神山町の協力隊は3人だけ|徳島県81人の内訳と任期後の進路

サテライトオフィスの町に、隊員は3人

徳島市から車で1時間弱、杉林に挟まれた谷筋に集落が点々と続く。古民家を改装したオフィスがあり、神山まるごと高専のキャンパスがあり、移住の話題では必ず名前が挙がる町でもある。それだけ外から人が入っている町なら地域おこし協力隊も大勢いそうなものだが、総務省が市町村ごとの人数を載せた令和7年度の集計で神山町の欄にある数字は3人である。

同じ集計によれば、全国の隊員は8,196人、受け入れているのは1,187団体(20道県と1,167市町村)。前年度から286人増え、受入可能な1,461団体のうち約81パーセントが制度を動かしている。徳島県内は81人で20団体。隊員の年齢は20代が33.6パーセント、30代が30.1パーセントを占め、男性59.7パーセント・女性40.3パーセントという構成である。

町の人口は2026年4月1日時点で4,529人。1955年の町制時には20,916人が暮らしていたので、いまはおよそ5分の1。65歳以上の割合は52.06パーセントで、全国の29.4パーセント(2025年9月時点)の2倍に近い。隊員3人は、住民1,500人あたり1人という密度にあたる。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

徳島県81人を自治体ごとに割ってみる

3人という数字が多いのか少ないのかは、周りと並べないと見えてこない。総務省の資料には市町村名と人数がそのまま載っているので、徳島県の20団体を人数の多い順に書き出してみる。

受入自治体 隊員数
吉野川市 13人
上勝町 10人
美馬市 8人
那賀町 8人
阿南市 7人
三好市 4人
徳島県(県が直接採用) 4人
神山町 3人
佐那河内村 3人
阿波市 3人
美波町 3人
海陽町 3人
上板町 3人
小松島市 2人
藍住町 2人
徳島市 1人
勝浦町 1人
石井町 1人
牟岐町 1人
東みよし町 1人
合計(20団体) 81人
総務省「令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」の市町村別一覧より作成。県が直接採用する枠を含む20団体の合計が81人。

最も多い吉野川市が13人、次が上勝町の10人。ごみの分別で知られる上勝町は神山町より人口の小さい町だが、隊員は3倍以上いる。町の規模と枠の数は比例しない。神山町の3人は県内で中位にあたり、積極的に枠を広げているわけではない水準だ。

都道府県をまたいだ偏りは地域おこし協力隊の地域別ガイドに、隊員が最も集中する地域の内訳は北海道の例にまとめてある。神山町のように外から人が入っている町が、必ずしも協力隊の枠を多く持つわけではないことは、この表を見ると納得できる。

3人が置かれている町の条件

では、その3人は何を期待されているのか。手がかりは町が2026年7月に公表した「人口から見る神山町」にある。2021年度から2025年度の5年間で転入が転出を上回った年は3回あり、5年平均では年プラス14人。町が誕生した1955年以降、社会動態がプラスになったのは6度しかない。

それでも人口は減り続けている。2025年度は転入169人・転出128人と人の出入りはプラスだったが、亡くなった方が116人、生まれた子が9人で、差し引き65人の減少に終わった。年代別に見ると、16歳は城西高校神山校の寮と高専の影響で転入超過に転じた一方、高校卒業から30歳までは今も転出が多く、22歳から25歳での流出は10年前と変わっていない。この入りと出の詳しい読み方は人口4,529人の神山町を扱った記事に譲る。

注目したいのは、町が移住交流支援センター経由の転入を別に数えていることである。その人数は前年の16人から32人へ倍増した。住民票を移していない人も含むとされており、町が「関わる人」と「住む人」を分けて把握していることがわかる。3人の隊員が置かれるのは、こうした窓口と住民のあいだをつなぐ位置になる。

