学園祭の収入源を並べる|模擬店・協賛・助成と税の線引き

学園祭の収入源を並べる|模擬店・協賛・助成と税の線引き

「足りない分は模擬店で稼ぐ」という一行が予算書に入っている年は、だいたい当日の売上が読めていない。雨が降れば消える金をあてにして固定費を組んでいるからである。収入の側を整えるときに最初にやるのは、金額を積むことではなく、入る時期と確実さで並べ替えることになる。

入る時期と確実さで並べ替える

学園祭の収入には、開催前に確定するものと、当日まで分からないものが混ざっている。学校や生徒会から配分される額、企業や商店から受ける協賛、公的な助成はおおむね前者で、模擬店や物販の売上は後者である。この二つを足して一つの総額にすると、確定していない金を前提にした支出が走り出す。

順番としては、確定している収入だけで固定費が払えるかを先に確かめる。会場設営や音響の借上げ、看板、保険といった、来場者が少なくても消えない費用である。ここが埋まっていれば、当日の売上が想定を下回っても事故にならない。

当日収入は、埋める対象を分けておくと扱いやすい。来年に繰り越す資金、追加の装飾、打ち上げの費用のように、無くても開催が成り立つものに充てる設計である。委員会の中で誰が収入の見通しを管理するのかは、学園祭実行委員の役割を整理した記事で触れた分担の話と重なる。

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収入源ごとに、手続きと制約が入れ替わる

同じ「お金が入る」でも、使い道に条件が付くもの、報告の義務が残るもの、相手の都合で消えるものがある。どの性格の金で何を払うのかが噛み合っていないと、受けた後で使えないことに気づく。

収入源 入る時期 確実さ 使途の制約と手続き
学校・生徒会からの配分 開催の数か月前に確定 高い 使途の説明が全校に対して立つこと。規程に沿った申請が要る
企業・商店からの協賛 依頼から入金まで一か月以上かかることがある 依頼先の決裁に左右される 掲示や冊子への掲載など、約束した内容の履行と報告
公的な助成・補助 募集時期が固定され、多くは事後に精算 採否が決まるまで不確定 対象経費が限定される。領収書と報告書の提出が条件
模擬店・物販の売上 当日 天候と来場者数で大きく動く 釣銭の準備、売上の保管、税の扱いの確認
寄附・クラウドファンディング 募集期間の終了後 目標額に届かないことがある 返礼を約束した場合はその実行。集金の手数料が差し引かれる

助成や補助は、採否が出るまで金額が立たないうえ、対象になる経費の範囲が決められている。飲食の材料費や打ち上げの費用が対象外になる制度は多く、受けられても固定費の穴を埋める用途には使えない場合がある。募集の時期が年に一、二回しかないため、企画が固まる前から要項を読んでおくことになる。

協賛は、入金の遅れが読みにくい。依頼を受ける側の決裁に時間がかかり、年度の予算の都合で翌月に回ることもある。印刷物に社名を載せる約束をしているなら、入稿の締切と入金の予定を別に管理しておきたい。

売上がどの段階から税の話になるのか

模擬店の売上に税がかかるのかという問いは、売った金額の大きさだけでは決まらない。前提になるのは、誰が売ったのかという主体の問題である。法人税法第4条第1項のただし書は、公益法人等または人格のない社団等について、法人税を納める義務があるのは「収益事業を行う場合」などに限ると定めている。

続く第6条は、内国法人である公益法人等または人格のない社団等の各事業年度の所得のうち「収益事業から生じた所得以外の所得については、各事業年度の所得に対する法人税を課さない」と置く。実行委員会や生徒会がこの区分に入る場合、問題は収入の有無ではなく、その活動が収益事業に当たるかどうかに移る。

