サークル新歓|純アルコール60グラムと勧誘の線を先に引いておく

サークル新歓|純アルコール60グラムと勧誘の線を先に引いておく

新歓でつまずく場所は、毎年おおむね三つに決まっている

四月の一週目から三週目までに起きる問題を並べると、意外に種類が少ない。飲み会で潰れた人が出る、勧誘の場で金銭の話になる、入会用紙に書かせた連絡先の扱いが雑になる。この三つで大半が占まる。どれも当日の判断で防ぐのは難しく、企画書を書く段階で線を引いておくしかない性質のものだ。

三つに共通するのは、責任の行き先が見えにくいところにある。参加者は在学生だが二十歳未満も混じる。場所は大学の外で、費用は個人の立て替えで回る。幹事は入学して二年目の学生で、去年の形をそのまま踏んでいる。悪意がないまま事故へ近づく構造になっている。

順番としては、飲酒の線、勧誘の線、名簿の線を先に文字にして、当日はそれを読み上げるだけにしておく。読み上げる役を幹事とは別の人に割り振ると、場の空気に流されにくい。以下、それぞれの線をどこに引くかを国の資料から持ってくる。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

グラムで数えると、飲ませ方の線が主観から離れる

「ほどほどに」という言い方では線が引けない。厚生労働省がアルコール健康障害対策基本法第12条第1項に基づく第2期計画の施策として作成した健康に配慮した飲酒に関するガイドラインは、酒の量ではなく純アルコール量という単位を使うよう勧めている。算出式は「摂取量(ml)×アルコール濃度(度数÷100)×0.8」で、ガイドライン自身がビール500mlの5%を例に、500×0.05×0.8で20グラムになると示している。

この単位で引ける線のうち、新歓にそのまま使えるものが一つある。ガイドラインは避けるべき飲酒として一時多量飲酒を挙げ、その定義を「1回の飲酒機会で純アルコール摂取量60グラム以上」と書いている。様々な身体疾患の発症や急性アルコール中毒を引き起こす可能性があり、外傷の危険性も高めるとされる。60グラムはビールの500ml缶で三本にあたる。二時間の飲み放題で届いてしまう量だ。

酒類と量 度数 純アルコール量
ビール 500ml 5% 20.0g
チューハイ 350ml 7% 19.6g
日本酒 180ml 15% 21.6g
ワイン 120ml 12% 11.5g
焼酎の水割り 100ml分 25% 20.0g
ガイドライン記載の算出式に各量と度数を当てて計算した値。ビール500mlの20グラムはガイドラインの例示そのまま。合計60グラムが一時多量飲酒の目安になる

日々の量については、同じガイドラインが別の数値を引いている。第2期計画は生活習慣病のリスクを高める量を「1日当たりの純アルコール摂取量が男性40グラム以上、女性20グラム以上」と置き、健康日本21の第三次では男女合わせた全体の目標値として10%を設定している。これらは個々人の許容量を示したものではないと注記が付いているので、上限として配るには向かない。

やり方の側でも示されていることがある。ガイドラインは、あらかじめ量を決めて飲酒することを勧め、行事やイベントなどの場で飲酒する場合も各自が何をどれくらい飲むかをそれぞれ自分で決めることが大切だと書いている。幹事が一律に注ぐのではなく、各自が先に決める。この一文を新歓の案内に引いておくだけで、場の設計が変わる。

二十歳未満への一杯と、強要は、別々に禁じられている

線の性質が違うものを一緒に並べておくと、当日の判断が速くなる。ガイドラインは重要な禁止事項の項で、法律違反に当たる場合として酒気帯び運転等と並べ、二十歳未満の飲酒を挙げている。そこには括弧付きで「20歳未満に飲酒させることを含む」と書かれている。飲んだ側だけの問題ではないという意味で、注ぐ側に直接かかる。

理由も添えられている。脳の発育に悪影響を及ぼし、若い頃からの飲酒によって依存症になる危険性も上がるとされる。二十歳代の若年者についても脳の発達の途中であり、多量飲酒によって脳の機能が落ちるとのデータがあるほか、高血圧等のリスクが高まる可能性もあると記されている。一年生の大半が十八歳か十九歳である以上、新歓の主な対象は禁止の側に立っている。

強要は、法律違反とは別の枠で扱われている。避けるべき飲酒等の項に他人への飲酒の強要等が挙げられ、他人に無理な飲酒を勧めることは避けるべきであり、併せて飲酒を契機とした暴力や暴言・ハラスメントなどにつながらないように配慮しなければならないと書かれている。ガイドラインの冒頭にも、飲酒する習慣がない方等に対して無理に飲酒を勧めることは避けるべきだという一文が置かれている。

体質の問題も独立して書かれている。アルコールを分解する酵素が非常に弱い人は、ごく少量の飲酒でも強い動悸や急に意識を失うなどの反応が起こることがあり危険だとされる。見た目では判別できないため、飲まない選択を最初から用意しておく以外に対処がない。ソフトドリンクを同額にする、乾杯の一杯を全員分お茶にする、といった形で足りる。

