悩みを抱えているのは7割、そのうち友人はどこに立つか
友人とのやりとりが重く感じられるとき、最初に確かめたいのは自分だけの出来事なのかという点である。内閣府が令和7年12月1日を期日として実施した孤独・孤立の実態把握に関する全国調査は、全国の満16歳以上2万人を無作為に選び、11,873人から有効回答を得た。令和8年4月14日に公表された結果では、日常生活に不安や悩みが「ある」と答えた人が70.7パーセント、「ない」が28.9パーセントだった。
悩みが生じた場合の相談相手が「いる」と答えた人は90.2パーセント、「いない」は9.2パーセントである。相談相手がいると答えた10,708人にその相手をたずねると、「家族・親族」が92.9パーセントで最も高く、「友人・知人」が58.9パーセント、「仕事・学校関係者」が18.2パーセント、「自治会・町内会・近所の人」が5.3パーセントと続いた。友人は家族に次ぐ二番目の頼り先として、6割近い人に数えられている。
この並びを見ると、友人関係の悩みが厄介な理由が分かる。ふだんなら相談先の候補になっている58.9パーセントの経路が、友人そのものが悩みの対象になった瞬間に使えなくなるからである。悩みの重さは出来事の大きさだけで決まらず、話を持っていける先がいくつ残っているかで変わる。
相談先があるかないかで、孤独感は9倍ひらく
同じ調査には孤独感を直接たずねる設問もある。調査結果のポイントによれば、全体では「しばしばある・常にある」が4.5パーセント、「時々ある」が13.7パーセント、「たまにある」が19.5パーセントで、合わせて4割ほどが何らかの孤独感を抱えている。「ほとんどない」は41.6パーセント、「決してない」は19.6パーセントだった。
これを相談相手の有無で分けると差が立ち上がる。「しばしばある・常にある」と答えた割合は、相談相手が「いる」人では2.5パーセント、「いない」人では23.4パーセントである。9倍以上の開きで、相談先の有無は孤独感の強さと強く結びついている。困った時に頼れる人についても、「いる」が10,880人、「いない」が948人という分布になっていた。
手前の段階も見ておきたい。ふだん気軽に話せる相手が「いる」と答えた人は90.7パーセント、「いない」は8.5パーセントである。改まって相談する前に、何気ない話をする相手がいるかどうかという層がある。ここが切れている1割弱の人にとって、友人関係の悩みは相談先の不在とほとんど同じ輪郭を持つ。地域の付き合いと孤独感の関係は地域コミュニティの現状を数字で読んだ記事でも扱っている。
学校では、友人関係が記録として残っている
子どもの場合、友人関係のつまずきは統計の上に姿を見せる。文部科学省の令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、小・中学校の不登校児童生徒数は353,970人で、前年度の346,482人から増えて過去最多となった。
学校が把握した事実の内訳では、「いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった」が46,624人で、不登校児童生徒数に対する割合は13.2パーセントである。校種別では小学校が11.8パーセント、中学校が14.1パーセントと、中学校のほうが高い。一方で「いじめの被害の情報や相談があった」は4,913人、1.4パーセントだった。
この2つを別の項目として数えているところに意味がある。いじめという言葉で扱われる水準に届かない行き違いが、いじめの9倍を超える件数で記録されている。相談の場でいじめかどうかを先に問われ、そうではないと答えたために話が止まってしまう経路は、ここから生まれる。学校の外の窓口を知っておく価値はこの点にある。
悩みの中身によって、友人に向く話と向かない話がある
何を抱えているかは年齢とともに移っていく。不安や悩みの内容を見ると「自分の健康」が64.5パーセントで最も高く、「収入や資産、老後の生活設計」が53.3パーセント、「家族の健康、介護」が50.5パーセントと続く。どれも雑談の流れからは外れやすく、持ち出す相手を選ぶ領域である。
相談相手として「友人・知人」を挙げた割合も、年齢が上がるにつれて下がっていく。男性は16〜19歳の77.3パーセントから80歳以上の32.2パーセントまで、女性は16〜19歳の83.8パーセントから80歳以上の36.8パーセントまで落ちる。男女の全体値は男性51.7パーセント、女性64.8パーセントで、13ポイントほどの差がある。
