関西のワーケーション|2府4県で30ポイント開く混み具合を読む

関西で働く場所を変えるなら大阪か京都、と当たりをつけると宿の確保で詰まることがある。2025年の宿泊統計を開くと、大阪府の客室稼働率は全国1位で、京都府も5位に入っている。ところが同じ2府4県のなかには全国41位の県も混じっている。電車で1時間ほどの範囲に、条件のまったく違う市場が並んでいるということだ。

近畿は全国平均を7.2ポイント上回っている

観光庁の調査を近畿運輸局がまとめた2025年の宿泊旅行統計(確定値)によると、近畿ブロックの客室稼働率は68.8パーセントだった。全国平均の61.6パーセントを7.2ポイント上回り、関東ブロックの66.9パーセントよりも高い。全国の主要ブロックのなかで最も詰まっている区域である。

タイプ別に分けると、差の出方が揃っていないことが見えてくる。ビジネスホテルは79.4パーセントで全国の75.3パーセントを4.1ポイント上回り、シティホテルは77.3パーセントで3.2ポイント上。リゾートホテルは61.1パーセントで、全国の56.9パーセントとの差が4.2ポイントになる。

最も開いているのは簡易宿所だった。近畿は48.1パーセントで、全国の29.6パーセントを18.5ポイント引き離している。大阪府の73.6パーセントが全国1位、京都府の52.0パーセントが2位で、上位二つを2府4県が占めた。安く長く泊まるつもりでゲストハウスを当て込む計画は、この区域ではまず成り立たない。

旅館だけは様子が違う。近畿の39.8パーセントは全国の38.2パーセントとほぼ並ぶ。宿のタイプを一段変えるだけで、同じ土地の混み具合が別の顔になる区域だと考えたほうがいい。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

大阪府と和歌山県の間に30.2ポイント

ブロックの平均値は、大阪府と京都府に引っ張られた数字にすぎない。府県ごとに並べ直すと、同じ関西という括りのなかに別の市場が同居していることがわかる。

府県 客室稼働率 全国順位 延べ宿泊者数 外国人の割合
大阪府 78.6% 1位 5,877万人泊 41.7%
京都府 66.8% 5位 3,316万人泊 55.2%
兵庫県 61.1% 11位 1,640万人泊 12.1%
滋賀県 53.2% 32位 483万人泊 6.4%
奈良県 50.9% 37位 318万人泊 16.4%
和歌山県 48.4% 41位 496万人泊 17.7%

上端の大阪府は78.6パーセントで全国1位、下端の和歌山県は48.4パーセントで41位につけている。開きは30.2ポイントある。関東1都6県の幅が29.5ポイントだったので、関西の内側の落差はそれをわずかに上回る。

2府4県を足した延べ宿泊者数は1億2,130万人泊で、全国の6億6,111万人泊に対して18.3パーセントを占める。市場としては十分に大きいのに、その大半が大阪府と京都府の二つに集まっている。この二つを除いた4県の合計は2,937万人泊で、近畿全体の4分の1に届かない。

裏を返せば、滋賀県・奈良県・和歌山県の三つは全国で30位より下に沈んでいる。京都駅から1時間前後で着く範囲に、全国平均を10ポイント以上下回る市場が三つ並んでいることになる。混み具合だけを基準にすれば、選ぶべきはこちら側だ。

1月は、6府県すべてで年間の底になる

年平均だけを見ていると、同じ県のなかで季節によって2割も動くことを見落とす。2府4県の平均は1月の59.2パーセントから10月の75.7パーセントまで、16.5ポイントの幅で動いた。全国平均の振れ幅は12.0ポイントなので、関西は季節の影響をやや強く受ける区域である。

最も動くのは京都府だった。1月の52.8パーセントから10月の76.8パーセントまで24.0ポイント。紅葉期と真冬で、まるで別の都市のような数字になる。逆に最も動かないのは大阪府で、1月の71.6パーセントから10月の84.9パーセントまで13.3ポイント。底が高いので、閑散期であっても7割を下回らない。

注目したいのは、1月が6府県すべてで年間の最低値になっている点である。奈良県は37.6パーセント、和歌山県は39.0パーセント、滋賀県は42.6パーセントまで下がる。年末年始の数日を外せば、1月の関西は全国のどこよりも部屋が取りやすい時期になる。

