出しているのは企業とは限らない
地域で数週間から数か月を過ごす仕事の募集を探すとき、多くの人は就職情報サイトの検索窓から始める。そこで見つからないと「募集がない」と結論しがちだが、実際には出し手が別のところにいる。
内閣府が43道府県に行った令和7年度の取組状況調査には、事業の実施主体を複数回答で聞いた結果が載っている。令和6年度は自治体(委託を含む)が33、自治体が参画または協力するその他団体等が6、自治体と複数団体の組み合わせが3、自治体が参画または協力する大学が3、同じ形の商工会・商工会議所が2だった。自治体がどこにも絡まない複数団体のみの形は0である。
つまり出し手の名前は団体でも大学でも商工会でもありうるが、裏側にはほぼ必ず道府県か市町村がいる。受け入れるのは地元の企業でも、枠を作って学生を集めているのは行政側だという構図になる。
| 実施主体の形 | 令和5年度の回答数 | 令和6年度の回答数 |
|---|---|---|
| 自治体(委託を含む) | 34 | 33 |
| その他団体等(自治体が参画または協力) | 6 | 6 |
| 自治体(委託を含む)と複数団体 | 3 | 3 |
| 大学(自治体が参画または協力) | 3 | 3 |
| 商工会・商工会議所(自治体が参画または協力) | 2 | 2 |
| 複数団体のみ(自治体が参画または協力) | 1 | 0 |
回答は複数選択なので、合計は道府県の数と一致しない。それでも並びを見れば、窓口の性格が一年で入れ替わるものではないとわかる。
情報がどの経路に出ているかを先に押さえる
見つからない理由は、募集が少ないからではなく経路が違うからである。同じ調査は、参加者を募るための方策も複数回答で聞いている。
令和6年度の回答数は、県内の大学や学校への周知・斡旋依頼が35、道府県が運営または参加しているマッチングサイト等を通じた広報が34、県外の大学や学校への周知・斡旋依頼が34、SNS等での情報発信が33、大学生等向けの説明会の実施が21、テレビや新聞などのマスメディアでの情報発信が14と並ぶ。
対して、外部が運営するマッチングサイト等、つまり民間の就職支援サイトを使っていると答えたのは8にとどまる。同窓会組織や県外の県人会等のネットワークを通じた周知は2である。対象は43道府県なので、民間サイトしか見ていないと、残る35道府県が使っている経路を外したまま探すことになる。
実務としては、在学している大学のキャリアセンターと、住んでいない道府県の公式サイトの二つを定点で見ることになる。県外の大学への依頼が34と県内に近い数で出ている以上、他県の枠も学校経由で届く前提で設計されている。内閣府の地方創生インターンシップのページからは、調査結果のほかに事業の考え方をまとめた資料にも入れる。
受け皿の大きさは、住んでいる場所でまるで違う
規模を把握しておくと、落ちたときの受け止め方が変わる。道府県が施策として推進する枠で受け入れた大学生等は、令和6年度が10,621人、令和5年度が10,404人、令和4年度が13,347人である。受け入れ先として道府県が把握している企業数は、令和6年度が7,122社、令和5年度が7,267社、令和4年度が6,967社となっている。
人数を企業数で割ると1社あたり1.5人に届かない。1社が何十人も受け入れる形ではなく、1社に1人か2人が入る小さな枠が広く並んでいると考えるほうが実態に近い。
地域差は大きい。令和6年度の道府県別では石川県が1,164人、山口県が863人、京都府が832人、福岡県が772人、岐阜県と高知県が701人、島根県が663人、山形県が624人と続く。一方で茨城県、岡山県、熊本県、大分県、鹿児島県、沖縄県は0人だった。
0人の道府県は事業をやっていないわけではなく、道府県が主体や協力者として数えられる枠が無かったという意味である。そこを志望する場合は、市町村の単位か、民間が独自に運営する形を探すことになる。長期インターンの探し方で扱う一般的な手順は、この層を探すときにも使える。
助成の有無で、実際に出ていく金額が変わる
地域の枠で現実的な障壁になるのは交通費と宿泊費である。ここに公費が入るかどうかは道府県によって分かれる。
学生への助成を行ったのは令和6年度が20道府県で、実績は3,081人に44,226,920円だった。令和5年度は19道府県で2,481人に35,210,911円である。人数も金額も増えており、1人あたりは単純計算で1万4千円台になる。宿泊を伴う数日の枠なら、これで交通費のかなりの部分がまかなえる。
企業への助成は逆に縮んでいる。令和6年度は3道府県の46社に2,989,203円で、令和5年度の5道府県106社に6,805,163円から半分以下になった。受け入れ側の経費を公費で支えるより、学生の移動を支えるほうへ重心が移ってきたと読める。
応募の前に見るべきは、募集要項の「経費」の欄と、道府県の助成制度のページの二か所である。募集側が助成に触れていない場合でも、道府県の別の制度で申請できることがある。締切が募集より早いこともあるので、日付だけは先に確認しておく。
総務省の系統には、もう一つ別の入口がある
同じ「地域で働く」でも、就職の前段という性格ではない枠が総務省の側にある。総務省の関連制度のページによれば、地域おこし協力隊インターンは期間が2週間から3か月で、移住の要件がなく、必要に応じて書類審査や面接などの選考を設定できる。活動の中身は隊員と同様の地域協力活動である。
総務省が令和7年4月4日に公表した令和6年度の集計では、このインターンの参加者は令和6年度に1,047人で、うち150人が隊員に任用された。翌年度の任用見込みを含む数である。隊員そのものは7,910人で、取り組んでいる自治体は1,176団体、受け入れが可能な1,461団体の約8割にあたる。
二つの系統は、出口の設計が違う。道府県の枠は県内企業への就職や定着を見ており、協力隊インターンは隊員になるかどうかを見ている。どちらが合うかは、卒業後に雇われたいのか、委嘱を受けて活動したいのかで決まる。制度の違いは地方インターンとはや地方創生インターンとはでも整理されている。
選ぶときの基準を三つに絞るなら、実施主体に行政が入っているか、助成があるか、終わったあとに何が続くかである。調査では参加後のフォローアップとして、参加報告書へのフィードバックが16、就職情報の定期的な提供が14、継続的な就職支援や個別相談が14と答えられている。続きが用意されている枠を選べば、一度の滞在が次につながりやすい。地域の活動をまとめて見るならFLASPOのような学生向けの入口も併用できる。
よくある質問
民間の就職サイトで探すのは無駄なのか。無駄ではないが、それだけでは抜けが出る。民間サイトを使っていると答えた道府県は8で、大学経由と道府県自身のサイトが34から35に並ぶ。検索の起点を増やすという意味で、大学のキャリアセンターを一か所足すのが費用対効果が高い。
受入人数が0の道府県は、応募できないという意味か。違う。道府県が主体や協力者として関わる枠が集計されていないだけで、市町村や民間が独自に動かしている募集はありうる。その場合は市町村の公式サイトと地域の中間支援団体を直接当たることになる。
助成はあとから申請できるか。制度によるが、事前の申請を条件にしているものが多い。参加が決まってから探すと間に合わないことがあるため、応募の時点で道府県の助成ページを確認し、必要な書類の名前だけでも控えておく。
受け入れ側はどこに困っているのか。調査の課題の欄では、参加学生の募集や事業の周知が38で最も多く、参加者の就業・定着への接続が31、効果検証が27、参加・協力企業の開拓が24、質の高いプログラムの設計が22、予算の確保・維持が18と続く。学生が集まらないことと、来たあとが続かないことが上位に来ている。
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