島根県の協力隊386人と定住率60.3%|19市町村の受け入れ地図

全国で1年に286人増えた、その4割が島根で起きた

地域おこし協力隊を受け入れている県を人数順に並べると、上から北海道、長野県、島根県になる。面積でも人口でもなく、受け入れた隊員の数である。令和7年度における地域おこし協力隊の活動状況等によると、全国の隊員数は8,196人で、前年度から286人増えた。取り組んでいる自治体は1,187団体で、受け入れ可能な1,461団体の約81パーセントにあたる。

同じ資料の都道府県別の集計を見ると、島根県の隊員数は386人、受け入れている市町村は19である。1年前の令和6年度の集計では273人だったので、113人増えたことになる。全国の増加分286人のうち、4割近くがこの県で起きた計算だ。北海道の1,374人、長野県の477人には届かないが、人口規模を考えると位置づけは重い。

県の面積あたりでも自治体数あたりでも、この数字は際立っている。島根県の市町村は19市町村すべてが受け入れており、県内に受け入れていない自治体がない。全国では受け入れ可能な自治体の2割が未着手のままなので、島根は飽和に近いところまで制度を使い切っている県である。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

19市町村の内訳を並べると、島に寄っている

386人をどこが抱えているのかを市町村別に見ると、分布は均等からほど遠い。隠岐諸島の4町村に227人、本土側の15市町村に159人という配分で、県全体の58.8パーセントが島側にある。離島に半分以上が集まっている県は、ほかにない形だ。

市町村 令和6年度 令和7年度 増減
海士町 87人 163人 +76
西ノ島町 16人 27人 +11
知夫村 22人 25人 +3
隠岐の島町 10人 12人 +2
浜田市 8人 20人 +12
川本町 8人 19人 +11
美郷町 16人 17人 +1
津和野町 13人 14人 +1
邑南町 23人 22人 -1
吉賀町 13人 11人 -2
雲南市 9人 12人 +3
出雲市 11人 9人 -2
松江市・奥出雲町 各8人 各8人 ±0
飯南町 6人 6人 ±0
安来市 5人 4人 -1
益田市 5人 3人 -2
大田市 3人 3人 ±0
江津市 2人 3人 +1

出典は総務省が公表した令和6年度と令和7年度の隊員数の集計である。増えた113人のうち92人が、海士町と西ノ島町、浜田市、川本町の4つに集まっている。県庁所在地の松江市は8人で据え置き、出雲市と益田市は減った。県の総数が伸びても、県内のどこでも増えているわけではない。

特徴的なのは、人口の少ない町ほど人数が多いという逆転である。海士町の163人は、県内最多の受け入れ数だ。この町は内閣府に認定された地域再生計画で2040年の総人口を2,475人とする目標を掲げている規模の自治体で、隊員の数は町の人口の数パーセントに届く水準になる。

定住率60.3パーセントという別の顔がある

受け入れた人数と、残った人数は別の話である。島根県で直近5年間に任期を終えた隊員は388人で、そのうち同じ地域に定住したのは234人。定住率は60.3パーセントだった。全国では8,762人が任期を終えて6,163人が残り、70.3パーセントである。10ポイントの差がある。

この60.3パーセントは、47都道府県のなかで下から4番目にあたる。低い順に宮崎県の55.6パーセント、秋田県の55.9パーセント、大阪府の60.0パーセントが並び、その次が島根県だ。上位は北海道の78.3パーセント、長野県の78.0パーセントで、受け入れ人数の多い上位2県はどちらも定住率でも高い。人数が多ければ残る人も多いという関係は、ここでは成り立っていない。

母数の大きさは踏まえておきたい。任期終了者388人は北海道の1,225人、長野県の656人に次ぐ全国3番目の規模で、他県よりはるかに多くの卒業生を送り出している。短い任期で入れ替わる枠を多く持つ県では、もともと数年で地域を離れる前提の人も分母に入る。率だけを取り出して受け入れの質を測ると、見立てを誤る。