勧誘の場に投資や副業の話が混ざってくることがある

新歓は、人を集める装置として外からも使われる。交流会や勉強会の名前で学生を呼び、途中から別の話に移る形だ。国民生活センターが公表した注意喚起は、友人や知人から暗号資産や海外事業への投資、アフィリエイトなどを「人に紹介すれば報酬を得られる」と勧誘される手口を、商品の受け渡しを伴わないマルチ商法として整理している。

問題点として挙げられているのは、契約のきっかけが友人や知人からの誘いであること、人を紹介すれば報酬を得られることばかり強調されること、もうけ話の実態がよく分からないこと、そして友人や知人から勧誘されると断りにくく借金をしてまで契約する例があることだ。解約や返金を求めようとしても連絡先が不明確で交渉が難しいとも書かれている。

規模を確かめておくと判断の重みが変わる。同センターが公開しているマルチ取引の統計では、全国の消費生活センター等に寄せられた相談件数が2023年度に5,158件、2024年度に4,132件、2025年度に4,003件と記録されている。2026年5月31日現在の数値だ。

自分の団体の新歓を守る側の話にすると、やることは二つになる。会場に外部の人を入れない、金銭や契約の話が出た時点で解散する。参加者へ伝える側では、きっぱりと断ってよいこと、安易にクレジットカードでの高額決済や借金をしないこと、不安に思ったら消費生活センターへ相談できることを案内に書く。消費者ホットラインの188番は在学中でも使える。人の集め方そのものを設計し直すなら、学生団体のメンバー集めの側で母数の作り方を扱っている。

入会用紙を刷る前に、利用目的の一行を入れておく

新歓で集めた連絡先は、その日から法律の対象になる。個人情報の保護に関する法律の第16条第1項は、特定の個人情報を電子計算機で検索できるように体系的に構成したものを個人情報データベース等と呼び、同条第2項はそれを事業の用に供している者を個人情報取扱事業者と定める。個人情報保護委員会はFAQの中で、この法律の事業は営利・非営利の別を問わず、サークルなども該当し得ると明記している。

新歓の文脈でいちばん効くのは第21条第2項だ。本人から直接書面に記載された個人情報を取得する場合は、あらかじめ本人に対しその利用目的を明示しなければならないとされている。用紙に書かせるという行為がそのまま当てはまる。第17条第1項が利用目的をできる限り特定せよと求めているので、「連絡および名簿作成のために利用します」という程度の一行を用紙の下に刷っておけば足りる。

取得の仕方にも条文がある。第20条第1項は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならないと定める。景品を配る名目で名簿を集め、実際には別の団体へ渡していた、という形はここに触れる。渡す側については第27条第1項が、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供してはならないとしている。合同新歓で他団体と名簿を交換する運用は、同意なしには成立しない。

集めたあとの管理は第23条が安全管理措置を、第24条が名簿を扱わせる人への監督を求めている。新歓期は手が足りず、共有フォルダの権限を広く開けたまま一年が過ぎがちだ。回収した紙の用紙をいつ処分するか、入力後の表を誰が見られるようにするかを、企画書の最後に二行書いておくと運用が残る。公認か非公認かで責任の行き先が変わる点は、公認サークルと非公認の違いのほうで追える。

よくある質問

新歓コンパで一年生に酒を出さなければ、法律上の問題はなくなりますか。
二十歳未満に飲ませることの問題は消えますが、残る線が二つあります。ガイドラインが避けるべきとする他人への飲酒の強要等は年齢を問わず当てはまり、体質的に受け付けない人への配慮も別に必要です。二十歳以上だけの席でも、各自が先に量を決める形にしておくほうが安全です。

一時多量飲酒の60グラムは、どのくらいで到達しますか。
ビールの500ml缶なら三本です。算出式に当てると1本で20.0グラムになるため、三本で定義の水準に並びます。チューハイの350ml缶が7%なら1本19.6グラムなので、やはり三本で近い値に達します。二時間の飲み放題では現実的な量だと見ておくべきです。

幹事として、潰れた人が出たときの判断基準を持っておきたいのですが。
意識レベルの低下は急性アルコール中毒の兆候として挙げられているので、呼びかけに反応しない段階で救急へつなぐのが原則です。ガイドラインは飲酒中または飲酒後の運動や入浴など体に負担のかかる行動も避けるべきとしているため、歩かせる、風呂に入れるといった対処は選ばないほうがよい。

入会用紙に利用目的を書き忘れました。今からできることはありますか。
第21条第1項は、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、取得後に速やかに利用目的を本人に通知し、または公表しなければならないとしています。グループへの投稿や団体のページへの掲載で通知と公表の形は取れます。次年度の用紙を刷り直すのは、それとは別の作業として残ります。

他大学との合同新歓に誘われましたが、気をつける点はどこですか。
名簿と責任の二点です。参加者の連絡先を相手団体と共有するなら第27条第1項の同意が必要になり、事故が起きたときにどちらの大学の枠で扱われるかも先に決めておく必要があります。相手の代表が在学生かどうかを確かめるのも、同じ理由から有効です。

そもそも飲み会を開かない新歓は成り立ちますか。
成り立ちます。活動の体験会、昼の食事会、学内の空き教室での説明会で足りることが多い。学生の活動を扱うFLASPOの側から見ても、入ってから続く人を増やすという目的に対して、飲酒は必須の条件になっていません。


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。