逆に避けたいのは10月と11月だ。2府4県の平均は10月に75.7パーセント、11月に72.7パーセントまで上がり、京都府は10月に76.8パーセント、11月に74.3パーセントをつけた。日程を動かせる立場なら、この二か月は候補から外しておくほうが交渉が楽になる。

宿のタイプを変えると順位が入れ替わる

県の総合順位をそのまま信じると、取りやすい部屋を見落とす。奈良県の全体値は50.9パーセントで全国37位だが、リゾートホテルだけ抜き出すと65.7パーセントの全国5位まで跳ね上がる。同じ県のなかで、タイプによって32位ぶんの差があるということだ。

和歌山県は逆向きの例になる。全体は41位だが、ビジネスホテルは62.7パーセントで全国46位まで下がる。長期の滞在で作業机と安定した回線だけを求めるなら、ここが国内でもっとも余裕のある選択肢のひとつになる。滋賀県も似た形で、リゾートホテルは61.7パーセントの9位なのに、ビジネスホテルは67.6パーセントの40位にとどまる。

旅館はどの府県でも緩い。大阪府の49.0パーセント(全国2位)を除けば、京都府41.7パーセント、兵庫県40.0パーセント、和歌山県36.7パーセント、滋賀県36.5パーセント、奈良県33.4パーセントと続き、奈良県は全国38位だ。長めに滞在して部屋で作業する前提なら、旅館側に回るだけで選択肢が一気に広がる。

同じ予算でも、タイプの選び方で成否が変わる。具体的な設備の見極め方はワーケーションホテルの選び方にまとめてあるので、候補地を絞ったあとに照らし合わせてほしい。

外国人の割合が、現地の空気を決めている

混み具合が同じでも、泊まっている人の構成が違えば現地の過ごしやすさは変わる。京都府は3,316万人泊のうち1,829万人泊が外国人で、割合は55.2パーセントに達した。宿泊者の半分以上が国外からの客ということになる。

大阪府は5,877万人泊のうち2,452万人泊で41.7パーセント。全国平均は6億6,111万人泊に対して1億7,992万人泊の27.2パーセントなので、この二つは全国水準を大きく上回る。一方で滋賀県は483万人泊のうち31万人泊、割合は6.4パーセントしかない。兵庫県も12.1パーセントで、1割台の前半にとどまる。

この差は、朝の混雑や飲食店の待ち時間、観光地までの移動のしやすさといった形で現れる。腰を据えて手を動かす時間を優先するなら、滋賀県や兵庫県のように一桁台から1割台の市場を選ぶのが合理的だ。観光と仕事を同じ日程に詰め込むなら京都府や大阪府が向く。

地域ごとの数字の読み方はワーケーションの人気エリアを数字で絞るでも扱っている。制度側の整い方についてはワーケーションの現状が参考になる。働く場所と暮らし方の選択肢を広げる取り組みはFLASPOでも紹介している。

よくある質問

関西で部屋が最も取りやすいのはいつか。2府4県の平均は1月に59.2パーセントまで下がり、年間の底になる。奈良県と和歌山県はこの時期に4割を切るので、年末年始の数日を避ければ1月が最も動きやすい。

大阪に泊まって日中だけ地方へ出るやり方はどうか。大阪府は閑散期でも71.6パーセントなので、宿の確保は年間を通して難しい。京都市内も10月には76.8パーセントまで上がる。拠点を滋賀県や奈良県に置き、必要な日だけ都心へ出る組み方のほうが現実的である。

長期滞在ならどの県とどのタイプを選ぶべきか。和歌山県のビジネスホテルは全国46位、奈良県の旅館は全国38位で、どちらも国内で最も緩い水準に近い。1週間を超える滞在なら、この二つは早い段階で候補に入れておきたい。

簡易宿所やゲストハウスで費用を抑えられるか。近畿の簡易宿所は48.1パーセントで全国の29.6パーセントを18.5ポイント上回り、大阪府は73.6パーセントで全国1位だ。費用を抑える狙いでここを当て込むと、直前の空室がほぼ残らない。前倒しの予約か、別のタイプへの切り替えが要る。

数字はいつ時点のものか。本文の客室稼働率と延べ宿泊者数は、観光庁の宿泊旅行統計調査をもとに近畿運輸局が2026年7月に公表した2025年確定値である。月別の数値も同じ資料に収録されている。


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。