定住率の全国的な内訳は地域コミュニティと移住で、中国・四国9県のなかでの位置は中国・四国9県の協力隊で扱っている。県の全体像を知りたい場合は地域おこし協力隊の地域別ガイドから入ると比較が早い。

受け入れの土台は10年近く前から積まれている

数字が急に伸びた県に見えるが、仕組みの整備は早い。総務省の資料には都道府県ごとのネットワーク一覧が載っており、島根県は一般社団法人しまね協力隊ネットワークを平成29年11月に設立している。47都道府県のうち令和より前に立ち上げたのは岡山県、島根県、大分県の3県だけで、島根は全国で2番目に早い。

ネットワークは、現役の隊員や任期を終えた人が情報を交換したり、相談を受けたりする場である。多くの県が令和に入ってから作ったのに対して、島根では隊員が増える前にその器があった。受け入れ自治体が19市町村すべてに広がっている背景には、県の側に蓄積があったとみるのが自然だろう。

制度の使い方にも幅がある。総務省の財政措置には、隊員の活動に要する経費のほかに、募集等に要する経費や日々のサポートに要する経費、おためし地域おこし協力隊やインターンの枠まで用意されている。短い期間で地域に入る枠を併用すれば、受け入れ人数は積み上がりやすい。島根の386人が、3年の任期を前提にした人だけで構成されているとは限らない点は、数字を見るときに意識しておきたい。

島根を候補にするなら、県ではなく町の数字を見る

応募先を考える段階で、県単位の386人という数字はほとんど役に立たない。同じ県内に、163人がいる町と3人しかいない市が並んでいる。先に動いている人が何十人もいる環境と、自分が3人目になる環境では、任される仕事も相談相手の数も変わる。

見るべきは三つに絞られる。ひとつは受け入れ人数で、多い町は受け入れの型ができている一方、個別の裁量は小さくなりやすい。ふたつめは募集の分野で、任期後に残った隊員の多くは任期中の担当業務の延長で仕事を作っている。みっつめは任期の設計と終了後の支援で、起業や事業承継の枠を予算に組んでいるかは自治体ごとに違う。

学生のうちにできるのは、現地の人と話して町ごとの違いを知っておくことだ。募集要項からは、人数も分野も読み取れるが、受け入れ側がどこまで本気で定住を考えているかは文面に出ない。地域と関わる入口を探している段階なら、FLASPOのような学生と地域をつなぐ場を使って、島根に限らず複数の地域を見ておくと比較の軸ができる。386人という総数は、入ってからの3年を説明してくれない。

よくある質問(FAQ)

島根県の隊員数は全国で何番目ですか。令和7年度の集計では、北海道の1,374人、長野県の477人に次ぐ3番目です。前年度の273人から113人増えており、1年間の増加数では全国の伸びの4割近くを占めました。

なぜ海士町にそれだけ集まっているのですか。公表資料は人数を示すだけで、理由の説明はありません。町の人口規模に対して163人という数字は大きく、3年任期の隊員だけで構成されていると考えるのは不自然です。短期の受け入れ枠の扱いを含めて、町の募集情報で確認するのが確実です。

定住率が低い県は避けたほうがいいのでしょうか。率だけで決めるのは危険です。島根県の60.3パーセントは全国で下から4番目ですが、任期終了者388人という分母は全国3位の規模で、多様な受け入れ方の結果が混ざっています。判断するなら、県の率より着任先の町が任期後にどんな支援を用意しているかを見てください。

県内で受け入れていない市町村はありますか。令和7年度の集計では19市町村すべてに隊員が配置されています。全国では受け入れ可能な1,461団体のうち1,187団体が取り組んでいる段階なので、県内全域に広がっている島根は例外的な状態です。

数字の出どころはどこですか。総務省地域力創造グループ地域自立応援課が毎年公表している隊員数と定住状況の集計です。令和7年度分は令和8年4月24日に公表され、都道府県別と市町村別の人数、直近5年間の任期終了者数と定住率が載っています。


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。