面接の連絡が来た時点で、店側は履歴書に書かれた条件を見て会う価値があると判断している。残っているのは、シフトが合うか、続けて来てくれそうか、職場に馴染めそうか。この3点を確かめる場だと考えると、準備することはかなり具体的に絞れる。
判断の土台は適性と能力に限られる
採用選考の原則は、厚生労働省の公正採用選考特設サイトに整理されている。基本的な考え方は二つで、応募者の基本的人権を尊重すること、そして応募者の適性・能力に基づいた基準で選ぶことだ。根拠として憲法第14条の法の下の平等と、第22条の職業選択の自由が挙げられている。
この考え方は新卒採用や正社員に限った話ではない。中途採用でもアルバイトでもパートでも同じように当てはまる。企業には採用の自由があるが、応募者の人権を侵してまで認められているわけではない、という線が引かれている。
言い換えると、面接官が確かめてよいのは「この仕事をこの条件で続けられるか」に関わることだけになる。だから質問の中身はおのずと似てくる。逆に、答えに詰まるような踏み込んだ質問が来たときは、聞いてよい範囲の外にある可能性がある。
職種によって見られる点の重みは変わる。接客なら受け答えの速さ、塾や家庭教師なら説明の順序、倉庫や軽作業なら時間の正確さが前に出る。応募先の仕事の性質は大学生のアルバイトの種類を比較で確かめておくと、準備の的を外しにくい。
質問は5つの型に集まる
実際に飛んでくる質問は、だいたい次の型に収まる。曜日と時間帯をどれだけ入れられるか、いつから働けるか、通勤にどれくらいかかるか、同種の経験があるか、なぜこの店を選んだか。ここに学業の予定や試験期間の扱いが加わる。
答え方で差がつくのはシフトの伝え方だ。「だいたい入れます」は便利な言葉だが、採用後に食い違う原因になる。履修を確定させてから、入れる曜日と時間帯、入れない期間を数字で言えるようにしておく。週3日以上働く学生が多数を占める現実の中で、週2日希望なら理由も添える。
志望理由は、店をほめる話にしなくてよい。通える距離にある、授業の後に入れる時間帯で募集していた、前にやっていた仕事と近い。選んだ根拠が条件側にあるほうが、続けられる見込みとして伝わる。
受け答えの組み立て方そのものを整えたい場合は、面接の答えを構造で組み立てるが質問の型ごとに筋道を扱っている。アルバイトの面接は所要時間が短く、ひとつの質問に使える時間は1分前後だと見ておくとよい。
聞かれない前提になっている14事項
厚生労働省は、採用選考時に配慮すべき事項として「就職差別につながるおそれがある14事項」を示している。本人に責任のない事項、本来自由であるべき事項、そして選考の方法の3つに分かれる。これらに限られるわけではないという注意書きも付いている。
| 分類 | 項目 |
|---|---|
| 本人に責任のない事項(4項目) | 本籍・出生地/家族(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)/住宅状況(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)/生活環境・家庭環境など |
| 本来自由であるべき事項(7項目) | 宗教/支持政党/人生観・生活信条など/尊敬する人物/思想/労働組合や学生運動などの社会運動/購読新聞・雑誌・愛読書など |
| 選考の方法(3項目) | 身元調査などの実施/本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用/合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施 |
尊敬する人物や愛読書が並んでいるのを不思議に思うかもしれないが、仕事の適性と関係がないうえ、思想や信条を推し量る材料になりうるためだ。家族の職業や収入も、本人がどうにもできない事柄として同じ列に置かれている。
こうした質問が出たとき、その場で押し返す必要はない。答えられる範囲で短く返し、違和感が残るなら辞退するという対応で足りる。判断材料として覚えておくだけでも、面接の場で自分を責める方向に考えずに済む。
こちらから確かめる条件がある
面接は一方的に評価される場ではなく、条件を突き合わせる場でもある。2024(令和6)年4月1日施行の改正により、求人の段階で示される労働条件に、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準が加わった。募集要項に書かれていれば、その読み方を確かめる質問ができる。
特に確かめたいのは次の4点だ。シフトはいつ締め切っていつ確定するのか、試験期間や帰省の休みは申請できるのか、研修期間中の時給は本採用と違うのか、終業後の片付けは勤務時間に含まれるのか。どれも後から揉める定番で、面接の最後に聞く時間が用意されていることが多い。
面接の過程で当初の募集条件から変わった場合は、変更内容を明示する必要があるとされている。口頭で「時給は様子を見て」と言われたままにせず、書面か電子データで条件を受け取っておく。働き始めてから遡って直すのは、どちらの側にとっても手間が大きい。
FLASPOのように学生の活動を見てきた立場からも、最初に条件を確かめた人のほうが長く続いているという印象がある。質問をすると落ちるのではないかという心配は、実際には逆に働くことが多い。
当日の段取りで減らせる失点
服装は職種で決まる。制服のある飲食や販売なら、襟のあるシャツと落ち着いた色のボトムスで足りることが多く、スーツが必要な募集はまれだ。塾や家庭教師は保護者の目が入るため、きちんとした印象を優先する。迷ったら募集要項の指定を読み、書かれていなければ店の客層に合わせる。
持ち物は履歴書、筆記用具、印鑑、口座情報のメモ、学生証。採用がその場で決まる職場では、初回のシフト決めまで一気に進むことがある。入れる曜日と時間帯を書いたメモを持っていくと、その場の記憶に頼らず答えられる。
時間は5分から10分前の到着が無難だ。早すぎる到着は営業中の店では迷惑になりうるし、遅刻は時間管理への評価に直結する。入室から退室までの作法に不安があるなら、面接のマナーで基本を確かめておけばよい。
よくある質問
経験がないと不利になりますか。未経験歓迎の募集では、経験の有無より入れる時間帯と続けられる見込みが見られている。前の仕事を聞かれたら、覚えるのにかかった時間や任された範囲を具体的に話すと、経験のない分野でも扱いやすい材料になる。
シフトの希望を正直に言うと落ちますか。合わなければ落ちることはある。ただし希望を曲げて採用された場合、入れない日が続いて辞めることになりやすい。条件の合う職場を探し直すほうが、結果として早く落ち着く。
家族のことを聞かれたら答えなければいけませんか。家族に関することは14事項に含まれており、適性・能力の判断とは関係がないという整理になっている。答えたくなければ、仕事に関わる話に戻す形でかわして差し支えない。
結果の連絡が来ないときは問い合わせてよいですか。面接時に伝えられた期限を過ぎていれば、問い合わせてよい。連絡の期限を聞いていなければ、面接の終わりに確かめておく。待っている間に別の応募を止める必要もない。
掛け持ちを面接で伝えるべきですか。伝える。シフトの重複と合計の労働時間に関わるため、採用後に判明すると調整が増える。募集要項に可否が書かれていない場合は、面接の質問時間に確認しておくのが早い。
出典
厚生労働省 公正採用選考特設サイト「採用選考時に配慮すべき事項」/同「公正な採用選考の基本」/厚生労働省「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります(2024年4月1日施行 改正職業安定法施行規則)」
アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。
FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。
賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。
