うと、30代で友人を頼れる相手に挙げる割合が男性56.1%まで下がる流れに乗りやすい。
若者の友人関係を数字で追うと、問題が起きる場所は10代ではなく、学校という仕組みが外れた直後の数年に集まっている。頻度が落ちることは止められないが、場と口実を自分で持ち直すところまでは手が届く。
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