| 年齢階級 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 16〜19歳 | 77.3% | 83.8% |
| 20歳代 | 75.7% | 80.9% |
| 30歳代 | 59.7% | 72.0% |
| 40歳代 | 58.3% | 72.1% |
| 50歳代 | 51.1% | 70.9% |
| 60歳代 | 48.7% | 63.5% |
| 70歳代 | 42.7% | 57.8% |
| 80歳以上 | 32.2% | 36.8% |
| 全体 | 51.7% | 64.8% |
手助けの受け取り方にも偏りが出る。不安や悩みについて家族・友人等からの手助けを「受けている」と答えた人は54.8パーセント、「受けていない」は42.1パーセントだった。受けていないと答えた割合は男性で49.5パーセント、女性で35.6パーセントである。友人に頼るという道は誰にでも同じ太さで開いているわけではなく、年齢と性別で通りやすさが変わる。
頼り先を1本から3本に増やしておく
話しても何も変わらないという感覚は珍しいものではないが、調査の数字は別の読み方を示している。不安や悩みを相談することへの感情では、「相談することで解決しなくとも気持ちが楽になる」が68.9パーセントで最も高く、「相談することで解決できる、または解決の手掛かりが得られる」が55.3パーセントだった。解決そのものより、抱えている量が減ることを期待して話す人のほうが多い。
整理の順番は3つに分けられる。第一に、話せる相手を属性で数える。家族、友人、職場や学校の関係者、公的な窓口という4つの枠にそれぞれ名前が入るかを確かめると、友人の枠が空いていても全体が空ではないことが見える。第二に、雑談の相手と相談の相手を同じ人に重ねないようにする。第三に、公的な窓口をあらかじめ1つ覚えておく。文部科学省は24時間こどもSOSダイヤルとして0120-0-78310を通話無料で設けており、厚生労働省もまもろうよこころで電話とSNSの相談先を並べている。
友人をつくる場そのものを増やすという向きの対処もある。趣味や学びの活動、地域の催し、ボランティアのように目的が先にある集まりは、関係が目的の副産物として生まれるため、関係づくりを正面から背負わなくて済む。地域と若い世代の接点を扱うFLASPOの取り組みも、関係そのものを目的に置かない形で設計されている。若い世代の付き合いの薄さについては18〜29歳の7割が付き合っていないという数字を追った記事が参考になる。
よくある質問
友人関係で悩む人はどれくらいいますか。友人関係だけを切り出した全国の数字は公表されていない。近いものとして、日常生活に不安や悩みが「ある」と答えた人が70.7パーセント、ふだん気軽に話せる相手が「いない」と答えた人が8.5パーセントという内閣府の数字がある。
友人がいないと孤独感は強くなりますか。相談相手の有無で見ると、孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた割合は、いる人で2.5パーセント、いない人で23.4パーセントだった。相談相手には家族も職場の関係者も含まれるので、友人の不在がそのまま孤独感に直結するとは読めない。
子どもの友人関係の問題はどこに相談できますか。学校以外の経路として、文部科学省の24時間こどもSOSダイヤルが通話無料で開かれている。いじめに当たるかどうかを自分で判定する必要はなく、令和6年度の調査でもいじめ被害を除く友人関係の問題が46,624人分記録されている。
大人になると友人に相談しなくなるのですか。相談相手として友人・知人を挙げた割合は、男性では16〜19歳の77.3パーセントから80歳以上の32.2パーセントまで下がる。悩みの中身が健康や老後の生活設計に移ることと、関係を保つ機会が減ることの両方が関わっている。
相談しても解決しないなら意味がないのではないですか。内閣府の調査では、解決しなくとも気持ちが楽になるという回答が68.9パーセントで、解決や手掛かりを期待する55.3パーセントを上回っている。結論を出す場としてだけ相談を見ると、使える機会を狭めることになる。
男性のほうが頼りにくいという傾向はありますか。家族・友人等からの手助けを「受けていない」と答えた割合は男性49.5パーセント、女性35.6パーセントだった。相談相手に友人・知人を挙げた割合も男性51.7パーセント、女性64.8パーセントで差がある。
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