任期は1年から3年、その先はどうなるか

制度の骨組みは全国共通で、総務省の案内では任期は1年から3年。都市地域から条件不利地域へ住民票を移すことが条件なので、通いながら関わる形とは性質が違う。

終わったあとの進路は、全国の集計のほうが具体的である。令和2年4月から令和7年3月までに任期を終えた8,762人のうち、同じ地域に残ったのは6,163人で70.3パーセント。徳島県に限ると100人のうち65人が残り、定住率は65.0パーセントで全国平均を5ポイント下回る。母数が100人なので、数人の進路で比率が動く幅も大きい。

活動した市町村にそのまま住み続けた5,038人の中身を見ると、起業が2,296人で45.6パーセント、就業が1,753人で34.8パーセント、就農と就林が583人で11.6パーセント。就業先は自治体職員や集落支援員などの行政関係が480人と最も多く、観光業が176人、農業法人や森林組合などが138人。起業の内訳では飲食サービス業が308人、工芸やデザインや写真などが217人、宿泊業が181人である。木工や食の事業が町内に育っている神山町なら、独立に向かう筋は想像しやすい。

学生が先に通るべき入口

住民票の異動が前提なので、在学中の学生がそのまま隊員になることはできない。かわりに国は手前の段階を用意しており、令和7年度は「おためし地域おこし協力隊」に1,450人、インターンに1,414人が参加した。インターンの参加者は令和5年度の393人から2年で3倍以上に増えている。

町の側の入口も一つではない。神山町は2026年1月に創生戦略の第3期「まちを将来世代につなぐプロジェクト」を策定し、2026年度から2030年度を戦略期間に定めた。この10年の柱としてフードハブ・プロジェクト、大埜地の集合住宅、城西高校神山校の魅力化、高専の開校が挙げられている。すだち農家の人手不足を補う援農の受け入れも、この戦略に書かれた取り組みの一つだ。

順番としては、短期の滞在やインターンで町の人と顔を合わせ、3年という時間を使う覚悟ができてから募集を探すほうが現実的である。学生のうちから地域の企画に関わる道筋はFLASPOでも扱っている。制度に就くことを目的にせず、3人という枠の意味を自分の目で確かめてから決めればよい。

よくある質問

神山町の隊員は本当に3人しかいないのですか。
市町村別の人数を載せた令和7年度の資料では3人で、令和6年度の同じ資料でも3人でした。サテライトオフィスで働く人、高専の関係者、町の公社の職員、一般の移住者はこの数に入りません。町に関わる外からの人材が3人という意味ではなく、協力隊という制度の枠が3人分だという話です。

徳島県が直接採用する枠もあるのですか。
表にある「徳島県」の4人がそれで、県が会計年度任用職員として採用しています。総務省が取材した記録では、県の枠は外国人に特化しており、令和2年度の任用開始から累計7名を採用、任期終了後の県内定住率は66パーセント。応募にはJETプログラムの修了か、同等の日本語能力試験の合格が求められます。日本人の隊員は市町村が採用する形です。

定住率が全国より低い県を選ぶのは不利ですか。
65.0パーセントという数字は、徳島県内で任期を終えた100人の結果をまとめたものです。残るかどうかは配属先の仕事の内容と受け入れ体制で変わるので、県単位の平均を自分の見通しに当てはめる必要はありません。確かめるべきは、任期中の業務が終了後の仕事につながる形になっているかどうかです。

募集が出ていない時期はどう動けばよいですか。
神山町の募集は常時出ているわけではありません。窓口はまちづくり戦略課なので、町の募集・採用のページを定期的に確認するか、移住交流支援センターに相談するのが早いです。協力隊以外の関わり方も戦略に並んでいるため、そちらから接点を作る手もあります。

隊員が3人の町で働くと、何が違いますか。
数十人を抱える自治体では担当分野が細かく割られますが、3人なら一人の受け持つ範囲は広くなります。人口4,529人という規模は、町役場も事業者も顔の見える距離にあるということでもあります。裁量が大きいぶん、指示を待つのではなく自分で仕事をつくる姿勢が要る環境だと見ておくとよいでしょう。


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。