収益事業の範囲は法人税法施行令第5条第1項に列挙されており、34の事業が並ぶ。第1号の物品販売業、第14号の席貸業、第16号の料理店業その他の飲食店業、第26号の興行業は、模擬店や有料のステージと形の上では重なる。ただし列挙に重なることと、課税される収益事業と判断されることは同じではない。学校行事として一時的に行う出店をどう扱うかは、主体の性格や継続性をあわせて見る必要があるため、金額が大きくなる年は所轄の税務署に具体的な形を示して確認するのが確実である。条文はe-Gov法令検索の法人税法施行令と同じく法人税法で読める。

消費税には売上の規模で線が引かれている

法人税とは別に、消費税の納税義務がどうなるかという論点がある。国税庁の説明では、基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合、原則として消費税の納税義務が免除される。基準期間とは、法人ならその事業年度の前々事業年度、個人事業者ならその年の前々年を指す。

例外として、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合は、基準期間の金額が1,000万円以下であっても免除されない。特定期間は、個人事業者ならその年の前年1月1日から6月30日まで、法人なら原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間である。この判定については、課税売上高に代えて給与等の支払額の合計額によることもできるとされている。

学園祭の規模でこの線に届く例は多くない。それでも押さえておく意味があるのは、年を越えて同じ主体が活動を続ける場合に、前々年の売上が判定に使われるという構造が見えるからである。単年で考えると気づかない。詳細は国税庁の納税義務の免除の説明にまとまっており、根拠として消費税法第2条と第9条から第12条の4、第37条などが挙げられている。

協賛と寄附は、対価があるかどうかで分かれる

社名を冊子に載せる、看板を立てる、ステージで名前を読み上げる。こうした約束をして受け取る金は、相手にとって広告の対価である。見返りを約束せずに受け取る寄附とは性格が違い、約束を実行しなかったときの問題の重さも変わる。依頼の書面でどちらなのかを明示しておきたい。

対価がある形で受けるなら、提供する内容を数えられる形に落とす。掲載する面の大きさ、設置する場所と期間、読み上げの回数といった具合である。曖昧にしたままだと、当日の運営の都合で削った部分が約束違反になり、翌年の依頼が通らなくなる。

受け取りの記録は、金額の大小にかかわらず同じ様式で残す。受領の日付、相手の名称、金額、約束した内容、履行の確認欄。この五つが一枚に収まっていれば、引き継ぎの資料がそのまま監査の資料になる。依頼書に何を書くかという形式面は、イベント企画書の必須項目を整理した記事の考え方が流用できる。地域の企業と学生の活動をつなぐ場としてはFLASPOのような取り組みもある。

よくある疑問

模擬店の売上は申告が必要なのか。主体が何であるか、その活動が収益事業に当たるかで結論が変わる。条文の列挙に重なるかどうかだけで判断せず、金額が増えた年は税務署に形を示して確認する。

協賛はいつ頼み始めればよいか。入金までに相手の決裁を挟むため、印刷物の入稿締切から逆算する。依頼の着手が遅いと、承諾は得られても掲載に間に合わない。

助成金は固定費に充てられるか。対象経費が要項で限定されているため、設営や借上げが対象外のこともある。採択後に使途を変えると精算で戻すことになる。

クラウドファンディングは学校の許可が要るか。学校名や校章を出す以上、事前の確認なしに進めるのは避けたい。返礼の中身によっては別の手続きも絡む。

売上の目標はどう置くか。単価と想定数を低めと高めの二通りで出し、低い側で固定費が払えるかを見る。一つの数字だけで置くと、外れたときに打ち手が残らない。

釣銭はどれだけ用意すればよいか。品目の価格の付け方で変わる。100円刻みに揃えると硬貨の種類が減り、準備と当日の計算がどちらも軽くなる。

売上金はどこに置くのか。保管の場所と担当、回収の時刻を先に決める。当日の判断に任せると、机の下や鞄の中に現金が分散する。

黒字が出たら繰り越してよいか。学校や生徒会の規程で扱いが決まる。繰り越す前提で使途を決めず、残った場合の戻し先を開催前に確認しておく。

去年の協賛先に同じ内容で頼めるか。担当者が替わっている場合があり、前年の実績は紹介の材料にはなるが承諾の根拠にはならない。前年に何を掲載したかを添えて出し直す。


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